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一番大切な毒薬よ  作者: 羅井
第1章 ストレーマ編
12/14

Forcible

「アタシの代わりにシャトラに行ってほしい。」


まるでちょっとそこのティッシュを取ってほしい、と言っているかのような軽い口調に一瞬承諾しかける。

私が反論するより前に発言したのは、不機嫌そうな従者だった。


「何を考えているんですか?・・・まさか、あなたの呪いを解かせる為に動かすんじゃないでしょうね。」


「動かすなんて人聞きの悪い事を言うなよ!アタシはちゃんと両方ハッピーになるからこそ提案しているのさ。」


オルヴァンは少々大袈裟な動作で立ち上がると、人懐っこそうな笑みを浮かべたままこちらに近付く。

思わず、右足を半歩後ろに下げた。


「な、何・・・」


そういえば、前にもこんな事があったような気がする。

あれは・・・確かディルが面白いと言ってずずいと顔を近付けてきた時だ。シャトラの国の者は他人に近付くのが好きなのだろうか?

どうでもいい事を考えている間にも、距離は更に縮まっていた。


「んな怯えんなって。アタシが、ディルに鴉になる呪いをかけられた話はしたろ?これ、夕方だけは呪いの力が弱まって人間になれるんだ。だから今は人間の姿でいる訳なんだけど・・・おい、聞いてるか?」


思考の海から引っ張り出されたような気分で、改めて彼女の言葉に耳を傾ける。

また距離が縮まっていたので、そっと後ろに下がった。


「もしかして聞いてなかったろ?」


彼女が1歩前に出る。

私が1歩後ろに下がる。


「はぁー・・・何か話す気失せたわ。」


彼女が1歩前に出る。

私が1歩後ろに下がる。


「考え事をしていてごめんなさい。もう一度話してくれな・・・」


1歩前に出る。

1歩後ろに下がる。


「出来れば合意の上の方がやりやすいかなーって思ってたけど、いいや。」


1歩前に出る。

1歩後ろに・・・


ガシャン!


背中が窓についた。何故か心臓が警鐘を鳴らしている。

・・・ここの窓は、私よりも大きいものでは無かっただろうか?


「どうせアンタに拒否権とか無いし、一々説明してやる必要も無いじゃん?」


ゴウッ


風で髪がなびいたと思った時には、私は既に空中に突き飛ばされていた。



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