Penalty
「えぇ、宜しくね?オルヴァン。私はフォルテよ。」
2人仲良く自己紹介を終えると、隣から呆れたような溜息が聞こえた。
「はぁ・・・暢気な事ですね。今さっき毒薬を盛られかけたばかりだというのに。喉元過ぎればなんとやら、というやつですか?この数分でここまで私を呆れさせるあなたの言動には頭が下がります。」
辛辣だ。辛辣過ぎる。
言葉のナイフというナイフがズブズブ突き刺さるのを感じた。
だがこの元従者相手でもオルヴァンの調子は変わらない。
「まあまあ、年下相手に大人気ないよ。あれ、年下だったよな?」
「私は・・・」
私は何歳だっただろうか?何故だろう、思い出せない。
「この国では僕が19、姫が18ですから年下でしょうね。」
答えるのにもたつく私を鬱陶しそうに、面倒臭そうにしながらも答えてくれる。正直助かったので有難い。
ただ、1つだけ引っかかる所があった。
「この国では、ってどういう事?」
2人共、微妙な顔をする。
変な質問だっただろうか?私が引きこもっていた2ヶ月の間に何か変な噂が生まれたとか?それならば直ちに訂正しなくては!
心の中でひっそり闘士を燃やしていると、微妙な顔をしたままオルヴァンが答える。
「いやぁ、あんまり気にしなくていいよ!従者様も何か言い間違えたんじゃないのか?なぁ?」
「え、えぇ、まぁ・・・今のは失言でした。ただでさえ頭の容量が足りないんですから、それ以上お気になさらないように。」
どうやらこれ以上聞いても口を開いてくれなさそうだ。
仕方が無い、諦めるしかないか・・・
薄く開いた窓から、そよ風が舞い込む。
それと同時に、彼女は口を開いた。
「あのさ、こいつ今アンタに毒薬を盛ろうとしただろ?何か罰を与えたいとかあるか?」
未遂とはいえ殺されそうになったのだ。何か1つぐらい刑罰を思い付いても良いとおもうが、生憎罰を与える事なんてした事が無いのだ。何が丁度いいのか分からない。
こんな時にソルテアが居てくれれば・・・
私はかぶりを振って思考を吹き飛ばし、正直に何も思いつかない、と伝えた。
すると元従者は軽く眉間に皺を寄せ、腕を組む。
不快そうな彼とは対照的に、オルヴァンはご機嫌そうにニッと笑うとこんな提案を私に持ちかけてきた。