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亜人娘は町長屋敷に殴り込む!?

 あれから三日程経ち、ギルドマスターから連絡があり今日はボンメル町長屋敷宅へ来ていた。

 ボルテアは右手にこん棒、革鎧レザーアーマーを着込み、ナナリは黒マフラーと黒マントのフードを被り顔を隠し、背中にはコンバットナイフを隠し持って臨戦態勢であった。

 屋敷は然程大きくはなく、ふっくらしたおばさんメイドが迎えてくれた。おばさんメイドに案内されて客間へと通される。其処にはギルドマスターギルマスと町長バンファルがいた。後ろには門の詰所にいた護衛が立っている。二人はわざと勧められる前に向かいのソファに座った。


「すまないな、わざわざ足を運ばせて…。」


 開口一番に下手したてに出て挨拶をする町長。貴族ではないにしろ町一番の権力者である彼が謝罪するのはやはり友好の証なのだろうか。


「武装は取り上げなくて良いのかよ、あたいもナナも武器持ってるぜ。」

「構わんよ、荒事にはならんからな。」

「つまりわたし達の要求は全部呑む?」

「あぁ、元々は儂がお前達を指名したんだ。」

「野盗狩りより金が良いからか?」


 ボルテアが聞くとバンファルは首を振る。


「元々野盗討伐は町の警備隊で行うつもりだった。後衛の冒険者はいるだけで構わなかった。

実際隠れ家に突入した警備隊に被害はなく冒険者も案山子同然で仕事は済んだ。…大きな”トラブル”は起きたが…。」


 含みのある言い振りが気になりボルテアがバンファルに聞いた。


「…トラブルって何だよ?」

「既に“千牙”が先に動いていた。」


 ボルテア、ナナリは険しい表情になる。千牙はこの国の裏に蠢く犯罪組織、討伐対象だった野盗“躯牙くが”は千牙を名乗り暴れ回っていた。

 何故、躯牙が千牙を名乗ったのか。千牙の末端に加わる事が出来て気が大きくなったか…単に千牙をかたっただけなのか…、何方にしろその末路は想像にかたくない。


「皆殺し…。」

「あぁ、報告によれば生存者はなく拐われていた女子供は無事だった。しかし儂としては法的に裁きたかったがね。」


 そこでボルテアがバシンッと掌を拳で叩く。


「あたいもぶち殺したかったぜ!」


 彼女はこの町の門前まで追いかけられた恨みとあの母子とも姉妹とも分からなかったが殺されていた二人を思い出した。


「ボルテア、お前さんが見つけてくれた二人だが…、この町から一番近い村の姉妹で山菜を採りに行ったきり戻らず、冒険者ギルドに捜索を頼んだばかりだったそうだ。」


 察した様にギルマスが話すとボルテアはギルマスをギッと睨みつけて前のめりに指差した。


「テメエが借金とか言わなきゃあたい達は討伐の方に参加してたんだよ!

今考えりゃあ、借金であたいらを誘導しやがったんだな!!」


 ギルマスは額にプツプツと脂汗を作り目を反らす。すると彼をバンファルが擁護する。


「借金に関しては知らぬが二人を小鬼討伐に向かわせる様お願いしたのは儂だ、ギルマスは責めんでやってくれ。」


 バンファルは頭を下げ、ギルマスも慌てて頭を下げた。町長の護衛が町の権力者とギルド責任者たる二人の姿を見て驚く。

 何故一介の亜人冒険者にここ迄するのかは二人も理解出来ずにいたが、ボルテアもナナリもその謝罪は素直に受ける事にした。


「約束の報酬をしっかり貰えるならわたしは文句ない。」

「あたいもこれ以上は文句言わねえよ、必要以上に長引かせてもしょうがねえしな。」


 ボルテアはふんずりかえった。


「報酬は30グラン、と小鬼122匹分を上乗せ5グランでいいか?」

「後、借金冒険者ギルド修繕費の取り消しを此処でもう一度約束する。」


 ナナリは町長を証人に仕立てる為にギルマスに要求、彼はナナリに従い借金取り消しをバンファルの前で口にした。


「これで後腐れなく改めて二人とは仲良く付き合って行きたい。」


 そう言って町長バンファルは右手を出す。その手をナナリも手を伸ばし、二人は握手を交わした。


「ギルマスよ、あたい達も握手するかい?」

「遠慮しとくよ、握り潰されたりしたらかなわん。」


 ボルテアは「ちぇっ。」と聞こえる様に舌打ちをした。

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