表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

40/56

第40話 喧嘩

 街はひどい有様だった。

 建物にところどころ穴があいていたり、焼け焦げた跡があった。けが人も多数出ている。


 なぜこんなことになっているかというと、ソニカを狙っている敵が闇雲に破壊活動を始めたからである。


 無法者の魔法使いが事件を起こし、これをマックスの息のかかった者が成敗して支持を集める。と同時に、自分に歯向かう者を消そうという魂胆らしい。

 無法者の魔法使いは当然マックス側の勢力が用意した連中だが、最終的に始末されてしまうので、完全な使い捨てである。恐らく捕らえられた犯罪者を、成功すれば解放してやる等と言ってさらなる犯行をさせているのだろう。もちろんいつでも始末できるようにして。


 完全なマッチポンプなのだが、それに気づいても真っ向から非難すれば消されるので何も言えない。

 そして、何の罪もない一般市民が巻き込まれるのだ。


 そんなわけで、僕たちは少しでも多くの人々を助けるため、動き回っていた。

 あるいはそうすることによって、マックスたちが自らの敵対勢力を足止めようにするのが目的かもしれないが、こうなっては仕方がない。

 そんなことをしている間に敵が何を企んでいるかも、解放隊は調査しているところだ。


 そして、救助活動に解放隊の力が大いに役に立っていた。

 破壊活動が起こっている場所を特定するのに、解放隊のネットワークをフル活用したのである。


 解放隊の諜報員(なんでいるんだろう? 助かってるけどさ)が、事件が起きている場所を特定し、僕たちのもとに伝え、僕たちが現場に急行して救助活動するといった具合である。


 そんなことをしていた時だった。

 とある人物が僕たちのもとを訪ねてきた。

 クリオである。


「どうしたのさ。一人で行動するとまた彼女に怒られちゃうよ?」

 僕はクリオにからかい半分で言った。

 彼女……ええと、名前はなんだっけ?

 前会った時、ルナに勝負をふっかけて負けたあの……


「ルーテシアなら今はいない」

 僕が探していると、クリオがむっとした表情で言った。

 そうか、ルーテシアといったのか。

 彼女は今どこだ?


「ルーテシアを探しているんだ」

 ……どうやらルーテシアが行方不明になっていたらしかった。

「え? それってお前に構って欲しくて家出した振りをしたとかじゃないんだよね?」

「違う! それならとっくに帰っている! もう何日も行方がわからないんだ」


 ……なんかそんなことがしょっちゅうあるみたいな口振りだな。

 話がややこしくなるので言わなかったが。

「そ、そうか。茶化して悪かったな」

 僕がそう言うと、クリオはむっとしたまま続ける。


「……その話し方からすると知らないみたいだな」

「まあそうなるね。……あ、だけどひょっとしたら近くに知っている人がいるかもしれない」


 僕のその言葉に、黙ってこの場を去ろうとしていたクリオが、ぐりんんんんんっと体の向きを変えて僕に詰め寄ってきた。

「その話は本当か!!!!!!!」

 クリオが僕を揺さぶってくる。


「落ち着け! そうかもしれないって話だよ! 僕は何も聞いてないし!」

 僕がそう言うと、クリオは露骨にガッカリした顔で言った。

「なんだ、そうかよ。まあでも聞かない訳にはいかないから一応聞く。もし何もなかったら……ただじゃおかない」


 え、ええ……

 そんなこと言われても……


 どうか情報を掴んでいますように……と思いながら、僕はクリオをとある人物のところへ連れて行った。


「……誰それ?」


 終わった。

 と思った。


 僕はクリオをキャンバスの元へ連れて行ったのだった。

 諜報能力が高い彼女なら何か知っているのではないかと思ったのだが……


 やばい。消される。どうしよう。


「よくも僕をだましたなあああああ!」

 いや僕はそうかもしれないって可能性を言っただけだよ! って言っても聞いてくれないだろうなあ……


 ……こうして僕がボコボコにされた後、ラテが姿を現した。

「どうしたの?」

「彩人が誰かの行方を聞いてきて、知らないって言ったらボコボコにされてるところ」

「そうなのね~」


 いや、そうなのねじゃなくて助けてよ!


 と思っていたら、

「そういえば学園の子が攫われたんだっけ?」

 ラテがなにやら気になることを言い出した。


「えっ、それって……」

「あなたたちが探している人じゃないかしら。キャンバスの方が詳しく知っていると思うけど」

 ……なんだって?


「……そういえば、学生寮から黒づくめの人が出て行って、それ以来女子生徒が行方不明になったという情報があったっけ。大した情報じゃないから忘れてた」


 ……うおおおおおいいいいいい!!!

 ちゃんとしてくれ!!!!


 僕がボコボコにされる必要はなかったじゃないか!


『以前決闘でボロボロにしたからちょうどいいんじゃないか?』

 くそ、みーむもそんなことを言って! あの時はみーむも一緒だったじゃないか!

 てかみーむはちゃっかり僕との合体を解いていたからダメージがなかったんだよな。保身がうまい奴め。

 ……ああ、なんか腹が立ってきたな。


「なんだよ、みーむだってノリノリだったくせに! 僕だけボコボコにされるのは不公平じゃないか! お前もボコボコにされろ!」

『なんだと! あれはお前が余計なことを言ったからだろ! ボクには関係ない!』

「いーや、あるね! だってさっき決闘のことに触れたじゃないか! だからみーむにも関係がある!」

『ない! 問題を混ぜるな!』

「混ぜたのはみーむじゃないか!」

「なんだと!? やるかゴルア!?」

「上等だ! やってやらあ!」


 合体を解いた僕とみーむのバトルが始まった。

 物理も魔法も“力”もなんでもありのバトルである。

 僕とみーむはだんだんボロボロになっていく。


 く……やっぱり僕が不利か。もともと僕がクリオにボコボコにされていた一方、みーむの方は無傷からのスタートである。

 加えて……精霊って体力が無尽蔵なのか? みーむは猫のような見た目に反してタフである。

 このままではジリ貧か。何か……何かないか。起死回生の一手が。

 そんなことを考えていた時だった。


 どごおおおおおおおおおおおんんんん!!!!


 頭に強い衝撃を感じて、僕は倒れた。

 う、動けない……


 どうにか視線を動かすと、ルナが怒っているところが見えた。

「もう! なに喧嘩してるの!? 無用な争いは何も生まないって言ったのは彩人だよね!? なに争ってるの!?」

 そんなこと言ったっけ? そういえばそんなことを言ったような……


「いや、あれは……」

「何か?」

「ごめんなさい!」

 ルナに凄まれて僕は謝った。


 しばらくして少し動けるようになったので、周りを見てみるとみーむとクリオも同じようにルナにボコられていた。

 なぜクリオも……と思ったが、僕をボコボコにしたのが許せなかったからと、後にルナは語っていた。僕はちょっと嬉しかった。ルナはなぜか顔が赤くなっていた。ついでにクリオは涙目になってなんとも言えない表情になっていた。


 それはともかくとして。

 僕たちは急遽みんなを集めることにした。


「ええと、じゃあどうする? ルーテシアの捜索をする?」

 僕がみんなに話を振ると、


「……まあ、しないわけにはいかないだろうね。ぼくも心配だし」

 ルナは挙手して捜索したいと言ってきた。


 それにしてもルナは優しいな。勝手に因縁を吹っ掛けてきて、やられた後も敵意をむき出しにしてきたルーテシアを心配するなんて……

「それに比べてあやとは……」

 みーむはうるさい。


 ルナは続ける。

「ただ、そんなことをしている場合か、という問題はあるんだよね……」


 確かに。

 そうこうしているうちにマックスたち敵対勢力は力をつけていて、こちらは置いてきぼりだ。というか無視されている。

 それはそれで都合のいい状態なのだが、さすがにいつまでもルアシスに対して行動を起こさないわけにはいかない。時間が経てば経つほど被害は大きくなっていく。


 あれ? そう考えると……


「……むしろこれはチャンスじゃないか?」

「どういうこと?」

 僕の呟きにルナが反応する。


「ルーテシアについて調査する過程でいろんなことがわかるかもしれない。それこそこの状況を打破する方法も」

 僕の言葉にルナは目を丸くする。僕は続ける。


「これは僕の勘なんだけど、ルーテシアがいなくなった件はこの事件の核心に近いような気がするんだ。神は人質を使った嫌がらせを確実にしてくる。……いやまてよ、実はそれもおとりで、本命はまた別にあるかも……都市全域を巻き込む爆弾とか仕込んでいるかもしれない……」

 ブツブツ言いだした僕に、ルナは顔を引きつらせつつ感心するという、器用な表情をしている。


 しばらくして、ルナは僕に尋ねる。

「すごいね……どうしてそこまで考え着くの?」

「いや、状況的に考えてそうかなあと……」

 まさか、そういうマンガやアニメを見たからとは言えない……


 だから、ルナは尊敬のまなざしで僕を見るのをやめてください。心が痛いから。

 後でこのことを言ったら何て言うんだろうな……


 さて、解放隊でルーテシアを捜索することは決まったが、具体的にそれをどう実行するか考えなくてはならない。


 いろいろ議論した後、潜入捜査が得意なルナ、コルニス、キャンバス、コンテが王城に潜入、僕、みーむ、ティア、まーく、アリア、クリオが陽動を担当することになった。


 ……なんだか大雑把過ぎるが、これはルナたちが僕に作戦内容を詳しく教えてくれなかったからである。どうせわからないからと。……事実だけどね!


 というわけで、僕たちは動き出した。

彩人「……ルナ、こわかった……」

みーむ「……ルナだけには逆らってはいけない……」

彩人「……そうだ、敵はルアシスなんだ。ルナを敵にまわしてはいけない……」

みーむ「……あれ? 何か大事なことを忘れてたような気がするけど、何だっけ?」

彩人「……あれ? 何かあったような気がするけど、何だっけ?」

みーむ「思い出せない……」


……


みーむ「そういえば、クリオのキャラが変わってない?」

彩人「言われてみれば……。あれかな? 学園にいたころはさわやかキャラを演じてたけど、ついに本性を現したとか?」

みーむ「あるいは作者が設定を忘れて――“ザザーーーーザザザザーーーーーー”――……ちょっと、作者! 都合が悪くなったからって、妨害して誤魔化そうとするのは良くないで――“ザザーーーーザザザザーーーーーー”――」


プツン!


(通信が切れました)


お読みいただきありがとうございます。

次も、火曜日に更新する予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ