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第41話 爆発はロマンだからさ!

 どうしてこうなったんだろう。


 僕の周りには爆撃を受けたように瓦礫の山が積み重なり、僕たちは救助のために必死に動き回っている。ついでに僕には小さな姉妹がひっついて離れようとしない。


 僕たちが必死に救助活動をしているのには訳がある。

 実はこれ、味方の攻撃によるものなのだ。

 そして、僕たちが攻撃した敵の拠点には、敵が捕らえている人質がいたのだが、その人たちの一部がこれに巻きまれてしまったのである……


 幸いにして、今のところ人質の死者は出ていないことはわかっているものの、このままだと時間の問題だ。

 どうにか味方の攻撃で死者を出さないように動き回っているのである。


 とりあえずやらかしたアリアには後でお仕置きするとして、今はどうにかこの状況を切り抜けなければならない。


 僕は、そんな場合じゃないというのに、現実逃避気味にこれまでの経緯を思い出すのであった。


 ――――


 僕、ティア、アリア、クリオは、とりあえず派手に暴れてこいというルナからの指令により、敵の近くに来て暴れる場所を探していた。


「あー、退屈だなー。早く敵が来てくれないかなー。そしたら退屈しないで済むのに」

「不謹慎なことを言うんじゃない!」

 アリアが呟いた一言に、僕が苦言を呈す。


「ああごめんごめん。確かにできることなら戦うのは避けたいところだけど、陽動という目的を考えれば、犠牲が出ないところで戦えればいいかなと思って」


 ……確かに正論だ。

 僕たちの役割は陽動なので、できるだけ敵を引きつけておかなければならない。

 すごく気が進まないが、こっちからやらなければならないのだ。

 だから、アリアも親切で言っているに違いなかった。

 ……一瞬、アリアが戦闘に飢えた獣のような顔をしているように見えたが、気のせいだろう。

 

 そんなことを言ってるうちに、敵の拠点らしき場所にかなり近づいてきてしまった。


 キャンバスたちの情報から、敵の拠点がある場所をいくつかピックアップし、重要度と都市への被害を考慮して最適な場所に向かったのだ。


「もう行っていいよね? 行くよ?」

 アリアはめっちゃうずうずしているようだったが、ここは抑えてほしい。敵がどんな手を使ってくるかわからないから……


 ……て、え? アリアがいない?


 遠くを見ると、嬉々とした表情で敵地に突っ込んでいくアリアの姿が……

 あ、そういえばさっき、アリアは「行くよ?」って言ってた……


「ばかああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

 僕たちは慌ててアリアを追いかけた。

 作戦も決まってないのに勝手に飛び出すんじゃない! だって……


 どかああああああああああんんん!!!!!!


 ほら、クレーターができちゃったじゃないか!


「ふ~、すっきりした~」

「じゃない!!!!!!!!!」

 アリアのふざけたセリフに、僕は思わずつっこんでしまった。

 ついでに、風の“力”で吹っ飛ばした。


 が、アリアはすぐに戻ってくる。

「何すんだよ~」

「それはこっちのセリフだ! 今吹っ飛ばした場所に一般市民がいたらどうすんの!? それに一発で吹き飛ばしたらその情報が敵に伝わらないから陽動になってないよね!? どうしてくれんの!?」


 気が付いたら僕はアリアに説教していた。

 僕はいつの間に説教キャラになった? 本当は説教なんてしたくないのに……


「大丈夫だよ。今吹っ飛ばしたのは拠点のすぐ横だから。死者やけが人が出てないのはちゃんと確認してるし。私が後先考えないバカだと思った?」


 思ってました。

 とはさすがに言えない。とりあえず、僕はアリアに早とちりしてしまったことを詫びた。


「……まあ、牽制なんて考えないで敵を一発でぶっ飛ばせれば楽なんだけどね」

 アリアがぼそっと付け加えたセリフは全力でスルーした。


 と、そんなやりとりをしていた矢先、アリアは敵が拠点から出てくるところを発見した。

「あ、敵発見! 逃がさないよ~」

 アリアはそう言うとおもむろに手をかざし、


 どかあああああああん!!! どかあああああああん!!! どかあああああああん!!! どかあああああああん!!! どかあああああああん!!! 


 アリアが敵を取り囲むように連続でクレーターを作っていく。

 おかげで敵の拠点は、クレーターに囲まれてしまった。


 声は聞こえないものの、敵の拠点が阿鼻叫喚の嵐になっていることはわかった。


「あの……そういえばアリアさん、はどんな力を使っているのでしょうか……?」

 僕はふと気になって、アリアに尋ねてしまう。そんなことを聞いてる場合じゃないのに……


 アリアは答える。

「なんで敬語? まあいいや。……私はね、爆発魔法に憧れて、一生懸命練習したんだよ。それでとにかく撃って、撃って、撃ちまくって、家ぶっ壊して、山吹っ飛ばして、月吹き消して、遠くの星も消し飛ばして……威力はどんどん上がっていった。だけどある時、ふと気づいたんだ。威力が大きすぎてこれじゃ使い物にならないと」


 何か語り出した。どうでもいいけど、表現がところどころおかしい。

 そしてアリアは語りながらクレーターを作り続けている。

 

 アリアの語りは続く。

「だから威力を調整することを覚えた。一方で魔力がすぐに枯渇することも問題だったから、少ない魔力で使えるように魔法を改良したし、他にも自分の魔力を増やして、魔力を溜めることのできる魔晶石を量産して、とにかく撃ち続けられるように頑張ったんだ」


 やめてください。そんな無茶は。


 確かに僕も以前山を吹っ飛ばしたことがあったが、一発撃っただけで魔力は枯渇寸前になっていた。

 それをバカスカ撃てるということは相当努力したのだろう。努力の方向が間違っているような気がするが……


「そして、あらゆる攻撃を爆発魔法で行えるようにした。例えばこんな風に」

 アリアはそう言うと、


 ぷしゅっっっっっっっっっっっっっっっっっっ


 指先から光を放って、こちらに向かってこようとした敵の手の甲に穴を空けていた。

 その光は背後の壁も貫通し、さらに背後にある山に穴を空けていた。


「これは貫通特化型の爆発魔法なんだ。一見便利そうなんだけど、威力が強すぎてどこまで飛ぶかわからないと。だからあまり使えないんだよね」


 ……はるか彼方から「ぎゃああああああああああああ!!!!」という声が聞こえてきたような気がしたが、気のせいだろう。……気のせいだよね? 気のせいだ。気のせいに違いない。うん。


 そんなことを考えていたら、一人の男が誰かを連れて広場に出てきた。

 そして、声を張り上げて言う。


「騒ぐな!! これ以上騒ぐとこの子どもが犠牲になるぞ!!」


 ……人質がいたらしい。


「どうするの! あの子殺されちゃうよ! 下手に騒ぐから!!」

 僕はアリアを揺さぶる。それに対してアリアは、


「今キミはなぜそこまで私が爆発魔法にこだわるのか、疑問に思っただろう?」

 さっきの語りを続行した!

 いや、さっきはそう思ったけど! 今はそれどころじゃないから!


 とりあえず、

「状況を見ろおおおおおおおお!!!!!」

 僕は叫んだ。対するアリアは、


「なぜなら……爆発はロマンだからさ!!!」


 ……ものすごくイラっとした。

 なので、僕はとりあえずアリアを彼方へと吹っ飛ばした。


 ……と、ここで僕ははたと気づく。もしかして騒ぎ過ぎた!? と。


 恐る恐る男の方を見る……めっちゃ怒ってる! 子どもが危ない!

 もうダメか、と思いつつ僕が駆け出した、その時だった。


 突如として謎の影が男を吹き飛ばした。


 そしてそのままが子どもを連れ去っていく。


 その影をよく見ると……ウサギのぬいぐるみみたいな動物(?)だった。


 ひょっとして精霊? 誰の?

 そう思ったところで、


「よかった、間に合った。よくやったよ、みみ」

 というアリアの声が聞こえてきた。


 そうか、アリアの精霊なのか。

 アリアにも精霊がついていたんだね。あんなに強いんだから当然か。

 ……でも、名前がみみって……


 みみは周囲を爆発させながら敵の拠点の奥へと向かっていく。

 ……これ、僕いらないんじゃないか?


『ぼーっとしてないで行くよ! 人手は必要だ!』

 いつの間にか合体していたみーむに叱責されてしまった。

 確かにその通りだ。こんなところで突っ立っている場合じゃない!


 僕は駆け出した。が、すぐに大事なことに気づいて振り返る。

 残るティア、まーく、クリオと打ち合わせしておかなければならないからだ。


「ティアとまーくはけが人の治療にあたって! クリオはティアたちの護衛を頼む!」

「わ、わかりました」

「ち、人使いが荒いな。わかったよ」

「頼んだよ!」

 僕はティアとクリオが同意したのを確認して敵の拠点の方へ向かった。


 敵の拠点はめちゃくちゃなことになっていた。

 アリアとみみが暴れ回ったせいか……

 すでにほぼ壊滅に近い状況になっている。自重しろ! 無理か……


 人質は他にもいたらしく、みみが人質を回収しながら動き回っている。

 気合を入れて出て行ったはいいものの、さてどうしよう……


 と思ったら、みみが人質だった子どもをこっちに向かって投げてきた。


 えええええええええ!!!!!!


 僕がその子どもをキャッチした。ついでに自分に向かってきた攻撃を弾き返す。


 僕はその子どもを抱えながら敵の拠点から一旦離れる。

 一息ついて、その子どもを降ろそうとした時だった。


「あ、あの……」

 その子ども、女の子だった、がおびえながらも僕に話しかけてくる。

 僕は少しショックを受けたが、考えてみれば当然か。この騒ぎを起こした人間を信用しろという方が無理だろう。


 とりあえず僕は敵意がないことをアピールし、ついでに食料も少しあげた。

 少女はなおも警戒している様子だったが、やはり空腹には耐えられなかったのか、結局僕が持ってきた食料を食べた。


 その際、僕はみんなを助けるために来たことを少女に話した。

 あまりわかっていないようだったが、多少は打ち解けたようだ。


 さて、これからどうしようか……とりあえず名前を聞くか。

「ええと、できれば名前を教えてほしいな。僕の名前は三好彩人というんだけど……」

 僕がそこまで言ったところで、少女ははっとした顔になって言った。


「あ、お姉ちゃん! お姉ちゃんを助けなきゃ!」

 そう言って敵の拠点の方へ駆け出して行く。


「どこ行くの!? 危ないよ!」

 僕が少女の腕をつかんで引き留めようとするが、

「離して! お姉ちゃんが! 行かないと!」

 少女はそう言って聞かない。


 仕方ない、行くしかないか……

 僕は少女を抱えて再び敵の拠点へ突入するのだった。


 ……名前、聞けてないな……


どかああああああああん! どかあああああああああん! どかあああああああああん!


アリア「まだだ……まだ撃ち足りない……もっと爆発……」

彩人とみーむ「「やめろおおおおおおお! あとがきまで爆発させる気!?」」

アリア「そうだ、みんな爆発してしまえ!」

彩人「やめろ! ……というかアリアってそんなキャラだったっけ? 最初第9話で見た時はそんな暴走するキャラには見えなかったけど……」

みーむ「(まあ、第9話ではボクとあやとは出てこなかったから、本編のボクたちには知りえない情報なんだけどね)」

アリア「……きちんと見たかい? 第9話では私の内面はあまり描写されていなかったから、別におかしなことはないと思うけど?」

ルナ「いや、昔一緒に冒険していたころはこんな好戦的な性格じゃなかったよ? どちらかというとおとなしい性格だったような……あれ? でもなんか途中からなんかおかしくなったような……」

アリア「なに言ってるの? 私は最初から正常だよ?」

彩人「え? でも?」

アリア「だよね?」

ルナ「そういえば、あのあたりから様子が……」

アリア「だ よ ね ?」

彩人とみーむとルナ「「「あ、はい」」」

アリア「よし、じゃあこれからもぶっ放しに行こう! 今日は絶好の爆発日和だからな!」

彩人とみーむとルナ「「「うわあああ、やめろ(て)! まわりにどんな影響が出るかわからないから!」」」

アリア「はい、どかーーーん!!!」


どかあああああああああああああああんんん!!!!!


お読みいただきありがとうございます。

次も、火曜日に更新する予定です。


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