タナカさんとナオトの家
タナカさんとサキは公園で会ったナオトの家へと招待された。ナオトの家は2階建ての一軒家でグレーのサイディング壁でシックな感じの家であった。
玄関からナオトに続いてサキは「おじゃまします」と挨拶をすると
「ナオにぃお帰り! 」
と2人の男の子がナオトへ飛び付いてきた。ナオトは2人の弟の頭をポンポンと2回叩くと
「今日はお客さんが来てるから静かにしろよ」
笑いながらそう言いリビングへと入った。
「今日はうちの娘がお邪魔しちゃってすみませんね。どうか若い2人のことですから温かく見守ってやってください」
「いやいや、それはまためでたいですな。どうぞタナカさんもググッといってください」
いきなりナオトのお父さんとタナカは2人でビールを飲みながら盛り上がっていた。サキは慌てて
「すみません! うちのたぬきのタナカさんが勝手にお酒なんか飲んで」
そうサキが頭を下げると、奥から山盛りのパスタを持った優しそうで綺麗なナオトの母が
「いいのよ気にしなくて、お父さんは営業部長でコミュ力モンスターなんだからたぬきでも仲良くやれるわよ」
そう言ってリビングのテーブルへパスタを置いた。そしてサキの顔を見ると
「あらなに? ナオトのお友だちってこんなに可愛い子だったの? なに? お母さんへのご褒美なのー! 」
そう言ってサキを思い切りハグした。後からのナオトの説明ではナオトの母は家の中に男しか居ないので凄く女の子に優しいのだと言っていた。ナオトの父は白髪混じりの七三分けで縁の厚いメガネをかけて陽気に笑ってタナカと話している。
次々と料理が運ばれたくさんの料理にサキは驚いた。目を丸くして料理を見ているとナオトの母は
「うちは男ばかりでたくさん食べるから驚いたでしょ? これでもすぐになくなっちゃうんだから」
と笑っている。ナオトの家族やタナカもテーブルに揃い昼食を取り始めた。ナオトの弟とタナカは激しい料理争奪バトルを始めて取り合っていた。サキは恥ずかしそうに手を伸ばすがタナカや弟たちに料理を奪われていると、ナオトがサッと唐揚げや玉子焼きを取りサキの皿へと置いてニコッと微笑んだ。
そんな光景をナオトの母は嬉しそうに眺めていた。しかしそんな事お構いなしにオカズを奪い合っているし、ナオトのお父さんはビールを飲みながらゲラゲラ笑っている。そんなカオスな中でナオトの家での昼食は楽しく過ぎていった。




