New meetings
そんな生活がしばらく続いた。数えてないので正確ではないが、多分2ヶ月ぐらいだろうか。
ちなみに私がこんな生活を送っている事はまだバレていない。私の父、王とは元々そんなに関わってなかったし、女王は滅多に自室から出てこないので顔を見た事が無いかもしれない、という位だ。
毎日のように城を抜け出していた私を全然見かけないので親しい兵士や使用人は不審がっているらしいが、ソルテアが上手くカバーしているらしい。
全てソルテアが教えてくれた事なので確信は出来ないが。
カンカン
また今日もベッドで寝そべっていると、窓の方から物音がする。
首だけ動かしてそっちを見ると、一羽の鴉が窓をつついていた。
カンカンカン
急かすように音がうるさくなる。私はしょうがなくもぞもぞと動き、窓に手をかける。一瞬窓には外側からしか開けられない鍵が付いているのを思い出したが、試しに一回押してみると、それはすんなりと開いた。
その瞬間、一羽の鴉が黒い羽根を落としながら部屋に入り込む。
ふかふかのソファーに羽を休めると、途端に喋りだした。
「アンタ、この国の姫なんだろ?」
少し低い女性の声。それは間違いなく目の前の鴉から発せられたものだ。好奇心に勝てずに返事をする。
「そうだけど、鴉が喋るなんて聞いた事無いわ。あなたは何者なの?」