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わがまま王女の騎士道物語  作者: もっこす
騎士になりたい王女
16/26

アルベティーナと不思議な旅人.15

 アルベティーナはゆっくりと目を覚ました。

目の前には良く知る自分の部屋の天井が広がっている。


アルベティーナはそのまま視線を右へとおろしていった。

目の前にはこれまた良く知る自分の親友が椅子に座りながら船をこいでいた。


「モナ……?」

アルベティーナは小さく呟いた。


そして目をカッと見開き、勢いよく身を起こした。


「むにゃむにゃ……あっ! アルナ様! おはようございます!」

その衝撃でモナも目を覚まし、笑顔を浮かべながら目覚めの挨拶をした。


「……」

しかしアルベティーナはジーっとモナの事を睨む

そしてバッとモナの両頬を勢いよく掴んだ。


「また私の事を様付けで呼んだわね~!」

そしてモナの頬を縦や横に引っ張った。


「いふぁいれふ~。ふぉめんなふぁい~」


アルベティーナは笑顔を浮かべ、パッと両手を放した。


「……おはよう、モナ」

そして目のふちに涙をためながらアルベティーナは目覚めの挨拶をした。





 あの戦いからアルベティーナは丸1日眠っていた。


魔物の襲撃により国はボロボロになったが、奇跡的に死者は一人もいなかった。


今は国の復旧作業に追われているが、国民の笑顔が誰一人として失われていないことに皆喜び、笑っている。



目を覚まし、綺麗なドレスに着替えたアルベティーナは謁見の間を訪れた。


そこには玉座に座る王と王妃の姿があった。


「おはようございます。お父様、お母様」

アルベティーナは深く頭を下げた。


「おはよう、アルナ」

王妃が優しく微笑む。


「おはよう。……体の調子はどうだ」

王が目を細めながらアルベティーナに尋ねる。


「はい、問題ないです」

アルベティーナは小さくうなずき、上目づかいで王の事を見つめた。



静寂があたりを包み込む。



「モナちゃんを守ってあげたんですってね」

静寂を切り裂くように王妃が微笑みながら尋ねた。


アルベティーナの表情がパァと明るくなる。


「はい! 私は大切な友を守るために勇敢に立ち上がりました!」

ドンッと薄い胸を自慢げに叩く。


「……素晴らしい行いだ」

王の低い声が響く。


「国民を、友を、大切な物を守る。それは王族の宿命であり使命である」


「でも……私の力でモナを守ることはできませんでした……」

アルベティーナは視線を地面に向け、俯いた。


「私たちはたまたま助かっただけです。もっと私に力があれば、モナをちゃんとこの手で守ってあげることが出来たはずです」

目の前に拳を持っていき、グッと力を入れる。


「……確かに守るためには力が必要だ」

王の低い声が響く。


その声を聞いたアルベティーナは顔を勢いよくあげた。


「ですから……「しかし」」


王の鋭く、冷たい瞳がアルベティーナを抑え込む。


「しかしお前が騎士になることは許さぬ。お前は誰かを守る前に一国の姫なのだ。騎士になることは王である私は断じて許さぬ」

低く冷たい声がアルベティーナの心に響く。


「ですが……」

「良いな?」


アルベティーナはグッと唇を噛み、深く頭を下げてから謁見の間を後にした。





 部屋に戻ったアルベティーナは窓際の椅子に座り、窓から外を眺めていた。


目の前に蘇るのは先の戦い。



軽やかに跳ねながら火を操るフェイ

幾多の魔法を操るツートン

強大な魔物を一撃で屠ったフォーレイ


あの不思議な旅人達の姿が、あの騎士に出会った時のように、心に刻まれて離れずにいた。



ボーッと外を眺めていたアルベティーナは目を閉じ、机をたたきながら立ち上がった。

そしてズカズカと部屋の中を駆け回り、旅に出る荷支度を始めた。


「お母様は言ってたものね。夢に向かって思ったことをやりなさいって」

そう言いながら肩掛けバッグに大量の替えの服や財布を入れた。


支度を終えたアルベティーナは机に向かった。


そして紙と筆をとり、父親と母親、大臣、そしてモナに向けて手紙を書いた。


ポツリ、ポツリと落ちてくる滴を何度もふき取り、アルベティーナは立ち上がった。



そしてバタンという大きな音を立てながらアルベティーナは部屋を出て行った。



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