記憶喪失
会議が終わり荷物を取りに教室に行くと7組の生徒が岩波の椅子に向かい合わせで座って熱く濃厚にお互いの身体を触り合っていた。
「チューしよ?」
そして目の前で舌を絡ませるような接吻を行った。
その瞬間、高島の目の前が一瞬だけ明るくなった。
「ゆう?、、、ねぇちょっと!見たでしょ?」
1メートルまで迫ってきた。
「何を?それよりも何で1組にいるの?ゆうって誰?」
大人しそうな女子生徒に一方的に記憶に無いことで理不尽に怒られた。
「一ノ瀬勇刀」
この女子生徒が探している男子生徒は5年前に亡くなっている。
「一ノ瀬?楠ヶ丘中学の?」
「そうそれ、今いたでしょ」
高島はぼーっとしていて記憶が無い。
「いや」
うんざりした様子で女子生徒は荷物をまとめた。
「じゃあ後輩くんに聞いてこよー」
何か危険な雰囲気がした、高島は女子生徒を引き止めたが、、、
「だからゆうが死ぬわけないって、さっきまで膝の上でチューしてたし」
聞く耳を持たないようで、高島を無理矢理連れ回して最後に吹奏楽部の部屋に連れて行かれた。
「後輩くんに聞けば良いでしょ」
3分待たされてユーフォニアムを持った1人の男子生徒が連れてこられた。
「一ノ瀬勇刀って知ってる?」
2年生の男子生徒はゆっくりと縦に首を振った。
「ほら、知ってた、じゃあこの学校にいたよね?」
今度は横に首を振った。
「ゆうが死ぬわけないじゃん、君たちが頭おかしくなったんじゃないの?それとも、、、この学校の噂とかが、本当に、、、さがしてくるか、、、」何かを言いかけたが女子生徒は走って出ていった。
慌てて後を追うと、、、大きな音がして女子生徒は階段で転倒し植木鉢に頭から突っ込んで制服を鮮血に染めた。