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ボルテアと両親からの贈り物。

「がははは、オークと雌が愛し合うだあ?

愛って何だ、雌にどんな魅力がある、タダの小鬼ゴブリンの子種を受け止める肉袋だろが!」


 するとボルテアは無表情になり醜鬼オークに尋ねる。


「…親父から聞いた。オークは愛とか分かんなくても孕ませた女を命懸けで守り抜く。お前は女孕ませた事ねえのか?」

「あ?ガキなんか作るかよ。作れば作ったで力つけりゃあ俺に盾突くに決まってるからな。」

「ああ、納得したわ。お前童貞だろ、結局はお山の大将を気取る痛い醜鬼だ。

テメェが手塩にかけた群れもガキが強くなってテメェ潰せばそれだけで手に入る安上がりな群れだもんな!」


 オークは自分が育てた小鬼の群れと自身を小馬鹿にされたと理解し、表情がみるみる鬼気迫る顔になっていた。

 右手の両刃の戦斧を握る力が込められ、殺気も余す事なく発していた。


「お前の言う通りだ。オークに親とか子とか関係ねえ、気に入らなきゃ殺す。

そして強い奴が頭を張る。だから子供ガキなんざ必要ねえんだよ。」


 両刃の戦斧を一振り、斧先をボルテアに向けて威嚇。ボルテアもダミルのこん棒を構え、目の前のオークを睨む。


「つまんねぇ。やっぱオークもゴブリンも人間もやる事は大して変わんねえな。」


 そしてオークとボルテアは同時に駆け出し一気に互いの間合いに入ると“ガツンッ!!”と頭突きで激突、戦斧とこん棒を振り回しぶつけ合った。森林の木で最も硬いダミルの木を削り加工したこん棒は両刃の戦斧にも引けを取らずに張り合う。

 お互いに興奮して得物を握る手に力を込め戦う姿は正に生死を賭して戦う戦人いくさびとの如くであった。

 先に焦りを見せたのはオークでボルテアをズタズタにする筈の戦斧の一撃は全てこん棒でいなされていた。


(何だ、コイツの動きは!?戦斧の横っ面を叩いて一撃を躱してやがる!)

「オラオラ、いなしてるだけじゃあ俺は殺せっ!?」


 挑発しようと口を開いた途端、ボルテアの繰り出した足払いでバランスを崩しこん棒がオークの脳天に振り下ろされた。オークは咄嗟に左腕でガード。しかし下腕部がくの字に折れ、骨が突き出る程の痛手を負う。


「ぐぎゃあっ!!」


 またも咄嗟に後方へ飛び退くオーク。彼は憎々しげにボルテアを睨み気付く。彼女の口から猪の様な大きな牙が伸びていた。


「ボアファング…。そいつがテメエの親父か…。」

「あぁ、親父から貰った自慢の牙だ。」


 一言言葉を交わした彼女は踏み出して一気に間合いを詰めると左へ一回転してこん棒を横薙ぎ、オークはその一撃を右手の戦斧の横っ面でガードしその裏に左腕を密着させて抑えた。



(凄まじい衝撃だぜ、全身の骨に響きやがる!)


 ボルテアとオークはこん棒と戦斧による押し合いとなる。どちらも踏ん張り譲らない。…が、埒が明かず同時に後ろに飛び退いた。

 ダメージはオークが左腕を折られ荒い息を立てており、ボルテアは無傷で未だ息は上がっていないのでオークの方が劣戦なのは充分に見て取れた。ボルテアは勝利を確信して突進する。オークは動かずに迫る彼女を見据えニヤリとほくそ笑む。


「ボッテ駄目え!!」


 周囲のゴブリンを片付けたナナリはオークに向けて駆け走るボルテアを見て焦り、何とボルテアにボウガンを向ける。

 “カシュンッ”と発射音がし、矢はボルテアの右足脹脛(ふくらはぎ)を射抜き彼女は失速。驚いた顔で矢が飛んできた方を見て呟いた。


「ナナ、どうし…っ!?」


 瞬間、眼前にオークの戦斧の刃が落ちてきてザクリという感触が額に走った。次に左目が赤く染まり激痛が広がる。ボルテアは流血する額の割られた傷口に手をあてて咆哮を上げた。


「顔お、お袋がくれたあたいの顔がアアアッ!?」

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