表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

96/314

92話【Qは収束する】

「まず一つ。[何があった?]

 二つ。[兄様を追っていた連中は、何者だ?]

 三つ。[追われる理由はあるのか、否か?]

 最後に、[鉄砂海峡(ラザントゥロウム)で、何が起こっているのか?]

 ……いかがです、フェン兄様?」


『それともう一つ。

 [サビズナとは()で、その傀儡とは何者(・・)か]、です』


「あ、できればあの渡空挺(フネ)が、どんなものなのか知りたいです!」


ヘルの問いに、ボク達は好き放題に項目を付け加えていく。

大事なことだ。疑問は、答えられるものが居るうちに処理せねば。


「ふふ、知識を求める事に旺盛だね。

 この子達も、きっといい術師になれるよ」


「知識や見識が内包世界を豊かにする、とは言われていますが……。

 学者達の間でも意見が別れている説ですよ、フェン兄様。

 ――それはそれとして。問いの答えを、お願いします」


「わかった、では答えよう。一つ目だ。

 己は、或る物(あるもの)を手に入れようとして、不覚を取り、囚われ――そして逃れた」


或る物(・・・)――? 兄様、それはまさか――」


「それは後で話すよ。ノア。

 そして2つ目。[追ってきた連中]だ」


『――敵機(やつ)らは、何者なのでしょうか?』


()さ。己にとってはね。

 彼らにとってはそうじゃない(・・・・・・)だろうけれど」


「――? どういうことなんでしょう?

 こっちから見たら賊、相手からしたら――うーん?」


――賊。

奪う者、盗人、悪党――


ああ、そういう事か。


『――奪い返した(・・・・・)のですね?

 あるいは、盗品(・・)横奪した(うばいとった)か』


彼女(かれ)と視点が合う。


口角を上げた柔らかな笑み。

{正解!}とでも言うかのように。


「そうさ――その通りさ、お嬢さん(フロイライン)

 横取り(・・・)を許すなんて、迂闊なことをしたものだよ。

 だが、目的のもの(・・・・・)は――この通り(・・・・)


彼女(かれ)はどこからともなく小さな瓶(・・・・)を取り出し、軽く揺らした。

中身は――モヤのようなものがかかっており、時折赤い何かが見えるくらいだ。。


「それが――?

 本当に、そんなもので……?」


「少なくとも、試して見る価値はあるはずだよ。ノア。

 父様の呪い(・・・・・)砕ける可能性(・・・・・・)をもつ代物(・・)なのだから」


――!

子爵(とうさま)の、呪い――!


『――ヘル。

 兄様が探していたものというのは――つまり――』


「――そうだ。

 父の呪い(・・・・)解呪(・・)しうる方法(・・)、あるいは物品(・・)

 フェン兄様の探索行(・・・)は、それ(・・)が目的だ」


『――!』


――解呪(ディスペル)除霊(エクソキズム)対抗術式(カウンタースペル)……。

そう、それが【呪詛】であるならば、それを【除去】する[手段]があって然るべきだ。


知性ある魔物(・・・・・・)】が、死の(その)瀬戸際に放ったという、【呪詛(のろい)

それによって、子爵(おとうさま)は[肉体を石化し凍結された]という、話だ。


石化(・・)し、凍結(・・)


魔物(そいつ)が[虚空の女神の眷属神(ぼくらとおなじ)]とすれば、眷属神(そいつ)は[如何なる神性か(なんのカミサマだ)]?


邪視持つ悪神(バロール)怪物的下級神性(メデューサ)のような、()婉曲表現(・・・・)として[石と化す魔眼(・・・・・・)]?


単純に冬や凍結、凍てついた土地を統べる――冬枯れの神性(ふゆのかみ)


一切合切の停滞――即ち、静止そのものを概念化した、時間の神性(ときのかみ)ということもあり得るか。


――どちらにせよ、【解呪】が為るのであれば。

手掛かり(ヒント)の一つや二つは得られることだろう。


[如何なる手段(・・)によって][解呪(・・)が為される]か。


手段(・・)

それは即ち、【呪詛の行使】を[終着点から遡る(・・)]ようなものだ。


その過程で、幾らかの性質(・・)は明かされることだろう。


――焦ることはない。

愉しみ(・・・)は後に取っておくのも、また素晴らしいものだ。


例え[女神への道筋(ヒント)]の為の[眷属神の情報(ヒント)]であっても。

情報(それ)は、ボクにとって――必要なもの(・・・・・)なのだから。



「メガリス?」


ヘルがボクの顔を、心配そうに覗き込む。

……少しばかり高速思考処理遅延(ラグ)が出たらしい。


『[反応正常(いいえ)]、ヘル。なんでもありません。

 ――それで。フェンベルトス様。

 その中身は、何なのでしょう?』


少しの沈黙。

そして彼女(かれ)は口を開く。


「……それを説明する(かたる)には、[問:二/三/四/五(のこりのしつもん)]に答える必要があるね。

 ああ、つまり――[問:二/三/四/五(それら)]は、纏まった一つの(おなじ)問題なんだ」


『[関連する一連の問題(おなじ)]……?』


「そう。つまり――」


彼女(かれ)は少し明滅し(ちらつき)、次の言葉を放つ。



「――この浮遊島(ロカル)で起こっている、[大規模闘争(おおきなあらそい)]についてだ」



揺らめきを終えた彼女(かれ)の横顔は、どこか楽しげな笑みを浮かべていた――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ