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A book worm  作者: 松本 和
3/4

第3話

「すみません。…今日も行けません。明日は、明日は行きますから。」

受話器を持つ彼の手はひどく震えていた。


「そう言って昨日も来なかったじゃないですか。」

病院の受け付けの言葉をさえぎり、電話をきった。



ついに、病院に行くのさえままならない。彼は大きくため息をつき、布団に寝転がった。


昨日と…いや、もう一週間近くこんな生活が続いているようだ。医師の話では一ヵ月彼は病院に来なかったとある。



もちろん患者が病院に来なかった間のことなんて『彼』以外詳しいことはわからないのだ。



そのため、話は一ヵ月後に飛んでいた。


__一ヵ月後。


患者さんがやっと病院に訪れた。医師はどうして彼が病院に来なかったのか、理由を尋ねた。


「お久しぶりですね。…どうしてたんですか?」


「ずっと、家にいました。」

「ずっと…ですか?」


「必要なとき以外は…。」医師は腕を組んで考える素振りをみせる。

「今日はどうして来ようと思ったんですか?」


「…なんとなく、です。たまには、いいかな…と。薬もきれていたんで。」



薬がきれていなければ、彼は今日ここにきていなかっただろう。もう自分ではどうしようもなくて、自分に鞭打ちながらここまで来たのだ。



「薬ですね。出しときます。…最近はどうですか?何か変わったことはありますか?」



「いえ。何も。何も変わりません。いつもと同じです。変わらず…平凡で。それで。」


そこまで言って彼は黙り込んだ。医師はそのことを深く追求せず、そうですか。それはよかった。と言って診察を終えた。



このとき。医師は診察をしていて感じた不安を診察書に書き留めていた。

彼は今危ない状態。精神が非常に不安定で、何も変わりのない平凡な毎日を生きることに、不満を感じているかも知れない。

……と。



この医師の判断で、彼は薬をもらうときに、「明日また病院に来てカウンセリングを受けてください。」と言われた。



また明日も病院に来なければならない。それは彼にとって面倒なことこの上なかった。



……………………。

死ぬはずがない。そう信じて読んでいたけれど、彼は医師に危険な状態にあると言われている。


このまま死んでしまうのか?…続きが気になり、私はまた本の中の世界に入り込んだ。

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