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1,ブリッジKAMIに会う

 6畳1間の空間に1人の男が居た。

 その男が数多いる他の男と違う点は男の現在の体勢だろう。

 えびぞりになり、頭頂部を畳みに擦りつけ腕を組む。

 そう……彼の体勢とはブリッジ。

 しかも三点倒立型変則ブリッジだ。


 だが恐るべきことに彼の頭板状筋のしなやかさと太さは常軌を逸している。

 首を曲げたり回したりする際に使う筋肉ではあるが、彼のそれは常人の2倍。

 およそプロレスラー並の太さを誇っている。


 見るべき点は他にもある。

 均整の取れた完璧なブリッジポーズ。

 両足と頭頂部だけという畳との接点に対してバランスは例え震度5の地震が来たとしても崩れない。

 震度6ならば危ういが、彼ならば歯を食いしばってなんとか耐えられるかもしれない。


 そんな彼の日常はブリッジと共に始まり、ブリッジと共に終わる。

 朝起きればブリッジし、夜寝る時もブリッジする。

 全てはブリッジのための人生。



 そんな彼に唯一目をつけた者が居た。



 今日も忙しい1日が終わり、帰宅した彼はふいにブリッジをする。

 玄関の扉を閉めた瞬間にはブリッジの体勢に。

 鍵を閉めるのはブリッジポーズのままだ。

 そのままいざり這いを駆使して頭を擦りつけながら移動。


 だが常ならばそこは玄関を抜けた廊下だったはずだが、今居るところは違った。



「ようこそ、ブリッジャー。私はKAMIだ」



 彼が目にしたのは正常な状態の顔。

 それは彼にとっては正常ではない。

 彼はブリッジポーズのままだ。ブリッジポーズのままで正常な状態の顔が見れるのはおかしい。

 故に相手がブリッジポーズであるということを彼は理解することができた。



「あなたが……KAMIか……?」


「Yes……私が……KAMI……だ」



 彼はこの日この瞬間、運命の日を迎えた。







◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆







 あれから20年の月日が流れた。

 KAMIは彼にただひたすらにブリッジの素晴らしさとその体勢でのみ扱える108の技を伝授し続けた。


 ブリッジポーズのまま脳に血液が集まり過ぎない体内循環法から始まり、魔法の如き技まで108の技を全て伝授した。

 かけられた年月が20年。


 その間彼は強制的に不老となり、ついでに不死にもなっていてKAMIの修行とすらいえない拷問に耐え切った。

 108の技を全てマスターした彼にKAMIは言った。



「飽きた」


「Oh...」



 瞬きした次の瞬間に場所が入れ替わり、彼の視界は赤に染まった。

 何が起こったのか彼が理解する前に事態は動いていた。



「きゃあああああああッ!!」


「な、なんだ!? 何が起こった!?」



 彼の顔を挟むように柔らかい、だがしなやかな感触の何かがぐりぐりと押し付けられる。

 視界いっぱいに広がっていた赤はよく見るとわかるクロッチ。

 何が見えているのか彼は一瞬で理解した。


 そこからは時間がまるでゆっくりと流れるかのようなまるで死の危機に瀕したときに感じるアレのような感覚が始まっていた。


 材質は恐らく綿。

 クロッチは二重構造の一般型。

 縫い目が少し粗いがこれは手縫いか。ならばよく出来ている。ただしプロの業ではない。

 機械縫いである場合こういった粗はでにくく均一性が増すが味がない。

 彼としてはこういった手作り感溢れる方が好みでもある。

 距離が近すぎるためかそれ以上はあまりよくわからないが、彼にとってそんなことは大した問題ではなかった。


 さらに彼は危機的状況にあるという走馬灯感溢れる場面であるにも関わらず嗅覚が正常に機能していることにも気づいた。


 鼻腔を通り喉を通過する際の味わい。

 そこには微量ながら干した草の匂い、塩ッ気とアンモニア臭が感じられる。

 1日程度履いただけでも女性の下着という物は匂いを発する。それは人体構造上仕方ないことであり、彼も理解している。

 だが彼の嗅覚はそれ以上にこと細かく匂いを判別していた。

 これは履いてから1日。もしくは軽い運動、排尿を含めると半日そこそこといったところか。

 匂いとそれらの成分、視覚情報を加味し結論付けられるは持ち主は草っぽい何かに覆われた空間で仕事をしていた直後であり、今焦っているということだ。

 酷く慌てているということがわかる匂い。

 彼にはわかる。わかってしまうのだ。


 だが、わかった瞬間後頭部に衝撃が走り彼の口に叩き込まれるは綿の感触と濃くなるNIOI。


 瞬時に脳裏に鮮やかな光景が広がっていく。

 それは牛舎で働く1人の少女。

 飼い葉を自身の子供のような子牛達に食べさせながらたおやかな笑顔を振りまく、そばかすの残るあどけない顔。

 朝早くから仕事を牛の世話をはじめ牛達を放牧した瞬間、彼女は不思議な光に包まれた。


 彼は理解していた。

 これはKAMIから伝授された108の技の1つ「ぱんつたべるとみえーる」だ。



「ふごふごふごー!」


「いやああああああああ」



 時間の感覚が戻ると共に彼の口から言葉が溢れるがそれらは意味を成すことなく全て眼前の一際赤いクロッチに吸い込まれていく。

 吸い込まれていくたびにねじりよじり、彼の顔を縦横無尽に締め付け続ける柔らかいもの。


 だが彼もやられてばかりではいられない。

 20年の月日で培った108の技の1つ「いたくなくなーる」を使用してダメージは最小限だ。

 ただしダメージが0にはならない。むしろ柔らかいし目の前の光景はなかなかに味があるもので、実際味があるので回復しているような気さえするが、いつまでもこうしているわけにはいかない。

 故に緊急脱出を試みることになった。


 だが彼はこの20年ブリッジをし続けている。

 食事もブリッジ、寝るときもブリッジ、トイレもブリッジ。

 ついでにいえばKAMIもブリッジ。


 故にブリッジをする。

 彼に出来ることはこれだけだ。



「いいいいぃぃやあああぁぁぁぁぁああ」


「ふんがー!」



 がっちりと万力のように挟まれたHUTOMOMOにより彼の顔をロックしてしまった少女を乗せたまま彼は瞬時に前後運動を開始する。


 これぞ108の技の1つ「まえとうしろにうごーく」である。


 高速で為される前後運動に堪らずロックを外し転げ落ちる少女。

 落ちたのを確認した彼は反転した御馴染みの世界で始めて少女を見る。



 横に転がってスカートが完全にめくれ上がっている少女のあどけない顔には不相応な真っ赤なおパンティ。

 所謂フルバックと呼ばれる完全にお尻を隠すことができる一般的なタイプだ。


 横からなのであまりよく見えない。

 なのでかさかさと草を奏でながら移動し、よく見える位置を陣取ると観察が始まった。


 やはり思ったとおりの手縫い製のフルバック型。

 真っ赤なクロッチ部分の他に前面部の中央上部にワンポイントのリボンが小さく乗っている。

 刺繍などの華美な装飾はなく、実用一辺倒ではあるがそのワンポイントが小さく少女のさり気無いお洒落を演出している。



「うむ。よきパンツなり」



 風に乗って彼の言葉がゆっくりと流れた。





ひどい……。


えー……真面目な連載ではありません。

続きは拾ったネタを練り合わせてねるねるねーるねしたら書くかもしれません。


次回予告

彼は知るこの世界が自分が元いた場所ではないことに。

非常なる世界の常識が彼を襲う。

次回「ブリッジ世界を知る」


書かないってばー!


5/10 修正

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