表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/314

7話【武器】

「……っ! 来るぞ!!」


金髪の少女が、腰に帯びた剣を抜き放つ。

現れたのは、刀身が異様に長い(・・・・・)、細身の剣。


それを両手で、流れるような動きで構えた。

顔の高さまで上げながら、剣先は眼前の敵へと真っ直ぐ向けている。


あの剣は――


鎧通し(エストック)――刺突細剣(レイピア)に似た、突き刺す(・・・・)ことに特化した刀剣……。


あれ(・・)は華美な外見に似合わず、使いこなすにはそれなり(・・・・)腕力(・・)を要するものだ。


伊達や酔狂で持っているのでなければ。

お嬢様(ヘレノアール)はあの細腕で、結構な力持ち(・・・)という事になる。


一方、片眼鏡の少女(フルカ)が構えるのは、先端に刃の付いた筒状の長柄武器(ポールウェポン)

持ち手と思しき部分には、引き金(トリガー)らしき装置(ディバイス)が確認できる。


――成る程、銃剣(バイアネット)という訳か。

となれば、持ち手と銃身の間の輪胴(シリンダー)は、リボルバー式の回転式弾倉(・・・・・)に違いない。


魔法か、化学か、あるいはそれ以外の――どういう技術かは分からないが。

あれは、少なくとも。"それなり(・・・・)進歩(・・)"を経た武器だ。


……であれば、この世界(・・)は。

少なくとも、それだけ(・・・・)戦斗(たたかい)を越えてきた事になる――


「なっ――!! 避けろ、メガリスッ!」


……うん?


眼前には、"長蟲(ワーム)の巨大な(あぎと)"――いけない、観察に時間を掛けすぎた。


しかし、ボクを狙ってくるとは。なかなか(したた)かな奴だ。

少なくともこの三人の中で、ボクが一番、弱そうな見た目(・・・・・・・)をしているのだから。


だが―ー


不正解(だめ)ですよ、芋虫さん(ウィニー)


両の腕を開き、両顎を掴み(・・・・・)思いっきり(・・・・・)こじ開ける(・・・・・)


「ええっ!?」


「何だと!?」


二人の少女は、ボクの外見に似合わぬ怪力(・・)に困惑の表情を見せているようだ。

……外見(・・)。……いいさ、今は、気にしない、ことにしよう……。


――さて、どうしたものか。

このまま引きちぎってしまっても良いのだが、それではトドメを刺すことが出来ないだろう。


折角(・・)動きを止めている(・・・・・・・・)のだ。


何度も何度も読み返した、アーカイブ内のマニュアル。[項目:武装]

この兵器(からだ)の―ー即ち、"ボクの武器(・・・・・)"を、試してやるとしよう。


『――ヘレノアール嬢』


「どうした、メガリス!?」


ボクは彼女に問いかけた。

……重要な事だ、兵器(たたかうもの)には、何よりも欲するもの(・・・・・)がある。


これ(・・)は、()ですね?』


金髪の少女は、息を呑み、凛とした声で応じる。


「――そうだ。これが、私達の、"()"だ!!」


[命令承認オーダー・アグリーメント]

『――御意に(わかりました)、[敵性存在(てき)}を撃滅(げきめつ)します』


両腕に流れる鉄血(けつえき)(はし)る。

それは、即ち。


ボクの、兵器(ボク)としての意義。

ボクが武器(たたかうためのもの)を得る、{第一段階(さいしょ)]の鼓動(・・)だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ