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亜人娘冒険者のコンビ名は大事です。

 暗い森の中を四匹の小鬼ゴブリンが必死の形相をして駆け抜けていた。三匹は何も武装せずに両手を一生懸命振って、今刃の欠けた剣を持っていた一匹も投げ捨てた。何かに追いたてられているのか背後を気にしながらどんどん滲み出る冷や汗を拭わずにひたすらに走っていた。


「おっと!」


 突如先頭が女の一声と同時に立ち止まり後ろの小鬼が前の一匹の背中にぶつかる。前方には大きな二つのコブを付けた肉の壁が現れてゴブリン達が徐ろに壁の上を見上げた。

 そこには二つの目がゴブリンを見下ろし下唇から覗く白く突き出た牙を見せてニタリと嗤う女の顔があった。


『ギャアギャアッ!?!?!?!?』


 驚き騒ぐゴブリン四匹はそれぞれ背後から射られて右目、眉間、首、左胸と矢先が突き出て地面に倒れ伏した。


「ボッテ、ナイスアシスト。」


 二人は退治した証拠として小鬼四匹の右耳を切り取る。結局1時間経たずに依頼は昼前に終わり、ボンメルで昼食を取る事とした。


「ゴブ退治の依頼増えたな。…つうかトルトの依頼からそればっかだぜ。」

「確実にトルト村を襲った小鬼の生き残り。わたし達だけで122、後衛・・のパーティで18は殺ったらしい。もしかしたら200近くいた可能性ある。」

「あんのオーク野郎、どんだけ女捕まえてゴブ共に犯らせたんだよ…胸糞(わり)い。」


 ボルテアが毒吐き唾を吐き捨てる。


「後衛…“黒鉄の一閃アイアンフラッシュ”も小鬼退治にかなり駆り出されてるとアリリンが言ってた。」

「黒鉄の一閃ね…、ナナにふざけた事言った奴復帰したみたいだな。」

「別に関係ない。次言ったら殺すし…。」

(やっぱ根には持ってたんだな。)


 そんな雑談をしながらの帰り道、ナナリは「あっ。」…と何か閃いたかの様な声を出した。


「ん、どした?」

「ボッテ、わたし達のコンビ。名前がない。コンビ名付けたい。」

「え〜、いらねえよそんなん。」

「駄目、コンビ名欲しい!」


 ふとボルテアは考えてみる。


「コンビ名か…。“BIG&SMALL”。っいっ!?」


 いきなり太ももをボウガンの矢で射抜かれた。


「っざっけんなよナナ、ボウガンマジ痛えんだよ!!」

「…なに、ドコがビッグとスモール?」


 ナナリの殺意を込めた眼力はボルテアの豊満な胸に向いていた。


「いや…、直ぐボウガン打ち込むの止めてくんね?

ホント痛いんだよ。」


 もう何度か射抜かれているらしい。しかし痛いだけで済ませられるのはボルテアくらいである。…黒鉄のアルドも耐えていたか。


「痛いだけで済むとか何てうらやま。…で、何が大きくて小さい?」


 殺意の眼差しがボルテアの豊満な胸を貫く。


「悪かった!」

「町に着くまでにいくつか考えとけ。」

「わーったよ!」


 ボルテアはふてくされながらも真面目に考え、ナナリもコンビ名をいくつか頭に浮かべながらボンメルの町へと戻るのであった。


 ○


 同じ頃、冒険者パーティ…黒鉄の一閃も小鬼退治の依頼でトルト村跡の近くでゴブリン狩りを行っていた。狩人のヌシュドの弓矢がゴブリンの顔面を射抜き、アルドの剣一閃でゴブリン二匹の首をはねる。

 そして盗賊ヴェルズが素早い動きで一匹のゴブリンを翻弄して投げナイフを投擲、ナイフは胸中心に深く刺さりそれを仕留めた。

 治癒士であるミチャが三人を順番に治癒魔法ヒールをかける。先ずはヴェルズを治癒してアルド、ヌシュドにかけた。

 ヌシュドはヴェルズより負傷していたアルドを後にしたミチャを不快とばかりに一睨みし視線を反らす。

 ミチャは気付かずにアルドを治癒して「はい、もう大丈夫。」と声をかけ、アルドは「ありがとう。」と返した。

 退治したゴブリンの数は十二匹、ヴェルズはまだいるかと気配を探るが少なくとも周囲にはいないと判断した。


「たった十二かよ、後二〜三十は殺せるぜ。」

「病み上がりが調子づくなよ、十二の内六匹はアルドが殺った。おれが三、お前も三、攻撃守備の両方かねたアルドあっての黒鉄だ。

ミチャ、治癒の順番間違えるな。傷だらけのアルドを放って掠り傷二つ程度のヴェルズが先とか魔力の無駄遣いだ。」


 ヌシュドが威圧的に二人を諌めた。しかしミチャは反抗、ヌシュドに言い返す。


「掠り傷程度なんて酷い言い方しないで、ヴェルズがアルドの後ろを守っていたからアルドは戦えてたんだよ!

怪我だってそのくらいで済んだのはヴェルズのおかげっ」

「その怪我がどちらが酷いかをしっかり見ろと言っているんだ!

誰がどう活躍したかなんて聞いちゃいない!」


 ヌシュドの声が怒声になり、ミチャの肩が弾んだ。するとヴェルズがミチャの前に出て彼女を庇った。


「そう怒るなよヌシュド、ミチャも次回からしっかり判断しろよ。俺の傷なんざ唾付けりゃ治るぜ。」


 そんな感じでミチャに歯を見せて笑いかけると彼女はほんの少し頬を染めて頷いた。

 そんな光景にヌシュドは呆れ溜息を吐くのであった。



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