亜人娘は一蓮托生!
「あたい等ハニートラップ仕掛ける程男経験ねえだろ。」
「フフン、甘い。わたしは本懐を遂げている。」
一瞬空気が凍り、ボルテアとアリンが「「ええええっ!?」」…と叫び声を上げてしまい、ヌシュドは反対に声を詰まらせた。
「ふんふん、誰かとは後々教えてあげよう。」
ナナリがドヤ顔で自慢するが、彼女はゴブリナである。ゴブリナの運命は大抵は不幸で終わる事の方が多いのである。
(本懐…て、そのままの意味で取れば好きな男と関係したって事だよな?)
ヌシュドはそんな風に考え、ボルテアは何だかしょんぼりしていた。
「どした、ボッテ?」
「ナナも経験済みって事はよ…、こん中であたいだけ未経験…“身通女”って事じゃねえか!」
さすがにボルテアが口にした言葉にナナリは顔をしかめた。
「女の子が身通女とか言うな。」
因みに顔を赤らめてヌシュドをチラ見していたアリンとその視線に気付きながらも無言を通したヌシュドに誰も突っ込みは入れなかった。
夕食を終え、ヌシュドとアリンと別れて二人は宿屋へ帰路に着く。
「ボッテ、ヌシュドの話どう思った?」
「あ…、正直関わり合いたくねぇな。黒鉄の仲間内の色恋沙汰なんか関係ねえしよ、彼奴の顎割った事少し後悔しちまったよ。」
「ヴェルズだっけ、多分何かしらわたし達に仕掛けて来る。ボッテはどうする?」
「…そん時はそん時だろ。…シカトしてえけどよ。」
「わたしは前言った時と変わらず絡んで来るなら殺す!
ヌシュドはアリリンが悲しむから殺さないけど、別の二人は状況によっては同じく殺す。」
「そうか、なら…あたいもそうすんよ。一蓮托生だぜ。」
二人はヴェルズ…否、黒鉄の一閃とは敵対…むしろ殺すと決めた。
“何かして来たら殺す、ヌシュド以外は殺す!”
分かり易くも物騒な決断である。
そこでナナリは立ち止まり、ボルテアも周囲を警戒し始める。
「どっから尾行られた?」
…とボルテア。
「アリリン、ヌシュドと別れた所から。」
「さっきからじゃねえか、教えろよ!」
「鈍いボッテが悪い。」
そんな言い合いをしている内に六人くらいの悪漢が二人を取り囲み、ボルテアはダミルのこん棒…ではなく拳を握り込みファイティングポーズを取る。ナナリはボウガンを構える。
「ん…、マントやっぱ引っ掛かる。外套買おっかな?」
「今はどうでもいいだろ。それよりナナ、もしかしてアリン達も襲わたりしてねえか?」
「?何でアリリン?」
「いや、正確にはヌシュド。何つうかパーティ内で奴と折合い悪い言ってたから万が一、此奴等をヴェルズがけしかけてるとしたら…。」
ナナリの顔が真顔となり、自分で言ったボルテアも険しく眉毛をつり上げた。
「アリリンを助けに行く。此処はボッテだけで殺っちゃえ。」
「応、二人は任せた!」
するとナナリは闇に紛れる様にその場から消え、悪漢達がどよめき騒いだ。ボルテアはナナリの気配を完全に消した移動術に狩猟では説明出来ない何かを感じ、額から冷や汗が滲む。
「…ナナ、お前って何者なんだろな?」




