166話【神威】
【女神】 ―― 【天と地】 ―― 【星の瞬き】
―― 【違う】 ―― 【アレは】 ――
【生命を生み出すもの】 ―― ―― ―― 【領域を侵すもの】
―― 【何もかもを失わせる】 ―― 【大破砕】 ――
【楔】 ―― 【鋼の女】 ―― 【分かたれた、二つ】
―― 【かみさま】
[> じゃあね、【大地】の。 ]
「> じゃあな、【空】の。 」
......................[over]
『――!!!』
これは、何だ?
何だ、これは!?
女神の記憶――否!!
楔の記憶――それもまた、否!
然るに――おそらく――
――大地の記憶!
それも【大破砕】の直前――その実行者達の記録!
彼ら――彼女らは、何と言った?
【"大地"の女神】!
【大地】を屠ったのが――【大地の女神】自身だ、とでもいうのだろうか。
――そこまでは、いい。
【"空"の女神】!! ――これは、何だ?
空の女神は、[該当情報:なし]!
【虚空の女神】とはまるで似つかぬ顔――未知なる神!
当然、この世界にも【空】はある。
だがそれは、ヘル曰く――虚空と同時に存在しうるものだと!
[空の女神]は未だ健在か?
いいや、とても健在とは思えない。
この【空】と【虚空】が、同一の領域に混在しているからだ。
即ち[空]が[虚空]を含むか、[虚空]が[空]を内包する状態。
言うならば――同一化、一体化、結合――[融合]した、ということだ。
そして、そう――神は習合するものだ。
――ならば。
【虚空の女神】は【空の女神】を捕食した――或いは、その逆!
もし、そうであれば――[虚空の女神]は、既に[空の女神に捕食された]ということになる。
それは、由々しき事態だ。
――だが。
解法は、単純なものだ。
――空の女神に[この渦巻く憎悪]をぶつけてやればいい。
嗚呼……。
――なんだ。
結局の所、大して変わりはない。
別段、復讐劇を望んでいるわけでもないのだから。
――さて。
空の女神が何者かは置いておいて、今は――
「ハ……何かを喰ったようだな。だが――」
『――!』
「〓〓■■〓、■〓〓〓〓〓〓?」
打ち込まれる――旋風纏いし楔火!
四方八方より押し寄せる、圧倒的物量!
単純な防御は無力! ――ならば――!
『 [融溶鉄血・活性化]!! 』
――新素材! ルゥが持ち帰った、楔融溶鉄血を試す他ない!
『 [検索項目]――…… 』
創る兵装など決まっている。
穢焔の用いた楔火を――
『――!?』
溢れ溢れ溢流し、止め処なく噴き出る――
――これは、一体……!?
造兵廠から――鉄血が、勝手に――
『なッ――!?』
溢れ出た鉄血は、独りでに――掌の楔鉄血を目掛けて流れ込む!
――制御が、出来ない――!
これは、一体――
楔鉄血に触れた鉄血は、燦めく銀色の光沢を失い――
――光芒全てを飲み干し喰らう、[虚無の暗黒]へと変質する。
――それは、次第に。
当機の造兵廠に残された、残存鉄血さえも飲み込み。
黒鉄血は、なにかを――[〓〓〓〓〓]を、象りだした――
...
「メガリス、さんッ!!!」
――ルゥの呼ぶ、声がする。
その時、ボクが――辛うじて、見えていたものは。
当機の腕から伸びる、楔で出来た無数の触手と。
その触手が、穢焔を穿ち抜いた瞬間だった――




