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ボルテアとナナリの初クエストそして夜営。

 あれからボルテアとナナリはギルマスより受けた小鬼ゴブリンの群れの討伐依頼を受ける事となり、現在は町の東門からトルトの村へ向かっていた。荷物はナナリの腰バッグにドリンクポーションを5本に個人で持つペイントポーション、トルトまでは歩いて2日程なので夜営も考えた干し肉と一杯にした水袋といった簡単な食料等を持参した。

 ボンメルの東門を出てから暫くは整地された林道を歩き二手に別れた道でナナリがボンメルを中心とした周囲地図を開いた。


「トルトの村は右。」

「うし、さっさと行って以来完遂だ!」

「いや、もう少しで夜になるからちょっと歩いて野宿しよ。」


 ナナリの言う通り林道は次第に暗くなり、夜を迎えた。二人は野宿する場所を決め、焚火の為にボルテアが火を起こして暖を取った。

 ナナリは荷物から二人分の鹿の干し肉を取り出す。


「あたいもっと食いたい。」

「駄目。」


 ナナリに止められてぶすりジト目となるボルテアだがそれでもナナリは自分は2枚にボルテアには3枚を渡す。


「後1枚!」

「駄目、1枚多くやったんだからそれだけ。」

「ちぇっ…、ナナお袋見てぇだ。」

「妙齢の女性を母とは…、帰りも夜営するから残す。」


 二人は焚火を挟んで座り、鹿の干し肉を炙った。ナナリは干し肉を()みモニュモニュと何度も噛むと、肉と調味料の味が口の中で混じり合い、顔がほころんだ。


「ジューシー。」


 ボルテアも噛み千切ってモニュモニュと顎を動かして噛むとナナリと同じく顔がほころんだ。


「うめえ、後10枚は食いてえ…。」

「駄目だぞ。鹿肉は後7枚、食べたら帰りの分ないからな。」

「分かってるよ。やっぱお前口うるせえ所がお袋ソックリだぜ!」

「母親に似てるとゆー事はわたしがお前より年上だと納得したとゆー事だな?」

「あたいはギルドで年齢聞いた時から納得してたぜ。」

「…そか。

ボッテ、コンビを組む為の約束の勝負は変わらない。標的が変わっただけ。ゴブリンは恐らくは20匹以上、そして醜鬼(オーク)が1体…コイツはボッテに任せたい。」

「いいのかよ、確実に群れの大物だぜ?」

「ボッテの戦い方が見たい。」


 真剣な眼差しでボルテアを見つめるナナリ。もしかしたら二人の勝負は既に始まっているのかも知れない。


「いいぜ。あたいの強さ見せつけてやる!」

「期待してる。」

「ナナこそ手ぇ抜くんじゃねえぞ、あの野盗の額を射抜いた射撃をいやと言う程見せてくれ!」

「ん。」


 ボルテアはナナリに力こぶを作ってみせて宣言、ナナリも細腕ながらもゴブリナとは思えない鍛えた腕に力こぶを作ってみせ互いの手の甲を当てた。

 その後は交代で見張りをするが、ナナリは周囲に自分達を見つめる視線を感じた。しかし特に危害を加えてくる様な気配はなかったので彼女も特に気にせずに夜明けまで睡眠を取ったのであった。


 ○


 夜明けと共にボルテアとナナリはトルトの村へと急ぐ。昼頃に村には着くが、その惨状に二人は只々怒りしか湧いてこなかった。

 見渡せば殺された村人の死体が彼方此方で視界に入り、どの木々の枝にも首を吊るされた子供、幹には四肢を杭などで縫い付けいたぶられた大人の亡骸があった。

 ボルテアはその光景にあの姉妹の事を思い出す。


「人間も魔物もやる事なんざ変わんねえよな…。」

「ボッテ、悲観していてもしょうがない。周り。」


 ナナリはクロスボウ…ボウガンを素早く組み立て矢を装填し、ボルテアも右手に持つダミルの木のこん棒を構え戦闘態勢を取る。

 周囲は既に10匹ちかいゴブリンが二人を取り囲んでいた。


「おうおう、ゾロゾロとわいて来やがったぜ。」

「…明らかに20どころじゃない。ざっと50匹以上いる。矢が足りない。」

「問題ねえだろ、ナナにかかりゃあ鏖殺だぜ。」


 そう言ってボルテアはこん棒を握ったまま地に手を着いて腕を真っすぐに腰を上げ、両脚の筋肉が肉食獣の様にしならせた。


「一匹残らず潰してやる(・・・・・)。」


 そして地面を抉りダッシュ、彼女はゴブリンの群れへと突っ走った。

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