タナカさんとサキのおうち
ショッピングモールから無事に? 買い物を終えたタナカとサキは公園へと戻って行った。途中でサキが寒そうにしていたのでタナカはまた襟巻きのようにサキの首へ巻き付いた。
「ねえタナカさん。外は寒いからサキのおうちくる? 」
タナカはサキの言葉に目を輝かせて
「いく! オレ泊まるとこなかったんだ! そうだ一緒にゲームなんかもしようぜ」
「うちにゲームなんてないよ」
サキがそう言葉を返すとタナカはシッポでサキの顔を撫で
「だったら買いに行こうぜ」
そう言って2人で帰り道に近所のオモチャ屋さんへと寄ることになった。サキはタナカの指示に従ってゲーム機やボードゲームを買ってオモチャ屋を出た。
そしてそのまま2人はサキの家族が住むアパートへたどり着いた。サキの住むアパートは木造2階建ての見るからに古ぼけたアパートでボロボロだった。
サキの家へ入り明かりを点けるとタナカは飛び降り走り出し畳敷きのリビングに置いてある座卓の上へ飛び乗った。
「さあサキちゃん、さっき買った食べ物並べようぜ」
そう言ってサキの持っているビニール袋を取りテーブルへ並べ始めた。フライドチキンやミートパイ、お寿司やケーキやドーナツその他もろもろを並べ終えるとタナカはまた公園の時の変な踊りをタヌタヌ言いながら踊りだしくるりとスピンして
「さあ! ちまたで噂のクリスマスパーティーを始めようぜ! ゲームもやろうぜ! さっき買った服に着替えな! 」
ポーズをとりサキ指差しながら力強く言った。サキはテンション高めなタナカに圧されて隣の部屋で着替えてリビングへ戻った。
しかしタナカはさっきまでの高めのテンション口をクチャクチャさせながらボーッとしていた。サキは急にテンションを下げたタナカが気になり
「タナカさんどうしたの? 」
「ところでクリスマスってなに? 」
「タナカさんクリスマスを知らないのにあんなに騒いでたの? 」
タナカは口をクチャクチャさせながらうなずいた。そこへ
「ただいま〜。サキ帰ってきてたのね」
「お母さんお帰りなさい」
サキの弟を抱きかかえた母親が帰ってきたのだ。しかし大量の料理やゲームに新しい洋服を着たサキに母親は混乱して
「サキ! どうしたのこの料理やゲームは? それにそんな洋服までどうしたの? あなた何か悪いことしてるの? 」
血相を変えてサキの両肩を掴んだ。