ナナリは非情が過ぎる!?
ボルテアは自分達を襲って来たチンピラ達を一人残らずボコってナナリ…ヌシュドとアリンの所へと駆けつけた。
「あ〜、やっぱ敵さん殺っちまったか。」
「何か問題?」
「んや、ない。アリンとヌシュドは無事か?」
「あぁ、俺もアリン無事だ。助かったぜ。」
ヌシュドはぐったりした悪漢の上に乗りながら左手をヒラヒラさせ、アリンがボルテアに駆け寄った。
「ボルテアさんは怪我はないですか!?」
特にボルテアは傷らしい傷はないが、アリン心配してもらい嬉しげに笑う。
「ああ、無事も無事、大無事。…ナナリは…何、其奴の顔切りつけてんだよ、エッグッ。」
ヌシュドに抑えられた悪漢は右耳を削ぎ落とされてから誰が依頼人…とかいろいろと拷問されて聞き出されていた。
「…で、あたい達襲ったチンピラは何も知らなかったけど依頼人は…やっぱ彼奴?」
ナナリは頷きヌシュドが大きな溜息と共に答えた。
「あぁ、依頼人は“ヴェルズ”、本命は俺でお前等は足止めで襲われた。」
ボルテアが脱力しながら顔をしかめる。
「んだよ、完全にとばっちりじゃねえか。関わり合いたくねえ言ってた側からこれかよ。」
するとナナリはナイフを収めてヌシュドに悪漢から降りる様ポンと叩いた。悪漢は透かさず飛び起きてその場から逃げ去った。
「良かったのかよ、彼奴仕返しに来るんじゃね?」
「多分仕返しはない。拷問で顔死なない程度に刻んでやったから普通なら現れない。
…でも、ある事実が解った。ヌシュドを襲ったのは“千牙”。」
ナナリの口から意外な名が飛び出し、ヌシュドとアリンは息を潜める。
「マジかよ、ヴェルズが千牙雇ってヌシュドを襲わせたって事か?」
ナナリは頷く。
「ヌシュドは中級冒険者、町の不良じゃあ敵わない。殺すなら同じ中級か上級冒険者、或いは本職。
冒険者は雇えないから本職に任せる。彼奴、直球でお前は千牙か?
…て聞いたらどんなに顔切っても答えなかった。頑なに口を噤むのは自分が千牙のメンバーと答えたのと同じ。」
「無理矢理な解釈だな。」
ボルテアは突っ込みを入れる。しかし本職…殺し屋を雇われる程にヌシュドはヴェルズに邪魔者と思われ疎まれている事になる。ヌシュドが力なく立ち上がるとアリンが彼に寄り添った。
「ヴェルズとは反りが合わないと思いはしたけど…まさか殺したい程に嫌われてたとはな。さすがにへこむ…。」
ナナリはそんなヌシュドに目を向け、ヴェルズに対し憤りを感じた。
「ヌシュド、黒鉄の一閃を抜けなさい。
私達は黒鉄と敵対を決めてヴェルズを殺す。後の二人も歯向かうなら殺す。」
口調が変わっている。ナナリは怒りが溜まって来ると少し幼い口調が大人の年相応に変わる。
今、彼女は自分たちのみならず仲間にも牙を向けた愚者に怒りを膨らませていた。
「分かった、明日にでも脱退を告げる。…アルドを確実に裏切る事になるな。」
「貴方が黒鉄でヴェルズといればずっと狙われる。アリンが危険に晒される。
もしアリンに何かあれば…、お前も敵だからな。」
「言われるまでもない…。」
…とは言って強がるヌシュドだが、先程の敵への拷問を見せつけられ、ナナリに対し恐れを抱いた。




