3話【思考】
この世界に於けるボクの存在とは、一言で言えば
『古代文明によって作り出された、人型の戦闘兵器』ということになる。
電子頭脳のアーカイブの中にあったマニュアルによると――
心臓部の魔導力炉を動力源として、特殊処理によって流体化させた金属を、
血流代わりにして全身を駆動させる変則型の魔導人形というものらしい。
機体名の記述もあった。
『人威追想機34式 対局地決戦仕様 ΓΓ改 ゼータオメガ^3』
……長い。
いくらなんでも、長すぎる。
長すぎるにも程があるというものだ。
これをそのまま名乗っても、名前であるとは認識されないだろう。
ボクにとっても、冗談の様に助長な名前は流石に御免被りたい。
とりあえず、何か適当に名乗るとしようか。
……待てよ?
そういえば、こういったシチュエ―ションには付き物の展開があったじゃないか。
{少女が見つけた不思議なロボット、それには名前がないという}
{すると少女がこう言った「じゃあ、貴方の名前はxxxね!」}
この手で行こう。
万一、あの娘のセンスが壊滅的だった場合――
……いや、よそう。
いざとなれば、前世の名前を名乗ると言う手も……いやだな、それは。
そうして、ボクは状況整理の思考を終了した。
時間にして、数瞬にも満たず。
完全調律された機械頭脳は、その全てを須臾の合間に終わらせていたのだ。