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51話【しきさい、いろどられて】

「すまない、メガリス。

 ここからは、父と二人だけでの話がある」


『……はい、お姉様(ヘル)

 失礼いたします』


――ということで、謁見の場はひとまず終わりを告げた。


「~~♪ ~♪ ~~~♪」


……のだが。


「はあ~やっぱりお似合いですよう!

 もっとお洒落しないともったいないですッ!」


どうしてボクは今、フルカの着せ替え人形(おもちゃ)になっているのだろうか……?


『その、フルカ。

 状況の説明を――』


ボクの言葉を遮るように、フルカはにっこりと笑みを浮かべる。

……どことなく、獣のような威圧感を放ちながら。


「それはもちろんっ! 次の探索行への準備ですよう!

 前みたいに、水着みたいな服だけじゃあ[メッ]なんですよう!」


……水着みたいな……? ……ああ、この暗褐色(ダークカラー)装甲(アーマー)の事か。

確かに、競技衣装(レオタード)のようにも見えなくはなかったが――


思い出すと、頭部が熱暴走(オーバヒート)しそうになる。

ううう……なぜ、ボクは、こんな――


電子頭脳(あたまのなか)でひとしきり女神を罵倒する。

……少しだけ、気分(メンタルパターン)が落ち着いてきたような気がする。


大丈夫、ボクは――兵器(・・)だ。

だから――平気(・・)なんだ。


……やはりまだ暴走しているような気がしてきた。


一体何の話だったのか、あれは、確か――


――そう。

一つ、気になる単語が有った筈だ。


『次の[探索行]……ですか?』

「そうですよ~、ヘレノアール様のお仕事はいっぱいあるのです!

 だからお嬢様お付きメイドのこの私! フルカが一肌脱いでいるのです!」


『……その、服を脱いでは着せられ、脱いでは着せられてるのは、

 どちらかといえばボクの方なのですが』


「細かいことは言いっこナシですよう!

 探索行――ボウケンには装備が大切なんですっ!」


『――装備?』


……装備……そんなモノが、今のボクには必要だろうか?


装甲は強固で、脚や拳は(さなが)ら槍か、鉄杭か。

造兵廠(アーマリー)】を開けば、[情報書架(データベース)]次第でどんな兵装(ぶき)でも再現可能だ。


……そういえば、まだ銃器の類は展開したことがなかったな。

【魔物】相手ならともかく、対人戦(にんげんあいて)なら役に立つことも有るのだろうか。

……この世界の、[意志あるもの(にんげんたち)]相手に。


――と。


「どーしちゃったんですかメガリスさん?

 急に考え込んじゃったりして……あ! もしかして何かあります?

 着たい服とか! カワイイ装飾具(アクセサリ)とか!」


『違います、フルカ。

 ただ――ボクには、装備の必要は無い、と結論付けられましたので』


その言葉を言い終えた瞬間、フルカの表情が大きく変わった。

{ガァ――ンッ!}とでも音がなりそうな、ショックを受けた表情だ。


「ああっ、メガリスさんっ……!」


そして、そのまま涙まで浮かべ始めた。

……どうしたものか、其処まで酷いことを言ったつもりは――


「かわいそうなメガリスさん……遺跡でずっと眠り続けていたから、常識が欠落してしまっているのですぅ……」

うん……? これは、{哀れみ}……?


フルカは語気を強め、ボクの目をよく見てこう言った。


「……そう、そうなんですね! メガリスさんが衣服を拒絶するのは――」


おや、これは――?

……どこか異様な雰囲気を醸し出すフルカに、ボクは思わず後ずさる。


音が消え、数瞬。

フルカは、口を大きく開き――


「いいですか、メガリスさんッ!

 【女の子が、外で全裸になってはいけませんっ!!!】

 【人間は、服を着るものですっっ!!!】

 【だから、{ずっと全裸でいたい}なんて――言っちゃ駄目ですぅ!!!】」


『――!???』


否、待て。違う。

ボクはただ、防具の不要を告げただけで、衣服の要不要については一言も――


『誤解です、フルカ。ボクは――』


「問答無用ッ! 今回ばかりは強硬手段ですっ!

 この衣装部屋(クローゼット)の中のあらゆるものを使ってッ!!

 メガリスさん――貴女を、可愛らしくしてあげますッッ!!」




――ボクは、何処と無く悟ったのだ。

{"これ"には、逆らえない}と。


ボクは、なすがまま――彼女の人形遊び(しゅみ)に身を任せたのだった――

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