第六話 精霊さぁぁぁん!頑張って生きてぇぇぇ!
「いや駄目だよ?うちペット禁止だし。」
「ちょちょちょ、待ーった!誰がペットじゃい!そこは可哀想な私を助けて仲間にするアレじゃないんですか?」
「頑張って仕事探してね。じゃあね!」
「少しくらい私に同情してくれても罰は当たらないと思いますよ?!」
だって君元気そうじゃない
「はあ、じゃあ一応理由くらいなら聞いてあげるよ。どうして精霊の里から逃げ出したんだい?」
「よくぞ聞いてくれました!あそこは田舎だし、美味しいものないし、動物と戯れることくらいしか娯楽がないしで最悪なんですよ!
だから私は嫌になってあの精霊の里から逃げ出してきたんです!垂れ死にそうになっていた私可哀想!だ・れ・か・私を助けてくれるような優しい人は居ないでしょうか〜???」
すごくしょうもない理由だった。というかその悲劇のヒロインみたいなポーズでこっちチラチラ見ないで?
オヨヨじゃないよ。
精霊の無駄に長い話をまとめてみるとこう。
私は田舎が嫌いなシティガールですぅ。
だけど頭が緩いせいで都会に来て野垂れ死にそうになっちゃってましたぁ。
って感じか。
………………いや帰ろうよ。
話聞く限り美味しいものない以外最高のところだったじゃん。
全社会人の夢であるスローライフ達成しているじゃん。
絶対付いてこさせないからね?
このアホ精霊をどうするか決めたら手に串焼きが一本だけ残っていた事を思い出した。
割と長い時間経っていたから冷たくなっている。
出来立てよりは味が落ちているだろう。
だが、それでも香辛料の暴力的な匂いが残っており食欲を刺激してくる。
あの精霊をどうこうする前に先にこっちを食べてもいいと思い、僕はゴクリと喉を鳴らして……………
ーーーーーーーー
「「「リオン(君)見つけた(わ)!」」」
家族同然の三人組に見つかった。
見つかったあとも早く食べようとして口を開けると、ツツジちゃんがこちらの串焼きをキラキラした目で見てきたので一口も食べずにあげた。
元高校生だった僕の汚い心は、子どもの純粋な目には絶対に勝てないのだ。
とてもいい笑顔でお礼を言ってきたよ?
美味しそうに食べながら。
チクショウ!ついてないことが連続している!
あぁ……串焼き食べたかった………
「はじめましてフラウです!私は精霊の里を飛び出したせいで行く当てもなく、限界に達して行き倒れになってしまっていた時に、そこの人間に助けてもらったんです!もしかして三人はこの人間の番ですか?」
「あら番だなんて……他の二人は違うけど見る目があるわね。行く当てがないならうちに来る?」
「まぁまぁ……この二人は違いますけどよく分かっている妖精さんですね~。うちには娘が一人いるけどそれでもいいなら来ますか?」
「大正解!この二人は違うけど、流石精霊さん!行く当て無いんでしょ?私の家おいでよ!」
串焼きのことを考えてぼーっとしていると何故か三人とも引き取ろうとしていた。
怪しい魔法でも使ったんだろうか?
まあかかっている雰囲気はなかったから違うんだろうけど。
最終的に初め、僕が助けたということでうちに来ることになった。
え、ちゃんとその精霊から事情聞いたんだよね?
「これからよろしくお願いしますぅ!キュルルン!」
キュルルン!じゃないよ、なんでだよぉ!
そうして新たな仲間の精霊、フラウを連れて帰宅した。
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リオンが帰宅してからの三人組サイド
「リオンが他の女にたぶらかされたりしてないようで良かったわ。精霊と話したらしいけどそっちは大丈夫ね。精霊は全て女の姿をしているけど実際は性別なんてないから。」
「ね~わたしのリオン君が無事でよかったあ。一人だけ女の匂いがしたから辿っていってみたらあの串焼き屋だったしね〜。あそこの店員さんも急すぎて話しかけられなかったみたいだし。」
「他の女のフェロモンが付いてなくてよかったですよね…………でも不思議。あたしたち全員リオの匂いが追えるはずなのに途中で途絶えるなんて。次から出かける時は手錠でも掛けて行こうかな?」
「「ありかもしれないわ(ね〜)」」
「………………こ、ここの家に転がり込んだのは間違いだったかもですぅ〜!!
で、でも美味しいもの食べれるかもですし………とりあえずリオンさんには黙っておきましょう。言ったら私が、殺されるかもしれませんし。まあ、大丈夫です、よね?」
盗み聞きしていた精霊の泣き声が聞こえたとかなんとか。
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