18話【うまれたままよりも】
――誤解だ。ボクは何も、服を着てない状態ではない。
ボクが揺籠から解き放たれたとき、
腕を除いた首から下は、ピッチリとしたスーツタイプの衣装に包まれていた。
今もボクは、その姿のままだ。
少なくとも、機械人形の衣装としては、違和感のないものだろうと考えられる。
……だが、しかし。
ヘルとフルカは、そう受け取らなかったようだ。
つまり。
スーツ状の衣装の部分は、そういう肌の色。
例えるなら、ボディペイント状態で活動していたようなもの、だと。
いや、いや、いや。
それは、おかしい。
誤解を解かなければ。
さもなければ――全裸で敵と戦う、変態猥褻少女兵器などという
名状し難きおぞましいものへと成り果ててしまうっ!
『誤解です。ボクは全裸ではありません。
この暗褐色の部分は着脱可能な衣服に相当するものです。
故に当機体は着衣状態に相当します。全裸ではありません』
「え、そうなのですか? わたしてっきり……」
『はい、着脱可能です。
ほら、この通りに――』
「はうっ!?!」
「メガリスさんッッ!!!」
な、何だ? 今度は何を間違えた?
着脱可能であることを示すために、スーツ部分を部分的にパージ――
――ああ。
……脱衣というのだ、それは。
全開放となったボクの胸部ボディは――
――それさえも、まるで人間そのもので。
とどの、つまりは。
この、状況、は。
・長い髪の小柄な少女が。
・胸元を曝け出し。
・無表情なまま。
・腕を後ろ手に組み、直立不動の姿勢を取る。
[すなわち]...
――□□□ ̄□ ̄Ζ_/▽\__□>――!!
鉄の鯨の声。
何を言っているのかは分からなかったが。
今、この状況のボクには、こう聞こえてしまったのだ。
「―□□□ ̄□ ̄Ζ_/▽\__□>――!!」
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ボクは。
ひどく赤面し。
足元に崩れ落ちて。
……涙を、流した。




