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友達が言った  作者: 今宵 孤十見
2/3

出会いは興味から


俺がそいつと初めて会ったのは小学校2年ぐらいだった。

その時ぐらいのあいまいな記憶だが、放課後に親の帰りが遅くて心配な親が子供を預ける施設だった。そこでそいつを見つけたんだ。たしか教室の隅で壁にも足りかかりながら一人で本を読んでたっけな。妙に気になったから声をかけたんだ。


「なにしてるの?ほかのことあそばないのか?」


いきなり話しかけられたからびっくりしたんだろうか。

そいつは驚いた顔で本から顔を上げ、俺の顔をじっと見ていたんだ。

そして、おどおどしながら答えた。


「えっと・・・ほんをよんでるんだ。ほらこれ、おもしろいよ。」


と言いながら、よくわからない本の表紙を見せてきたことを覚えている。そしてそいつは、こういったんだ。


「みんなとあそびたいけど、そとはつかれちゃうんだよ。ぼくはなかでほんをよんでいるほうがたのしい。」


外のグラウンドを見てみると、ほかのやつらが元気に楽しそうに駆け回っているのが窓越しに見えた。


「そうか。だったら・・・」


そこまで言うと、横から誰か来た。そちらのほうを見てみると、よく一緒に遊んでる友達が数人来た。

どうやら、時間になったので外で遊んでいた子たちが戻ってきたようだ。


「ゆうひ~!なにしてるんだ?」


「ゆうひもそとでいっしょにあそべばよかったのに!」


そういって楽しそうに今日は外で何をしたのかを話していた。


「ゆうひもいないとつまらないじゃんか~。なにしてたんだ?」


そういわれて本を読んでいた子のことを思い出す。


「そうだった。めずらしいこが・・・」


と言いながら前を見るがそこにはもうそいつはいなかった。


「めずらしいこって、だれもいないけど?」


不思議そうに首を傾げ聞いてくる友達に、俺も首を傾げた。


「あれ?どこいったんだろ?」


そんな俺の様子をみて友達がおかしそうに笑ってた。そして俺はそいつを探すために周りを見ようとするが、そんな思考を遮るかのように、大人の声が室内に響いた。


「はーい。じゃあ、お菓子の時間になったのでみんな好きな席についてね~。」


その掛け声で一斉にみんなが好きなことグループになり、テーブルについていく。

この時間は先生が用意するお菓子を食べる前に3分ほど正座で黙想をする時間だ。

俺もいつもの定位置に座り、友達もいつもの定位置に座る。

これでいつものメンバーが集まった。

俺はみんなが、まだ座っている途中で余裕ができたので、例の『そいつ』を探してみた。

案の定すぐに見つかった。一緒に黙想をしている先生の隣に座っていたんだ。

こういっては悪いが、正直周りとなじめていないような感じがした。


黙想中にも、薄目で観察した。

そいつったら、男子の半数が集中力を切らして、薄目を開けたり、隣のやつとしゃべっているというのにそいつは正座を崩さないまま3分間黙想していたんだ。

俄然興味がわいた。


だから俺はお菓子を早く食べ終わり、そいつのもとに向かった。

この時はまだ幼くて、かんがえることもしなかった俺は手を差し出しながら率直にこういった。


「お前。俺と友達になってよ!」


言ってから少し後悔をした。

男子同士でそれは恥ずかしいと思ったんだ





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