表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

67/314

65話【イモータル】

「もうすぐ双玉(たま)の位置ですっ!」


[*つまり――間もなく着水(・・)となります]


「準備は良いな! {変容の否定(パーマネンス)}と

{物体の保護(プロテクション)}は有効――水中戦になるぞ!」


『【推進装置(スクリュー)】【対虚空飛翔翼(ディヴォイドウィング)】の展開を完了。

 ――いつでも行けます。十分に』


「良し――行くぞ! 分身体(メガリス)の所へ、突入する!!」


本体(ボク)たちは――落下して(おちて)いた。


前にも見たヘルの散術式(まほう)――【砂葬靑山デザート・ダウン】で、地下へ向かって。


最早距離確認(ping)は瞬く間だ。

分身体(ボク)ここに居る!


[*階層差[1]――直下です。皆様!]


「ああ! ――突入だ!!」


総員、肯定の返答。最後の床を抜ける。

――刹那、視界が変わる。


圧力の変化、体外温度の変容、光線反射の減衰――

――僕らは着水(・・)し、水底の戦場へと突入した――



![ アンタも一人ジャないんだねェ、〓〓(めがみ)サマ…… ]i

![ ああ呪わしくも呪わしい! アタシと同じメに会えば良ィ―― ]i

![ 孤独(ひトり)離隔(ヒとり)無縁(ひとリ)!! 〓〓(おまえ)も、ヒトリに――!! ]i


『[排除すべき雑音(やかましい)]――魔人(おまえ)の相手はボクだ。何度言えば[理解可能(わかる)]?』


赤熱剣(ヒートナイフ)】を突き立てる――だが、大した効果はない。

切った側から(・・・・・・)再生している(・・・・・・)


再生能力――その限界はあるか? 任意か? 自動か? 何らかの条件を有する可能性は? どの程度の破壊までなら再生されるのか?

あるいは――ただ、いくらでも(・・・・・)治せるのか?


試す必要がある。とにかく今は――破壊の時だ。



『[検索項目(オーダー)]――

  [対中型生物]

  [効率的破壊]

  [切断破砕]

  [高速起動]

  [耐水性能]……』


本体(ボク)造兵廠(アーマリー)伝達命令(オーダー)を与える。

今必要なものは――純粋な、破壊力!!



本体(ボク)兵装(ぶき)を展開する間、そこには僅かな時間がある。

魔人(あいて)の行動を許す理由はない――ならば!


『[左腕部分離(パージ)]――[兵装組み換え(ウェポン・アセンブラ)]……[変形(チェンジ)]!


 ――【爆導索チェンド・エクスプロシヴ】!!!』


右手に握った鎖鉄球(フレイル)状の武装(ぶき)――だが、その先端は鞭のように長い鎖で。

そして、その鎖には――無数の炸裂弾が、荊棘(いばら)のように突き立てられている!!


![ ナ――!!? ]i


即座の束縛、ただし炸裂弾(たま)は爆ぜさせない。

なぜなら――


『[起動完了(アクティベイト)]――【動力式高速回転刃(チェーン・ソウ)】!!』


――本体(ボク)が居る!!


![ ……クッ――〓-〓_〓(うまれ、いで...)――! ]i


魔人は詠唱(・・)を始める。

だが、そんなものは――


『『――遅いッ!!』』


超過駆動オーバーフルスロットル――』

            『棘式炸裂弾(ブランブル・ボマー)――』



    然り(そうだ)本体/分身(ボクら)の方が――




『――大切断(グランドセヴァー)!!!!』

        『――起爆(エクスプローディン)!!!!』


      ――速いッ!!!




爆音、炸裂音、何かが焼ける音、爆ぜる泡の音、金属の重低音――

――名状しがたき混沌の如き、疾走する音響。


押し寄せ、引き寄せ、打ち沈め捻れる――

――水は執拗なまでに撹拌され、遍く全てを等しく酔わす。


著しく劣化した視界。濁り果てた水。

もはや何一つ見えず、視界はその価値を見捨てられた。


『【音響式探知機(アクティブ・ソナー)】――』


[やったか]――否、そんなことがあり得るものか。

魔人(ヤツ)はまだ生きている。その筈だ。


根拠はない、そんなものはない。

魔人(アレ)そう簡単に(・・・・・)死ぬものじゃない(・・・・・・・・)

理由は分からないが、そういうもの(・・・・・・)だと確信がある。


……解らない。何故確信できる?

[未知なるもの]は[未知なるもの]でしかなく、[既知なるもの]へと昇華させる他はない。

でなければ――それは、[既知なるもの]だ。初めから――知っていなければならない。

電脳書架(データベース)には当然、該当するものなど無く。

知り得る機会は、今この時を於いて他にはない。


――解らない。


(ボク)は、何を、知っている――?



――[動体反応]――


……まあいい、そんな事は後回しだ。

魔人(ヤツ)を捉え、捕らえ、囚える――それこそがボクの任務(するべきこと)だ。


――[動体反応]――

――[動体反応]――

――[動体反応]――


探知機(ソナー)が多数の位置での反応を示す。

ヘル達だろうか。少なくとも、この水の中に居る筈だが――


――その時。


部屋そのもの(・・・・・・)が、激しく揺れる。


否――揺れているのは――


『――水、が――!!』


然り、己の意思(・・・・)で形を変え、揺らぎ震えているのは――この、水そのもの(・・・・・)


『――成程、そういう事か……!』


ボクの声に応えるように、揺れ動く衝撃が耳を打つ!


![ アタシの世界(ナカ)へヨーコソ――〓〓(めがみ)サマぁ! ]i


奇怪極まる波長振動(こえ)を響かせ、魔人(セクターナ)は勝ち誇るように嗤った――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ