第一話 犯罪都市カルクス
前回までのあらすじ
転生した
地味かもしれんが戦闘シーンあります。(新しいメインキャラも出るよ)
さて、どうしたものか。きれいな景色に見惚れてる場合ではない。土地勘なんかあるわけない世界にガイドにならんポンコツ。財布も懐に忍ばせたはずの銃も無い。
当然ながらこちらの世界で使えそうな身分証明書なんかもないので、間違いなくホームレスまっしぐらだ。そもそもこっちの言語や物価も分からない。色々問題はあるがどうするかはそこで資料を読み漁ってるアリスに聞くしかあるまい。
「で、どうする? 働こうにも言語も分からないし身分証明書だってないぞ」
「冒険者は身分証明書無しでもなれるよ。言語は後でどうにかしてあげるからちょっと待ってて」
冒険者か。貰ったラノベにも書いてあったが、異世界での花形なのか?魔獣退治とかしてたし、前とやること変わらなさそうだな。せいぜい殺す対象が人から魔獣に変わるくらいか。
「そうか……だが何故冒険者は身分証明書が要らないんだ?」
「他の世界じゃどうかは知らないけど、チラッと見た資料にはこの世界は冒険者不足で魔族や異形の怪物たちが増えたって書いてた。実際チンピラどころかホームレスまで冒険者になれるみたい。……これも違うし。聖女伝説……これでもない」
そういう冒険者が問題を起こして余計に人が集まらなくなるだろう……と思ったが、現世でもそんなことしてたな。異世界でも人間は似たようなもんなのか。だんだん不安になってきた。
というか街の名前一つ調べるのに時間をかけすぎだろ。もう5分近く資料を漁っている。ガイドすらこれでは先行きが不安過ぎる。とにかく言語の問題は片付いた。アリスが街の名前を調べ終わるまで待つか。
「あっ! あったあった!」
アリスが嬉々とした声を上げた。思ったより早いな。それでも長いこと待たされたことに変わりはない。
「それで、あの街の名前は?」
「えーっと、『カルクス』って名前ね。ディルナ王国の都市って書いてある」
アリスが地図を指差しながら解説する。ベネズエラの首都みたいな語感だ。治安悪そうだな。とにかく国と街の名前は分かった。
「で、どんな街だ?」
「犯罪が横行してて死体が10m毎に転がっているような街だって」
中身もあの都市と同じとは驚いた。
「俺にぴったりの街だな、住みたくないが。というかそんな街がある上に異世界が複数あるなら地獄なんてすぐいっぱいになるんじゃないのか?」
「世界ごとに地獄を作ってあるの。異世界転生なんて基本させないから、統合するとどの世界から来たのか分からなくなってややこしいからね」
「死神も大変だな」
「まぁね。で、カルクスについてだけど……ここの冒険者ギルドがさっき言ったような人たちを冒険者にしたせいで治安が悪化した挙句、現地の盗賊に政治機能奪われたって書いてあるよ。2、3年くらい前から国が軍を編成して奴らを壊滅させようとしてるみたい」
さっき思ったことを全部踏み抜いた挙句、政治機能までそっちにとられたか。しかもそれだけの期間があって準備できていないってことは間違いなくどこかに鼻薬を嗅がせてるな。
またとんでもない街の近くに飛ばしてくれたもんだ。とはいえ近くにある街はあそこしかない。それに犯罪が横行するなら逆に好都合でもある。
「んじゃ行くか」
「えっ……本気?」
ドン引きされてしまった。飛ばした張本人がそんな表情するなよ。
「もう日も登り切ったし、他に行くところもないしな」
補修が行われていないのか所々草が生えていたり、石畳が欠けていたりしているものの、街道がつながっているのはありがたい。変に近道しなければ迷わずに済む。
しかしカラカス並みの街か……魔族とかいうやつが暴れているというのは聞いていたが、そいつらが居ないはずの街ですらこの有様となると心が休まる気がしない。
そう思いつつ歩を進めていると、草むらから何か飛び出してきた。人間だったらいいと思ったが、どうみてもそのドロッとした液状のそれは自分の知っている人の形ではない。
「そいつはスライムって言って、魔族の一種ね。めちゃくちゃ弱いから木の棒か何かがあれば倒せるんじゃないかな?」
アリスが得意げに解説しているが、スライムであることくらいは見れば分かる。確かに動きは遅いしとても強そうには見えない。よく見ると核のようなものが見える。弱点らしいものも見えたしさっさと片づけるか。
グシャァッ
足早に近づきスライムの核をめがけて思い切り踏み潰す。パキッという音が聞こえて動かなくなった。どうやら仕留めたらしい。
「……誰かに野蛮だとか言われたことない?」
「怖いとか情がないとかは言われたがそんな風に言われたことはないな」
いささか強引過ぎただろうか、またドン引きされてしまった。能率的だと思ったんだが控えた方が良いだろうか。
「ところで、言語はどうにかするって言ってたが……」
「あっ忘れてた」
何か意図があってかと思っていたが、本当に忘れていたらしい。なんて奴だ。こんなのに死後の行き先を決められるとか溜まったもんじゃないな。
「ほんとに神様かお前?」
「うるさいなぁ……ちょっとそこに立って」
「ん? ああ分かった」
言われたとおりに立っていると、アリスはこちらに手をかざし宣言した。
「オールランゲージ!」
「ダッサ」
「それは言わないで」
魔法陣がアリスの手のひらに出て、光が湧きだす。恐ろしくネーミングセンスがない。ゲートオープンといい、名前もうちょっとどうにかならないのかと思ったが、これで問題ないらしい。
「異世界って言っても言語も一つじゃないからね、面倒だし全部の言語が高精度で翻訳されるようにしたよ。話すときも普通に喋るだけでいいから安心して」
「へえ、便利なもんだな」
これでもう日本語のややこしい言い回しに苦労せずに済みそうだな、なんて考えつつ、改めて街の方へ歩を進めた。
何だかんだいってカルクスに着いた。が、大きな門に阻まれてしまった。門扉の左側には少人数が通るための連絡扉が付いている。
怪物がうろついている世界だから門が開いていないのは当然だろうが、これでは街に入れない。しかも前の説明を鑑みれば政治機能は現地のマフィアに握られている。どう考えてもロクなやつが出てこない気がするが……一縷の望みをかけるか。そう思いつつ、連絡扉を叩く。
すると扉の上部がスライドし、異様に目つきが悪い男がこちらをじろじろ見てくる。当てが外れたな。なんて思っていたら扉が開いた。
「入れ」
そう言われたので入ろうと思ったが、その前に……
「アリス、ここで待ってろ。すぐ開ける」
「えっ?」
そう言い、扉を閉めた。四、五人ほどの人間が扉の先を囲んで待っていた。全員短剣で武装している。
「女の前でカッコつけたつもりか? ……まぁいい、持ってるもん全部出せ。さもないと」
言い終わる前にぶん殴り、短剣を奪い心臓めがけて突き刺した。
「なあっ!?」
周囲が怯んだ隙に近くの男に短剣を喉笛に投げつけ、近づいて刺さった短剣を抜いて蹴飛ばした。
「こ、この野郎!」
体勢を立て直したごろつきが構えて刺そうと突撃してくるが、避けてすれ違いざまに後頭部めがけて短剣を突き刺すと、残りは逃げて行った。取り敢えず片付いたので扉を開けよう。
「もういいぞ」
扉を開けて、アリスを中に入れると驚きと呆れが混ざったような表情をされた。
「一体何してたの……ちょっと待って、何この状況」
「気にするな、それより装備剥いでいくぞ。安値だろうけど宿賃くらいにはなるだろ」
「ふざけないでよ、なんで神様が死体荒らしの手伝いなんかしなくちゃならないの」
誰がどう考えても突っ込むべきはそこじゃないと思うが。
「……着眼点がだいぶズレてるな」
「街がああいうところだった時点で予想はしてたから、人を殺した程度じゃ驚きはしないけど……」
実際やったから何も言わんが、随分イメージが悪くなったもんだ。こんな街の真ん前に飛ばしたくせに酷い言い草だな。
そう思いつつ死体を漁っていると、金らしきものが入った袋を見つけた。こいつにはもう必要ないだろうし貰っておこう。装備もある程度剥いだので短剣を一本貰ってあとは売りさばくか。宿はせめて安心できる場所なら……ないな、街に入ってすぐにこれでは宿も怪しいもんだ。いい宿ならセキュリティもしっかりしているだろうか。
少し歩いたところに店があったので戦利品を売り払う。先程の出来事が影響してか、絡まれることなく来れた。しかし相変わらず貨幣価値がよく分からない。店主曰く貨幣の名前は「ダール」らしいが、情報がこれだけでは値切り交渉もへったくれもない。
ぼったくられてはたまらんからどうにかしてその辺の情報を得たいところだが、片やポンコツガイド、片や異世界初心者。現地人から知りたいところだが、常識を期待できないこの街でそんなことしたら何を要求されるか分かったもんじゃない。
さっきは強盗とやりあったり盗品を売りに行ったりで気が付かなかったが、街は酷く汚い。建物自体はルネサンス建築のような建築様式だが、どういうわけか壁に穴が開いてたり汚れが酷かったりと損傷が目立つ。井戸は鶴瓶が無かったり崩れていたりしているし、何なら本当に10mおきに死体が転がっている。冗談だと思っていたのだがな。
街中だろうが行くあてもないので一旦門まで戻るか。ボロボロで汚い街並みを抜けていく。死体なんか珍しくもないなら言ったところで問題ないだろう。と思ったら死体が消えている。代わりにごろつきが8人くらいに増えている。誰かを囲んでいるようだ。
「またやってるな」
「誰か絡まれてるみたいだけど、助ける?」
別に囲まれてる奴はどうでもいいが、あれだけいればもっといい宿にも泊まれるだろうか、そう考えつつごろつき共の背後を襲う。
「ごちゃごちゃ言ってねぇであるもの全部……ってうわぁっ!」
真ん中にいたリーダー格の男を片手で引き込み、喉を捌く。
「なんだお前!?」「カシラ!」「げぇっ!またかお前!」
そんな感じの声が聞こえた。前に逃げた二人もいるのか、全く懲りないやつらだ。後でアリス以外の死神から文句が出そうだな。まぁとりあえずパパっと片づけるか。リーダーがカトラスっぽい武器を持っていたので使わせてもらおう。
腰を抜かした八人目をぶった切り、ようやく静かになった。1~2分くらいで終わった。悪くないタイムだ。カトラスは合わなかったなと思いもするが、あとは漁るのみだ。
「……もう何も言わないからね。ところで大丈夫?」
「はっはい、もう大丈夫……です」
どうやら囲まれていたやつと話しているらしい。若い女の声だ。随分穏やかな声だし、まともそうなら貨幣価値やら何やらを聞き出そう。
ある程度漁り終わったのでそろそろ話しに入るかと思いアリスの方を見ると、金髪セミロングの法衣を着た少女がいた。妙な杖を持っている。異様にオドオドしており、腰を抜かしていたのか、少しふらついている。産まれたての小鹿みたいだ。
見た目だけならアリスより年齢が少し上くらいに見える。ただ少女といっても見た目通りとは限らないことを隣の赤いのが証明しているので少し警戒してしまう。
「……なんで助けた相手を警戒するのよ。というかせっかく見直したと思ったのに目的は結局そっちなの?」
「軍も冒険者ギルドも機能してない以上これが一番手っ取り早く稼げるからな。それに人は見た目では信用できない実例もいるしな」
「なんでそこで私を見るの?」
そんなことを駄弁りつ先程の店に歩を進める。
「あっあの! 助けてくれて、あり……」
金髪の少女が何か言っているようだがそんなことより戦利品を売却してこよう。大方感謝の言葉か何かだろうがそんなものは何の役にも立たん。
そこそこの金になったのかは分からないが先程より多めに硬貨をくれた。世話になっていたユーロ紙幣が懐かしく思える。もっとも、今持っていたところで紙屑だが。
しかしアリス達を置いてきたのは少しまずかっただろうか。そういえばアリスは死神らしいが戦えるのだろうか。そんなことを思いつつ振り返ると、殺意マシマシの目でこちらを見るアリスと悲しそうな顔をしたさっきの少女が立っていた。
「……」
流石にまずかったか。
「あ~……すまん」
その瞬間に右フックが飛んできた。一瞬意識が飛びかけた。いいパンチだ。
よろめきつつ立ち上がると、三メートルくらい吹き飛んでいた。盗品店のオヤジが驚き顔でこちらを覗いている。これならアリスに心配は要らないようだ。
「感謝くらい聞いてあげようって気はないの?」
「目の前で殺人が行われたのに感謝するのもどうかと思うけどな」
「……もう一発欲しいの?」
拳を握りつつアリスがにじり寄ってくる。これはもう死んだかもしれないな。さようなら異世界、二度と来るかクソッタレめ。
「待ってください! それ以上やったら死んじゃいますよ!」
金髪がアリスの腕を掴んでいる。あれだけ雑に扱われてよく庇う気になったものだ。
「・・・・・・」
長い沈黙の後、アリスは無言で拳を下げた。次からは気を付けないと本当に殺されかねない。
「助けてくれてありがとうございました。ところで、大丈夫ですか?」
「いや、俺からも礼を言わせてくれ。危うくまた殺されるところだった」
「……また?」
意外と目ざといなこいつ。
「いや、気にするな。そういえば名前がまだだったな。俺はエミール、お前は?」
「私は……ラナと言います」
そう言ってお辞儀をした。名前のところで詰まったのは大方……まあそれは後でいいか。
「……ラナか、よろしく」
右手を出し、握手を求める。しっかり答えてくれるくらいには嫌われてはいなかったようだ。
落ち着ける所こそないが、日暮れ前に比較的まともな宿が見つかったのはラッキーだった。隣の部屋でヤク売っているからアレな宿に変わりはないが、壁に穴が開いているような宿やギャングが溜まっているような宿に比べればマシな方だろう。ただ、アリスが不満そうな顔をしているが。
「……なんで相部屋なの?」
アリスが不満げに言い放つが、別にお前まで泊まる必要は無いだろ。
「安いし空きもないからな、我慢しろ。大体お前に関してはいったん帰ればいいだけの話だろ。宿賃まで払わせやがって」
「戻ったら死神の仕事しなきゃいけないから嫌」
だるそうに言い放ったが、人の死後を決める仕事だというのに、まったく呆れた女だ。
「でも、良かったんですか? 私まで……」
ラナが申し訳無さそうに聞いてきた。こっちだってわざわざ宿代一人分の負担を余計に負いたいわけじゃない。単純に欲しい情報があるだけだ。
「行く当てがあるとも思えないしな。それに聞きたいことがある」
「私で答えられる範囲なら……」
「物価とかを知りたいんだが、できるか?」
約二時間後
紙と書くものを調達しメモをとる。大まかな食料品の相場、日用品の相場、武器の相場などをメモする。メモはとりあえず懐にしまっておこう。その中で盗品店での売値が思ったよりも高かったこと、むしろこの宿屋の方がぼったくっていることも分かった。ごろつき11人分の金といっても1人分の金額が少ない。
ずっとそれで稼ぐわけにもいかないが、まともに働こうにも身分証明書がない。無くてもやれる冒険者はギルドが機能不全で登録も出来ない。こうなったら夜が明けたら別の街に行くしかないだろう。
「明日ここを出るぞ」
「まぁそうするしかないでしょ」
「あの……私もご一緒してよろしいですか?」
「駄目だ」
背筋が凍ったような感覚がする。見たくはないが、恐る恐るアリスの方を見ると、鬼のような形相でこちらを見つつ拳を握りしめている。ラナの方はショックを受け、落ち込んだ顔をしている。仕方あるまい、
「冷静に考えてくれ、職もないから三人分の宿代をポンポン出せるほど余裕も無いんだ。ただでさえ誰かさんは宿に泊まる必要なんかないのについてきたからな」
「・・・・・・」
少し納得した様子は見せたが依然拳を握っている。
「……分かった、好きにしろ」
そう言うとラナの顔が少し明るくなった。アリスの方も殺気を抑えてくれた。
「いいんですか?」
「命は惜しいからな。で、アリス。お前がお人好しなのはよく分かった。でも無計画に助けていってこっちが潰れれば本末転倒だろ。なんかいい方法考えてるんだろうな?」
「もちろん、この街で一番稼げることがあるよ」
最初から言えよ。だが冒険者ギルドは機能不全だったはずだ。それ以外で稼げることなんかあるのか?
「アリスさん、それってもしかしてですが……」
ラナが恐る恐る質問する。なんか猛烈に嫌な予感がする。
「うん、『フィザーク兄弟』の懸賞金」
「で、何なんだ? その暴れてたエミールってやつは?」
「外から来たのは確定してますが……どうもその正体が掴めません。一緒に来た女も同様です」
「兄貴、うちの部隊を送ろうか?」
「すまねえな、そうしてくれ。んで、奴は今どこだ?」
「ビリーさんが仕切ってる宿にいます」
「バルト、あそこはお前の管理下だったな?」
「ああ、ダカールに戦力を分析してもらってる。別働隊が居たら面倒だし一晩見てもらう」
「そうか。んじゃ、俺はちょっくら離反者で遊びに行ってくる。ああ、出来ることならそいつらも生け捕りにしてくれ、最近捕虜が減って暇なんだ」
「分かった、伝えとく」
宿 共用スペース
「おや、アリス。その資料は……」
「この世界の資料。自分で渡したのに忘れたの?」
「……私としてはこの世界は思い入れがあるからね、もちろん覚えているとも」
「? ……まあいいや。で、何か用事でもあるの?」
「まぁちょっと様子を見に来ただけかな。それはそうとどうだい彼は?」
「最悪。人殺しに余念がない、死体漁りで金を稼ぐ、人に厳しく当たる。言葉で言って聞くとは思えないから殴って聞かせたくらいだし」
「君もたいがい野蛮だね。まぁあんな人生送ってきただけあって、思想が根本から歪んでるねぇ」
「戦闘面に関しては……まともにやりあえるほどの力はないかな。けど対象を殺すことに関しては手段を選ばない性格だから危険かもね」
「君の基準じゃ戦闘能力の評価は当てにならないけど……悪くないかな。でも暴走したら最悪の事態を引き起こしかねないってところだね。監視を緩めないように頼むよ」
「それはいいけど……なんでそんな奴を転生させるよう命令したの? わざわざ地獄に空きがないなんて嘘までつかせて」
「特にないかなぁ。興味本位ってだけだからね」
「……聞くんじゃなかった」
「すまないね、今度ジャックに頼んで飯でも作ってもらおう」
「なら許す。あとこの資料ゴシップが大量に混ざってるんだけどなにこれ? 聖女伝説に花の姫の寓話、龍神伝説にあとは……豪炎王ファルドの伝記?」
「文化を理解する上で必要かなぁって思ったから入れてみたんだけど……駄目だったかな?」
「駄目とは言わないけど……これ必要?」
「必要ないかもね」
「えっ」
「おっと、長話が過ぎた。じゃあ引き続きよろしく頼むよアリス」
「ちょっと」
「ではまた来るよ。頑張ってね~」
「……彼じゃあちょっと難しいかもなぁ」