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2,ブリッジ世界を知る


 彼の目の前には目を回して気絶している年不相応の赤おパンティを丸出しにしている少女。

 彼はいつものポーズで仁王立ち……もとい仁王ブリッジ。


 爽やかな風が反転した世界を眺める彼の頬を優しくなでる。



「うむ。ここはどこだ?」



 彼の声に返事はない。どこかで牛のなくモォ~という長閑な声が聞こえるだけだ。

 もちろん目の前の赤パン……もとい、少女も気絶中なため返事を返すことはない。


 どうしたものか、と首を傾げるが彼が首を傾げるとレスラーブリッジよろしく僧帽筋のトレーニングにしかならない。

 いや頭板状筋のトレーニングにもなるが彼の発達した筋肉ではその程度の負荷は意味をなさない。


 しばらくいざり這いを極限まで発達させた108の技の1つ「いざーりHigh」を駆使してうろうろしてみるが景色は緑と点在する牛っぽい何かだけだ。


 しかし、うろうろしたのは効果があったようだ。少し離れたところの森っぽい木がたくさんあるところから何やら音が聞こえてきた。

 それは某ぽんぽこな音頭。直訳するならぽんぽこ囃子だ。


 だが今彼がいるところからではほんの少ししか聞こえてこない。ともすれば空耳~あ~○~になってしまうレベルだ。

 だが彼の108の技の中にはそういったことにも対応できる技が存在する。

 耳に集まるはブリッジパワー。灼熱の温度を音頭に変えて流れる熱き血潮。発動するは「みみがよくきこえーる」である。


 最大可聴域が人間のソレを遥かに上回り、人ならざる者すら感知する領域に突入する。



「まちゃーがれこのくされ人間が!」


「ひぃぃぃいいいい」


「てめぇうちのパンツ返しやがれ! 股からそのしょぼいもん引っこ抜くぞゴラァ!」



 捉えた音は何かが何かを追いかけている声。

 葉っぱや枝が体に所狭しと当たる微量な炸裂音をまったく気にせずに逃げていることから相当形振り構わぬ状況だとうかがえる。

 とてもじゃないがぽんぽこ囃子ではなかった。やはり空耳だったのか。

 彼の通常の聴覚ではその程度なのだ。しかし108の技を駆使した時の彼はまさにKAMIに匹敵する存在へと変貌する。


 故に、捉えた音声の中に気になるものがあったのを彼は見逃さなかった。

 そう……パンツである。


 パンツ。


 先ほどじっくり見学した真っ赤なおパンティもそうだが、ここでもまたパンツである。

 故に彼は首を捻る。レスラーブリッジを軽々とこなし常時トレーニングを怠らない彼の僧帽筋も疑問符をあげるが答えは返ってこなかった。


 そうこうしているうちに森から相当慌てた様子の男が飛び出てきた。

 108の技の1つ「おめめがよくみーえる」を駆使した彼の視界にはしっかりとその男が握る例のブツが見える。



「うむ。少し濡れているな……洗濯したものを盗って来たのか。なっていない」



 彼の呟きが終わるや否や男を追って出てきたのは般若の形相の緑色の肌を持つ女性だった。

 手には木を荒削りしたような粗雑な棍棒。

 体に巻かれているのはたわわに実り、激しく揺れ動いている大きな2つの山を隠す布。

 男を追いかけかなりの速度を出すことが出来ている健脚を申し訳程度に隠すこれまた布。


 要するにほとんど隠せていない服だが、それでも一応服である。



「うむ。アレはなんだ」



 彼の問いに答えるものは当然いない。

 そうこうしているうちに男に追いついた緑色の女性は棍棒を一閃。

 男の頭をまるでスイカを叩き割るが如く粉砕した女性は亡骸から湿ったパンツを取り上げ、ふんと鼻息を1つして森に戻っていこうとしていた。



「うむ。なっていないな」



 彼は次の瞬間には高速で移動を開始していた。

 彼の移動速度は脅威の一言。いざーりHighを最大限に駆使したその速度たるや駿馬のトップスピードを軽く凌駕する。



 瞬時にして緑の女性の進行方向上に立ちふさがった彼を見て緑の女性は思わず棍棒を取り落としそうになってしまった。



「ッ!? ……な、なんだい……あんた……?」



 彼の動き、いや彼のポーズを見た緑の女性が呻くように臨戦態勢を取る。

 ただし、左手には湿ったパンツ。

 肩幅に開かれ腰を落とした状態からは微妙に中身が見えそうだ。



「うむ。悪くない」


「な、何がだい?」


「うむ。その姿勢だが、悪くない。欲を言うなればそうだな。

 もう少し腰を落としたまえ」


「な!? くっ!」



 彼の言うことを瞬時に理解した緑の女性は咄嗟に腰の布を抑えて内股になる。

 そんな隙を見逃す彼ではなかった。



「うむ。とーう!」


「ハッ! なにぃ!」



 炸裂するは108の技の1つ「じゃんぷしてとーう」。

 仁王ブリッジ状態から反動なしに10mは跳躍した彼は空中で3回転半捻りをして太陽を背に見事なとーうを決める。


 緑の女性がその素晴らしきとーうに目を奪われ完全に硬直してしまっている中、完璧な着地を仁王ブリッジで決める。

 音も無く静かに、だが僧帽筋と頭板状筋を駆使した完全なる着地。

 5点着地法を部分的に駆使した完全なる衝撃殺しの技だが、これには108の技は使われていない。完全に彼のオリジナルだ。


 振り返った緑の女性の緑の頬は今は赤く染まっている。

 見事に決まったじゃんぷしてとーうにより、完全に堕ちた緑の女性が花もかくやという笑顔を振りまきつつ猛烈な勢いで突進してくる。



「素敵よっ! 抱くわ!」


「うむ。だが止まれぃ、虫けらがッ!」



 彼の唐突な命令口調に術中に堕ちた緑の女性が緊急停止と同時に背筋を伸ばす。



「Sir! Yes,Sir!」


「うむ。まずはその持っているパンツを履くがよい」


「Sir! Yes,Sir!」



 鬼教官へと変貌した彼の言葉により瞬時に緑の女性は蛆虫以下の新米兵と化し、教官の言葉は絶対という楔が心の深いところに打ち込まれる。


 ささっと棍棒を投げ捨てた緑の女性は持っていた湿ったパンツを徐に履き始める。

 湿っている為ちょっと……いやかなり嫌そうな感じだ。

 パンツを広げ片足を通す時に若干見えそうで見えない布の奥。

 まさに秘境。

 108の技の1つおめめがよくなーるを駆使している彼にとっては秘境もまたジャングル。

 だがそのジャングルはまさに自然のなせる業。

 緑の女性に恥じない緑化現象である。


 履かれようとしているパンツもまたおパンティ。

 だが背面部の面積が極端に少なくなっている所謂Tバック。

 Gストリングのような極端に布地の少ないTバックではなく、前面部の面積を広く保ち背面部も面積をある程度維持しているソングだ。

 だが緑の女性の巻いている布を見ればソングを履く意図がわからない。

 ソングは基本的にショーツラインが出にくいためそういったアウターを着る場合に有用な下着だ。

 意図はわからない。だが彼女が履く意味はある。

 それは魅せることを重視した場合である。

 ソングは背面部の面積がGストリングなどと比べると大きい。だがそれは逆を言えば秘所を隠すためのチラリズム効果をあげることを意味している。

 その上巻きつけている腰布。そこからチラっと見える背面部の布地。まさにミセパン。

 男という生き物にとってミセパンであってもパンツはおパンティ。

 彼に言わせれば丸見えよりはチラっと見える方がえろい、である。


 湿ったおパンティを履き上げた瞬間の緑の女性のなんともいえない表情は彼の中の永久保存フォルダにしっかりと格納された。

 羞恥と湿り気、屋外と涼やかな爽やかな風が優しく肌を撫でるシチュエーション。

 永久保存に相応しいまさに人外秘境であった。



「うむ。よい履きっぷりであった。パンツは履かねば意味が無い。そして一度履いた物で無ければ意味が無い」


「Thank you,Sir!」


「うむ。して君はなぜ肌が緑なのかね?」


「Sir! うちはオークであります! Sir!」


「うむ。……うむ? ここは地球ではないのか?」



 彼は自分が立っている惑星だいちが元いた場所ではないことを始めて知ったのだった。





ひーどーいー……。



某所のネタは一体どこから出てくるやら。



次回予告

知を知れば地を知る。

智を知れば痴を知る。

コレ須らく羞恥なり。

次回「ブリッジちを知る」


続きません。

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