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第4話 水蓮高校

ここ、私立水蓮高校は一学年7クラス、計840人が通っている学校である。



偏差値はそこそこ高く入るためにはかなりの学力が必要である。



だが実際は裏口入学が横行していて、事実上金さえ積めばそこまで頭の良くないやつでも入れる。



噂によれば市長と繋がりがあるだとか、政府の人間と癒着しているだとか色々言われているが、結局この不正は現在も続いており、俺の学年でもそれで入学したやつは少なくない。



だが私立と言うだけあり、設備は綺麗で整っており、教室一つ取っても他の高校とは比べ物にならない。



その広さは約10万平方メートルと、平均的な高校の大きさの約1.7倍程である。



校舎の外壁は汚れが殆ど見当たらず、内壁に至ってはゼロと言っても良い。



この綺麗さを保っているのは1週間に一回日曜日に行われる、業者によるメンテナンスであり、そこに膨大な金が掛けられているのは言うまでもない。



また、この学校では黒板の代わりにホワイトボードが使われており、チョークの粉が教室に舞う心配も無い。



加えて、食堂や購買も当然のように存在し、特に食堂は、外食と遜色ない程のメニューが揃っているのに、外食より遥かに安い価格となっているため、一般的な体育館が1つ入りそうな広さの食堂がいつも満席になるほど人気だ。



更に、各部活動のための設備や器具も充実しており、学校にジムも備えられている。そのためか、この学校は全体的に部活動が強く、全国出場している部も少なくない。



ここまでの手厚いサポートや設備の代わりに、学費は普通の家庭ではどうやっても手が届かない程高い。



しかし、1年ごとに決まる成績優秀者上位10名は特待生としてその学費が免除される仕組みとなっているため、そこに3年間入り続けることができれば無料でこの設備を利用することができる。



ここまで聞くと、お金の問題さえ除けばかなり良質な環境であり、夢のような高校となっている。



事実、”この高校の設備自体”は最高の一言であり、この学校に入学したい人が日本で溢れる一因となっている。



だが、そこを利用する人間はお世辞にも良いとは言えない。むしろ、最悪とも呼べるものだ。



この学校に通える人間は皆金持ちであり、家の持っている権力や資産で学校での立ち位置が決まるカースト制度が存在してしまっている。



当然、俺たち特待生への当たりもきつく、そうでなくても、上の者は下の者へ命令し、下の者はそれに従うしかないという状況であり、いじめが当然のように起こっている。



しかし、何より狂っているのは、このような状況を作っているのは学校であるということだ。



学校側は常にこちらに対し無干渉を貫いており、いじめが起こっていようと一切止めない。



例えば、授業中に目の前で人を殴っていようが教員は平気で無視をし、授業を進める。



要はカースト制度やそれに付随するいじめを完全に容認しているのだ。それがあたかも当然のことであるかのように。



例え、学校側が頼りにならないからと、警察や教育委員会に訴えてもあちら側の人間は取り合わず、むしろそれ自体を揉み消され、無かったことになる。



これが、学校が政府と癒着していると言われる理由の一つでもある。



上は何をしても許され、下は上に逆らえない。



この学校はそういう場所なのだ



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