暗殺者は観覧車から卒業する
久しぶりに投稿になります。
なろラジネーム[あださん]です。
お読みいただきありがとうございます。
僕が暗殺者として仕事を始めてもう20年以上になる。
ターゲットは組織の罠により暗殺される場所に誘い込まれ、僕はいつも観覧車からターゲットを始末している。
引き金に手を掛けるときは、いつもボスからの教えを頭に浮かべる。[自分の感情は捨てろ、唯…黙って…引き金を引け]そしてターゲットが倒れたのを確認したら、何もなかったように観覧車から立ち去る。それが僕の日常だった。
が、とうとう僕も卒業する時が来たようだ。まさかターゲットに惚れてしまうとは、僕の暗殺者人生で初めてだった。
ボスには隠してきたが、ある日隠しきれずに白状した。消される覚悟をしていたが、ボスは呆気なく承諾した。
新しく名前を得て、暗殺者としてではなく普通の青年として人生がスタートした。例のターゲットとも晴れて恋人になれて自由になった...はずだった。
しかし組織は許してくれてなかった。
あの観覧車で彼女にプロポーズしようとした瞬間、何かが額を撃ち抜き目の前が真っ暗になった。
ああ、ターゲットは自分だったのか。
彼女の悲鳴…額から流れる鮮血…
薄れゆく意識の中、組織を抜ける時に言われたボスの言葉が浮かんだ。
『卒業、おめでとう』