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第十話

ヒロインちゃんミリ登場

 翌日俺はやや重い足取りで学校に向かっていた。昨日は日課のゲームさえロクにできなかったからな。


「おうおはよう一星」

「……おはよう」

「おはよう元気ないね一星」

「……まあ色々あったんだよ」


 登校するといつもの二人とあいさつを交わして席に着く。やはり女子は鋭いところがあるのか香織にはすぐに指摘されてしまった。


「ああ昨日後輩の女の子に負けてたもんな」

「……見てたのかよ」

「二人で行ったよ!」

「マジか……」


 今までも気にしたことはなかったが寄りにもよって俺の初敗北の日に限って……いや、前から来てたのか?俺に言ってこなかっただけで。


「それで付き合うのか?」

「負けたんだしそうじゃないの?この学校で女子が決闘で勝ったらみんなそう言うって」

「で、そこんとこどうなんだ?」

「……そうだよ負けた後に付き合ってくださいって」

「おー!ようやく一星も付き合うんだ!でも相手はアレでしょ?ゲームでよく一緒に遊ぶ相手、ろくに知りもしない相手より良かったじゃん。じゃあなんでそんなに元気ないの」

「わかってないな香織は……一星の奴は付き合ううんぬんよりも決闘で負けたことを気にしてるんだよ、な?」


 くそ、実際に気にしてるのはそこだから言い返せない。確かに俺は恋人なんて存在はいなくてもいいと思っていたが別にいたらダメというわけでもなかった。その相手が二年ほど一緒にゲームをやってきて気心知れた相手なら恵まれてる方なんだろう。

 ただ負けたのが悔しい、ゲームではともかくリアルだと初の敗北だったのだ。


「あー、そういうことか。分かるよ一星私も最初翔に負けた時すっごく悔しかったもん」

「手を抜いてやろうか?」

「ダメだよ!手を抜いたら絶対許さないから!」

「わかってるって」

「お前ら俺の前でイチャつこうとするな。ほら香織もうそろそろ時間だぞ」

「おっとホントだ。それじゃあまた後でね二人とも」


 同じクラスだというのに大袈裟に手を振ると香織は自分の席に座った。


「まあそんなに気にすんなよ同じ学校なんだからリベンジの機会はあるし。なんかあったら俺と香織が相談に乗るから」

「ありがとよ、確かにそうだなリベンジの事でも考えておくわ」


 香織がさったと同時に俺に向かってそんなことを言ってくる。やっぱり普通にいい奴なんだよなこいつ。


 ホームルームや授業を右から左へ流しながら西宮さんへのリベンジについてを考える。とはいってもすぐに挑戦したところでまた返り討ちだろう。訓練したりしてしっかりと準備を整えてからだな。


 そして時間はたち昼休みになった。


「一星飯食おうぜ」

「一緒に食べよー」


 昼休みになると同時にいつも通り俺に声をかけてくる二人、去年からこの三人で食べるのが日常だったのでもはや違和感もなくなったものだ。


「おう……って今日飯買うの忘れてた」


 俺は普段朝の登校時に学園付近のコンビニによって昼飯を買ってから学校に来るんだが昨日負けたショックでつい忘れてしまっていた。


「おいおい何やってんだよ」

「しゃーない今から買ってくるわ」

「はーい、先食べてるねー」

「あいよ」


 そうして俺がコンビニに行こうと机を立った時に一人の人物が襲来してきた。


「せんぱ~い!一星せんぱ~い!お昼一緒に食べましょう!」


 それは昨日決闘した後輩で俺と付き合うことが決定した西宮さんだった。

寿司食べたい(謎)

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