亜人娘は小鬼共を蹂躙する。
ゴブリンの群れへと駆け走るボルテアに3匹のゴブリンが錆びた剣、手斧を掲げ奇声を放って迎え打つ。しかしボルテアは意に返さずにスピードを上げて何とゴブリンを轢き飛ばした。
一匹は完全に踏み潰されてトマトの如く飛び散り、一匹は頭から落ちて首を折る。もう一匹は生き残るも凄まじい衝撃で体中の骨を砕かれて動けなくなり息絶え絶えに小さな悲鳴を搾り出していた。
「ヒャッハアアアァッ!!」
彼女は気持ちを昂らせ雄叫びを上げるとゴブリンの群れへ突っ込んで右手に握ったこん棒でまた3匹振り払った。
ゴブリン達は鉄錆た武具で斬り、突き、叩くが少しだけの切り傷、刺し傷、打撲は全くダメージにならずボルテアは間髪入れずにダミルのこん棒でゴブリンを叩き潰し、叩き払う。
羽虫の如くゴブリンを殺しまくりその血が赤みを帯びた褐色の頬に飛び散り、ニヤリと笑うと彼女はゴブリンの血を舐め取った。
「ペッ、まじぃ。」
その血を唾と一緒に地面に吐き捨てるボルテアのあまりに狂気じみた笑みと鮮血に塗れた姿にゴブリンは怯え出した。
すると突如一匹のゴブリンがボルテアに向かって悲鳴を上げながら飛んできた。
ボルテアはこん棒を振り明後日の方向へと弾き返す。彼女はゴブリンが飛んできた方向に視線を向けると其処には彼女より大きな…引きちぎれんばかりの筋肉をした大男が肩を怒らせながら此方に歩いて来た。
褐色の肌、禿頭、岩の様な身体付きに右手には大きな手斧を握り締めている。
依頼にあったゴブリンの群れを率いるオークだ。外見からはよくいる醜鬼と分かる。
「随分俺の可愛い小鬼を殺してくれたな、おんなぁ…。」
「小鬼が可愛いだ?趣味が悪過ぎるだろ、どんだけ飼ってんだよ気持ちワリィ。」
「苦労したぜ。人間亜人の雌共にゴブリンを孕ませてここまで増やして調教したのよ。」
「へえ、悪趣味な奴だ。」
ボルテアから笑みが消えて嫌悪が露わとなる。ボルテアに恐れをなしオークにすがり始めるゴブリンだがオークは一匹を掴み上げると大口を開けて小鬼の頭を噛み砕いた。その光景を見たボルテアは口から舌を出して「うえ。」と嫌悪な表情をする。
オークが目をつり上げて小鬼にボルテアを指差し野太い咆哮を上げて命令を下すと小鬼共はボルテアに向けて畏怖を込めた甲高い咆哮を上げ襲いかかった。
○
「エグい…。」
ナナリはボルテアの暴走ぶりにそう一人言ちをしてボウガンの引鉄を引く。ゴブリンの眉間に矢が突き刺さり仰向けに倒れるとその亡骸を踏み、わらわらと新たなゴブリンが襲いかかった。ナナリは即座にボウガンに矢を装填、引鉄を引いて次はゴブリンの心臓を射抜いた。倒れる小鬼の後ろから三匹と新たなゴブリンが襲い来る。
「身体強化。」
そう呟き自分に身体強化の魔法を付与。それと同時にゴブリンも弓矢を持ち出してナナリを攻撃。
ナナリは特に慌てず左手に鉄の尖矢を3本指の間に挟み前方へ大きく跳躍して回避。3m近い高さまで跳び上がり、降下する内にボウガン装填引鉄と早業3回繰り返し更に外さずに小鬼三匹の眉間、右目、口を射抜く。
二匹を仕留めたが右目を射抜かれた小鬼は倒れずに悲鳴を上げるがその上にナナリが着地、矢尻を踏み付けて押し込み、矢先が後頭部を貫き息絶えた。
その矢を引き抜き装填、引鉄を引いて次の標的を射殺す。
「これで15匹、ボルテアは22、そしてオーク。わたしの負けかな。」
そう微笑んで呟き、また一匹射抜いた。
○
ボルテアの周りにはゴブリンのバラバラになった残骸が彼方此方に散らばり、彼女の褐色の肌は小鬼の血で覆われ、さすがのオークも少し引いていた。
「おいおい一体何匹いんだ、もう五十過ぎてんじゃねえか?」
「やるじゃねえか。お前レディオークだろ、俺のツガイにならねえか?」
「よく分かったじゃねえか、結構教えてやらなきゃ気づかれないんだぜ。」
「この暴れっぷり見りゃあ嫌でも気付くぜ。しかしその面、テメェの親父のオークは随分な上玉孕ませた様だな。」
そう言われたボルテアはニヤリと満面な笑みをオークに見せつけて高らかにうたう。
「そうよ、あたいの親父、ボアファングは人間のお袋、アルテルと出会って愛し合ったんだよ!!
あたいは正しく二人の愛の結晶よ!!」
とても歯の浮く様な台詞を彼女は興奮気味に叫んだ。オークは目を点にして口を半開きに少しの間呆け、そして口を大きく開けて馬鹿笑いを放った。




