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第五話

咲姫視点を書いた……書きたかった……。

 side咲姫


「くっ、遅刻しましたっ!」


 私は今学園までの道のりを小走りで向かっています。本来起きるはずの時間よりも二十分遅く起きてしまい、その結果こうして少々急ぐはめになりました。


 でも普段ならこの時間でも全然余裕なんですよね。

 私が急いでいるのは今日だけ特別な事情があるからです。自慢ではないのですが私は学園の入学試験で高得点を取り、主席として入学することになりました。今日は入学式で先生達との打ち合わせがあったのでいつもより早く出る必要があったのです。


 ドンッ!


「きゃっ!」


 小走りのまま角を曲がると誰かとぶつかりその勢いで後ろに倒れてしまいました。


「おっと……大丈夫か?」


 座り込んでいる私を見てかその人はてを差し出してくれました。そこで私は初めて顔を上げてその人の顔を見ました。

 カッコイイ……それが第一印象でした。全体的に整った顔に私より高い男性らしさを感じる背丈、髪の色と同じ強気に見える黒い瞳も全体がまとまっていて凄い男の人。


 そこまで考えていた所であんまり待たせては不信感を与えてしまうと思い手を取って立ち上がりました。


「……あっ、すいません。ありがとうございます」

「いや、俺も不注意だった。それよりいいのか?走ってたってことは何か急ぎの用があったんじゃないのか?」


 その言葉で自分が今遅刻ぎみだということを思い出しました。


「!そうでした、すいません。私もう行きますね」

「そうか、今度はぶつからないようにな」

「はいっ!」


 そう返事をすると私はまた小走りで学園に向かいました。




 結論から言うと私は特に遅刻ということもなく先生達と入学式の打ち合わせを無事に完了させた。


「それじゃ、私は教室に向かいますね」

「あぁ、式では今の通りに動いてくれればいいからな」

「わかりました。失礼します」


 打ち合わせを終わらせた私は先生に教えてもらった教室に向かいました。自分で確認する暇がなかったんですよね。


 騒がしい教室内に入ると既にいくつかグループが出来上がっており談笑していたりクラスの男子……は居ないみたいですね。一般的に見るとハズレと言われるクラスなんでしょう。


「おはようございます、これからよろしくお願いしますね」

「あっよろしくね」


 席を確認して座り込むと横にいる女生徒に声をかけました。やっぱり友人作りは大事ですからね。


「へぇ、咲姫ちゃんは誰か恋人作りたいって人いるの?」

「う~ん、今日初めて会う日とばかりなのでなんとも……」


 私から話しかけた結果となりの席の知花桃華(ちばなももか)さんと仲良くなることができた。

 まあ私も王子様を手に入れるお姫様にあこがれてないこともないんですが。


「そうなんだ、私は腕に自信がないから無理かな。ここに入ったのも親に入れられたからだし」

「そうなんですねぇ」

「でも何か聞きたい事とかあったら言ってね、私そういう情報仕入れるの好きだから」

「それなら何かあった時にはお願いしますね」

「うん、よろしく」


 そんなことを話していたら入学式が始める時間になり体育館へ一斉に移動を開始しました。つつがなく式は進んでいき私の出番も無事に終えて今日の所は解散になりました。


「咲姫ちゃんこの後どこか行く?」

「う~ん……今日の所は帰りますね」

「そっか、それじゃまた明日ね」

「はいそれじゃ」


 図書室に行くことにしたらしい桃華さんと別れると私は一直線に寮の自室へと向かいました。今日は久しぶりにアレができるからです。


 部屋着に着替えると私は専用の機器をつけてベッドの上で横になりログインをしました。そう!私がやりたいと言っていたのはVRMMOと呼ばれるゲームでした。今日までは勉強やラナンやらをしていてできなかったけれどもうそれもないのでゆっくりとゲームができます。


「こんちゃーにしみゃさん」


 初期出現地点である広場に着くと同時に私の長年のフレンドである【ひとほし】さんが話しかけてきてくれました。


「おっ、お久しぶりですねーひとほしさん。私に会えなくて寂しかったですか?」

「なわけ」


 早速軽口をたたきながら話し込む。ログインが久々でひとほしさんに会えなかったのが寂しかったのは内緒です。ひとほしさんが相手だと緊張して口調が変わってしまうことも含めて、でも人をからかうのも嫌いじゃないのでこれも私の一つです、ただひとほしさんには出てくる面が大きいってだけで。


「えー、でもひとほしさんに私以外にフレンドっていましたっけ?」

「……」

「ほらやっぱり~」


 でも少し私以外に遊ぶ人がいないっていうのはうれしかったりします。独占欲ってやつですかね?不安なのがこの口調のせいで嫌われてないかってことだけですが……本当に嫌いならこんな何年もフレンドで居てくれないでしょう。


「そんなことより久々に遊べるんだしなにか狩りに行こうぜ」

「露骨な話題そらしですね……まあいいです何行きます?」

「うーん、じゃあ炎の武神は?」

「いいですよー、それじゃあ行きましょう!」


 炎の武神とは通常の敵とは違い複数人で同時に戦うことを前提としたレイドボスである。なお推奨人数は8人だったりするんですが私たちは結構psが高いのでどうにでもなってしまい、しばらくそのボスを周回しレアドロップを回収しました。


 ひとほしさんと私ってこのゲームの中でもかなりトップの実力なんですけど本人にその自覚がないんですよね。


「どうします?結構遊びましたし今日の所はもう落ちます?」

「いやまて、まだやることがあるだろう」


 はて、ひとほしさんがやりたい事というと……あぁあれですかね、察しはつきましたけどもし本当にそうなら相変わらずの負けず嫌いですね。


「えー、私このゲーム久々なんですよ~?そんな相手に挑むんですか?」

「うるさい、今日は私が勝つんだ」

「全くしょうがないですねぇ」


 私の予想通りやることというのは決闘システムによるPVPだったようです。お互いに武器を持って戦い先に体力ゲージがゼロになった方が負けというシンプルな遊びです。


 今のところは私が結構な数勝ち越していたはずで……うわ399勝150敗。あと一勝で400勝じゃないですか。


 キリのいい勝利数にするべく目の前のひとほしさんに決闘の申し込みを行うとすぐに了承が押され、専用の決闘場に転送されました。


 ちなみにひとほしさんは刀、私は短剣の二刀流と扱う武器は全然違います。


「準備はいいですか?」

「構わない」

「それじゃ始めますよ」


 私のその言葉を合図にカウントダウンが10から表示され、0になったタイミングでお互いが動きました。


 最初はお互いの得物を力強くぶつけ合い火花を散らせたのち距離を取って再び走り出した。


 そこから私は素直に打ち合う真似はせずにできる限りの攻撃を回避して無理な場合はいなしながらチクチクと削るように切り込んで行きました。


 一回一回のダメージは小さいですが確実にひとほしさんの体力ゲージが減っていきます。対する私はほとんどゲージに変化がありません。


「ああ!相変わらず鬱陶しい!正々堂々戦え!」

「嫌です!そっちは一撃が!重いんですから五分です!」


 そう、ひとほしさんも比較的軽装で防御力は低いですが私はそれよりもさらに低くスピードを優先しています。なのでうまく入ってしまうと致命傷になる可能性も高いです。


「いいんですか?このままだと私の勝ちですよ!?」

「まだまだっ!今日こそ俺が勝つんだっ!」


 そのまま私が徐々に体力を削っていき目の前には倒れこむひとほしさんとYOU WINの文字。この勝負は私の勝ちで終わった。




性格ブレブレ乙

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