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第三話

やっと出るよ

「俺たちはこの後街に行くけどお前はどうするよ一星」

「さすがに実質恋人たちの邪魔をするような輩じゃないっての」

「そんな気を使わなくていいのにー」

「お前らのイチャイチャを目の前で見せられる俺はどんな反応をすりゃいいんだっての」


 一日が終わり放課後、俺は翔と香織の二人とでこの後の用事について話していた。この二人は街へ行くので俺もどうかと誘われたがあんな甘い空気の中にいる自信はない。


「そっか、まあ気が向いたときには連絡しろよ」

「おう、わかってる」

「それじゃあまた明日な」

「バイバイ一星」


 二人が並んで出ていくのを見た後に俺も教室を出てまっすぐに家へ向かう。あの二人をのぞいたら俺に特別友人と呼べるような存在もいない、恋人もそうだが別段作らなくてもいいと思っているしな。


 家に着くと制服をハンガーにかけラフな格好に着替える。そのままベッドに寝ころびVRゴーグルをつけた。そう、俺の趣味はVRMMOゲームだ。もうかれこれ二年近くやっているタイトルで【ソードファンタジーズ】という剣メインで進めるRPGだ。


 俺のキャラとしては黒目黒髪で長髪の女性にしてある。身長も現実と同じ175cmに設定し、ほとんど現実の俺をそのまま女性にしたような感じである。ちなみにプレイヤーネームは【ひとほし】名前のまんまだ。


 なぜ女性にしているのかといえば厄介な女に絡まれないようにするためというだけだ。なんでも男キャラに近づきリアルでも男だと分かるとどうにか仲良くなろうと接近し、悪い例だとストーカーのようになるやつが居るらしい。面倒ごとは嫌いなので少しでもそういうトラブルを避けるためにこういうことをしているわけだ。


 ログインして適当なクエストをこなして素材集めやレベル上げをしていく、こうして黙々と作業をするのも結構楽しいものだ。


「おっ【にしみゃ】さんだ」


 しばらく狩りをしていると【にしみゃ】さんがログインしましたとの通知が来る。


 にしみゃさんは丁度俺が始めた日と同日にゲームを始めたらしく初心者フィールドでバーティを組んでからフレンドになりこのゲームを中心に一緒に遊んできた。最近は忙しかったらしく久々のログインだ。


「こんちゃーにしみゃさん」

「おっ、お久しぶりですねー【ひとほし】さん。私に会えなくて寂しかったですか?」

「なわけ」


 広場でにしみゃさんと合流しそのまま話し込む。他の人に話が漏れてしまうのではという危険はなく、プライベートモードにすれば会話が他の人には聞こえないようにすることができるのでそれを採用している。


「えー、でもひとほしさんに私以外にフレンドっていましたっけ?」

「……」

「ほらやっぱり~」


 いや、違う。言い訳をさせてほしいが俺だってリアルに二人ほど友人ならいる。ただネットで急に知らない人に話しかけるとか地味に難易度高いじゃないか。別にこのゲームだって一人で遊べるわけだし。


「そんなことより久々に遊べるんだしなにか狩りに行こうぜ」

「露骨な話題そらしですね……まあいいです何行きます?」

「うーん、じゃあ炎の武神は?」

「いいですよー、それじゃあ行きましょう!」


 何とか話題の変更に成功したのでそのまま言ったとおりのボスに挑戦した。二人で何度か周回しレアドロップを回収したところで再び広場に戻ってきた。


「どうします?結構遊びましたし今日の所はもう落ちます?」

「いやまて、まだやることがあるだろ」


 そう、こいつとはフレンドになって以来遊ぶ時は必ず一回はやっていることがある。


「えー、私このゲーム久々なんですよ~?そんな相手に挑むんですか?」

「うるさい、今日は私が勝つんだ」

「全くしょうがないですねぇ」


 それは決闘システムというお互いが武器をもって1対1で戦い、相手の体力ゲージが先にゼロになった方が負けというPVPシステムだ。


 俺とこいつの戦績は……549戦150勝399敗で……くそっ。昔は俺の方が勝ち星が多かったのにいつの間にか勝てなくなって気が付けばこの数字だ。


 だが今日のこいつは久々のログインということもあってなまっているはず、卑怯といわれようが妨害してないんだから勝つためならこれくらいは普通だろう。


 ピコンと音が鳴り【にしみゃ】さんから決闘の申し込みが行われました。とのログが映る。

 迷わず了承を押すと俺たちは決闘場へと転送された。その中で一定の距離を開けて向かい合う。


 にしみゃさんは銀髪のセミロングで俺よりも頭一つ分くらい下の小柄な容姿をしている。俺と同じように実際の背丈と合わせているならリアルでもあまり背が高くないんだろう。


 対する俺は長めの髪を後ろでひとくくりにまとめ刀を持った俗にいうサムライスタイルという和服のような装備をしている。


「準備はいいですか?」

「構わない」

「それじゃ始めますよ」


 その言葉と共に俺の目の前にカウントダウンが表示される。10だったその数字は一つ一つと下がっていき0になると同時に俺は刀を、彼女は二刀流の短刀を持って動き始めた。




 そうして決闘が始まった俺の目の前にはYOU LOSEの文字が浮かんでいた。


「また私の勝ちですね~、久々のログインだったんですよ私?」

「……うるさい」


 若干煽られているようだが俺が負けたのは事実なので何も言い返せない。煽りは本来マナー違反だが俺たちが付き合いの長いフレンドだから許されているような行為だろう。


「これで私の勝利数が丁度400勝ですね~」

「やめろ、戦績を見せつけてくるな!」


 座り込んでいる俺に自らの戦績を見せつけてくるにしみゃさんから距離を取る。


「ていうか何で久々なのに相変わらずの強さなんだ……」

「いや~私がログインしてなかったのって試験勉強だったからなんですけど実技の訓練ってこっちでも活かせるので。むしろ前より強くなったかも?」

「そうなのか……ていうかそんなこと私に言っていいのか?」

「いいですよ別に、年齢についてはもう言ってたじゃないですか」

「それはそうだが……」

「というか女子が学園を目指すのは同じ女子の【ひとほし】さんならわかるでしょう?」

「……まぁ」


 リアルでは男だけどな。


「というかひとほしさんも東京都立学園ですか?あっちなみに私はそこに入学しました」

「……そうだよ、私も東京都立学園の生徒だよ」

「へぇ~、もしかして恋人がいたりして……?」

「いや、いないぞ。何なら別に作らなくてもいいかと思ってるくらいだし」

「そうなんですね……」


 そういうとにしみゃさんはやや俯いて手を顎のあたりに持っていき何かを考えているようだ。


「……!決めました!ひとほしさん!」

「おおぅ……何を?」


 急に起き上がったと思ったら一気に接近してきたのに動揺してやや妙な返しになってしまった。


「私とゲームをしましょう!」


てかあらすじ読んだら済むくね?

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