第四話 空間魔法で大脱走
「なるほどね~」
僕は空間魔法の能力を確かめていた。
最初はスプーンをテレポートさせて、順にお皿、火を付ける用の薪、小さめの椅子と大きくしていく。
どうやら僕は転生者ということで魔力がとても強大のようだ。
テストの最後の仕上げとして家の屋根裏にいたネズミを移動させてみる。
他の生物が通っても大丈夫なら僕もいけるだろう。
さあネズ吉くん、僕のために頑張るんだ!
「うん全然問題なさそうだね」
ネズ吉くんはしっかりと役目を果たしてくれた。
この子は窓の外へと離してあげる。
ありがとうネズ吉、君のことは忘れない!
ということで僕が通っても多分大丈夫だろう。
部屋の端っこに移動するのをイメージし、テレポートを発動させる。急に景色が変わり僕の目には部屋の入り口のドアが映っている。
どうやら成功できたようだ。
僕はこの能力を使って外へ出る!
窓の外から見える森をイメージしてテレポートを発動させる。
また景色が変わり僕の目には大きな木が映った。
やった!成功だ!
特に目的もないけど森の中を散歩してみよう。戻ろうと思ったらすぐに戻れるし。
「うわぁ見たことのない果実に動物がいる!」
果実はバナナのような形状に桃色を付けたかのような見た目をしている。
これだけでも十分驚きだが動物のほうが驚いた。
何故ならその動物はただのウサギやリスなのだがもれなく角がある。
もしかしてこれは魔物というものだろうか?僕に襲いかかってくるわけではないようだけど。
そのまま僕は歩き回ることにした。
ーーーーーーーー
それからしばらくして、遠くから悲鳴が聞こえた。
僕は急いで声のした方へテレポートをする。
そこにはとても大きな豚を二足歩行させ醜くしたかのようなファンタジー世界におけるオークのような魔物が複数で騎士のような人達と戦闘を繰り広げているところだった。
僕は咄嗟に空間魔法を使う。
練習したことがない魔法だがおそらく大丈夫のはずだ。
そして……………
……………その瞬間空間が裂けた
オークのような魔物はここに存在しなかったかのように血も肉も残さずに消えた。
良かった、勝てたみたいだね。
先ほどの騎士たちがこちらへ寄ってくる。
「もしかして君が助けてくれたのか?」
代表のような綺麗な銀髪の女がこちらへ問いかけてきた。
「はい、ピンチだと思って咄嗟に助けたんですけどもしかして迷惑でしたか?」
「いや助かった、私達ではあのお方を守りきれなかったかもしれないからな。」
そのままその女性は続ける
「どこから急に出てきたんだ、あの魔法は何なのだ、とか色々聞きたいところだがひとまず良い。助けてくれた君の名前を教えてくれないか?」
うわどうしようここで名乗ってしまうと母さんに話が伝わって外に勝手に出たことがバレてしまうかもしれない。
そうこう考えていると騎士たちの近くにあった馬車から一人の同い年くらいの女が出てくる。
「助けていただいてありがとうございました。
私は王国の第一王女シャーロット・リリアナと言います。ぜひ私にもあなたの名前を教えてくださりませんか?」
おっとこれは予想外だ。
騎士たちならまだ教えても良かったが王族を助けたなんて知られたら確実に母さんの耳に入ってくるだろう。となったら取る行動はただ一つ!
「大したものではありません!僕は用事を思い出したので失礼しますね!」
僕はテレポートを使い速攻帰宅した。
「いやー危なかったけど何とかなってよかったぁ」
外に行ったらまた誰かと遭遇してしまうかもしれないし、しばらくはおとなしく家の中にいよう。
ーーーーーーーー
「何だったんだあの子は………あのSランク級の魔物、エルダーオークを複数同時に葬り去るなんて…………」
先程の豚のような魔物は一体だけでも街を滅ぼす力を持つと言われているSランクの魔物。
エルディア王国最強と呼ばれた騎士団長の私だけなら複数体相手でも最終的には勝てただろう。
だが王女様は守りきれなかったはずだ。
「騎士団長さっきのお方をどんな手を使ってもすぐ探し出しなさい」
「はっ畏まりました!」
「それと気が付きましたか?あのお方が男だと言うことに」
「ええもちろんです!あの凛々しい顔を見て分からないものはこの騎士団にはいません!」
「なら分かっていますね、あのお方の事を誰にも話してはいけません。これは王女としての命令です」
「はっ!」
「……………王女という助けたら確実に褒美をもらえる存在に手柄を誇ることもなく名前も言わずに去っていくだなんて。しかもあの美しさ!……………これは絶対に手に入れてみせるわ。」
「……………王女様もあの性格が良くて力も強く美男子なあの方に惚れない訳が無い。だが立場ある存在のため自分で動くことはできないはず。……………即刻見つけ出し我が騎士団で内緒で保護(監禁)してやる。」
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