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殺し合いの独裁者[ディクタチュール]  作者: 加藤裕也
第7章 : 関わり合いと処罰する者(パニッシュメント)
270/301

270.破壊

「随分と派手にやってるな、S(シグマ)


大内涼太(おおうちりょうた)、、毒の能力。フッ、危ねぇな。触れられたら即死のチート能力か、、でも、触れられなければ意味は無い」


「そう思うのか?」


「強がりはやめろよ」


 ニヤリと笑う涼太に、拓篤(たくま)もまた挑発的に笑う。


「お前の事は知ってる。毒の能力は相手に触れるか、全体攻撃。二択しか無い。つまりだ、全体攻撃を使ったら、俺を止めようとしてる、他の奴らも巻き込む事になるって事だぞ」


「っ」


「つまり、お前に残された方法は触れる事以外無いって事だ」


 拓篤は微笑むと、涼太は歯嚙みする。


ー予想通り、とんでもねぇ奴だな、、さっきの一撃を逃したのはデカいかー


 そう涼太は冷や汗を流していると、拓篤の背後で。裕翔(ゆうと)が、小さく頷き微笑む。その光景に、涼太は目を見開く。そうか、なるほどと。


「クッ、」


「どうした。図星かよ?俺を大勢で囲んだのが、逆効果だったな」


 拓篤が涼太にそう告げる中、背後から裕翔が巨大な鉄の塊を振りかぶり、体を吹き飛ばす。と、思われたが。


「なぁ?裕翔」


「っ」


「こんなもんで、俺を殺れると本気で思ってたか?」


 拓篤は背後にマントルの壁を作り微笑む。と。


「おらっ!」


「クッ」


 そのマントルの壁ごと蹴り飛ばし、裕翔を吹き飛ばす。が、彼はその先でまたもや巨大な鉄の塊を作ると、それを吹き飛ばされた衝撃を利用して振り回す。と、それを。


「っと」


「っ!」


 それを拓矢(たくや)が捕えられているマントルへと放り投げた。


「うっ!?...あれ、?」


「今だっ!圧力で吹き飛ばせ!」


「っ!了解っ!」


 空中で裕翔が声を上げると同時。拓矢は大きな風を起こし、内側からの威力でマントルを吹き飛ばすと、そこから飛躍する。


「クッ、あれを利用されたかっ」


 鉄をぶつけて弱まったマントルを、内側から破壊。そのための勢いをつけた。これを狙っての行動かは不明だが、このままではマズいと。拓篤は飛躍した拓矢を見据えると、瞬間。


「っ!」


「クッ、駄目かっ」


「お前っ、クソッ」


 背後から、涼太が背中に触れようと近づき、それを避けるため跳躍しマントルを隔てる。


ークソッ、反射的に蹴り飛ばしそうになる、マズいなー


 拓篤は僅かに冷や汗をかく。すると。


「丁度良いところに飛んできたねっ!」


「なっ」


 その目の前には拓矢がおり、風の圧力で叩きつけられる。


「クッ!?」


「お願い!裕翔君っ!」


「じゃあ、さようなら」


「っ」


 と、そんな拓篤に、上空から裕翔が鉄の塊を大量に落とし、彼を潰す。そこから逃げられない様に、拓矢は風を強く放ち続けながら。


「涼太君の能力は一度きりの能力だと言っていたけど、こうして大勢での戦闘の場合には、寧ろ思考を遅らせるための手段ともなるし、隙をついて逆転を狙えるキーにもなる」


 裕翔はそう告げながら、潰された拓篤に近づくと、瞬間。


「そう、これを待ってたんだ」


 小さく口角を上げ、裕翔は告げると。


「世界の再構築だ」


 マントルの地面に手をやり、鉄を広げる。


「こ、これは、」


「何のつもりだ」


 それに拓矢と涼太がそれぞれ口にすると、裕翔は微笑み立ち上がる、


「この程度で、俺を倒す事が出来ると思うか?きっと、またそんな事言って出てくるよ。この地面はマントルで出来てる。つまり、これを操作するのは彼の思うがまま。潰されても、その瞬間にマントルを動かして自分を落として、マントルを溶かして道を作り、移動してくる筈さ」


「な、なるほど、」


「で?これは何だ」


「だからこそ、蓋をするのさ。彼を、地中に閉じ込める。そして、彼はどこまでも移動するだろう。だからこそ、拓矢君」


「え?お、俺、すか、?」


「ああ。僕を風に乗せて、この星を一周させて欲しい」


「そ、そんなっ」


「君なら、出来る筈だ」


「...で、、出来なくは、無いけど、」


「ちょっと待て。安易に頷けはしないな。もしそれで世界中の地面をお前の鉄にしたとしよう。そしたら、生態系が崩れる恐れもある。しかも、お前を俺たちは完全に白だと考えてるわけじゃねーんだ。もしそれを実行したら、お前が何処でも好きな様に地面を動かせて、この星の自爆スイッチを握ってる事になるだろ」


「はは、面白い事言うね。でも確かに、そういう疑いの心は大切だ。特に、このクソみたいな世界ではね」


 裕翔は笑った目を僅かに開いて低く涼太に告げると、改めて笑みを浮かべる。


「でも安心してくれ。白と認めてくれとは言わないけど、この噴火や地震によって、生態系は既に崩れている。更に、このまま何もしなくても、この世界は終わる。もう、限界なんだよ。この星も。だからこそ、僕はあの街の様に、新たな地面を作り上げたい。そう考えてる。逆に言うと、このまま何もしなかったら、奴によって全てが滅びる。今の状況なら、彼を地中に閉じ込めて、僕が鉄の動きを変化させ、内部爆発で彼を圧死させる事も出来る。どう?僕の話、乗る?それとも、もっといいアイデアが、君にはあるのかな?」


「そ、それは、」


 裕翔の提案に、涼太が歯嚙みし悩むと、そののち。拓矢が割って入る。


「わ、分かった、、行こう」


「な、お前、」


「決まりだね。涼太君。君は、能力的に近づかれない筈だから大丈夫だと思うけど、この街は、頼んだよ」


「おいっ、何勝手にーーっ!」


「「っ」」


 涼太が声を上げながら二人を止めようとした、その瞬間。突如大きな揺れが一同を襲い。


 涼太の背後から、大量のーー


 ーー"水"が、溢れ出した。


「嘘っ」


「うふふ、私にいつ勝ったおつもりでした?皆様方は」


「おまっ、ぶっ!?」


 背後から美弥子(みやこ)が現れ、涼太を水圧で吹き飛ばす。


「クッ、マズいっ」


 それを拓矢が追いかける中、裕翔は目を細めた。


「落下した時に対策が無い涼太君を狙ったか」


「ふふふ、ほんと、岩倉(いわくら)拓矢君には驚きね。あんな風圧で私を無力化したと思い込んで、、水の圧力に勝てる筈ないでしょう、、ほんと、Sに気がいき過ぎね」


「お前は本当におしゃべりが好きだな」


「ん、話すのは良い事よ?」


 瞬間、裕翔が地面の鉄を伸ばし美弥子に激突させようとすると、彼女は空中に水を出現させ、それを泳いで避ける。


「ねぇ、この地面の鉄を、私の水だけで壊したと思う?」


「思わないね。だからこそ、焦ってるんだよ」


「ふふ、流石。ご察しの通り」


 美弥子がふふふと口に手をやり微笑むと、裕翔は突出させた鉄の塊を変形させてガトリングにし、逃げる彼女を狙う。


「逃すかっ」


「そんな事も出来るのね。面白い」


 頰に手をやりペロっと舌を出す彼女に、裕翔は更に火力を高める。地面とした鉄の破壊。それは即ち、マントルが溶けた事による劣化と、核との間に存在する水の量を増やして圧力を強めた結果だろう。故に、水だけで無く、マントルを操作していたという事である。それはつまり。


「あいつをまた地上に出すわけにはいかないんだよ」


「ふふ、随分と必死の様でーーっ!」


「余裕ぶるのも、いつまで待つかな?」


 逃げ惑う美弥子の足に、鉄の弾丸が一発通る。それによりバランスを崩した彼女に、裕翔が足を踏み出した。

 が、その瞬間。


「チチチチチチチチッ」


 一人の少女が、遠くから。


「ドッカ〜〜〜ンッ!」


 そう元気に声を上げる。

 と、同時。


「「「「っ!?」」」」


 その場に、大きな爆発が起こった。


「ぐはっ!?」


「ぐぅ!?」


 間近に居た裕翔と美弥子は吹き飛ばされ、それに気づいた、涼太を回収した拓矢は驚愕し、慌てて戻る。


「だ、大丈夫、?」


「クッ、い、一体、なんだ、?」


「あら、どうして敵である私を助けるのかしら?」


「え、いや、それは」


「ほんと、馬鹿で純粋ね。壊したい、」


「え、」


「マズいっ!」


 美弥子はニヤリと微笑むと、体から水を大量噴射し、拓矢を吹き飛ばす。それにいち早く気づいた裕翔は鉄の盾を作り、防ぎながら拓矢の風を利用して着地する。


「気を抜いたら、飲まれて死ぬよ。拓矢君」


「ご、ごめん、」


「戦場では気をつけた方がいい」


 裕翔はそう口にしながら、「それよりも」と。爆発した方向へと向き直る。


「あらぁ〜、随分とカオスな事になってきたわねぇ。いいわぁ〜、終末を感じる、」


 そんな光景を、美弥子もまた空中に生成した水の中で浮きながら見つめると。


「ありゃりゃ〜、ちょ〜っとやり過ぎたかぁ?あははっ、でももう終わんしょ?この世界。なら、もっと盛大にやってもいいよねぇ」


 遠くから、金髪でロングの髪を巻いた女子が着地し微笑む。その様子に、一同は目を細めていると、拓矢が口を開く。


「君が、、やったの?」


「えぇ?あー、今のぉ?凄かったっしょ〜?ずっとタイミング見て、溜めてたの。マジ激アツっしょ?」


「どういうつもり、?君は、今までそんな、」


「んー?あー、そういうのいいからいいから。てかさ、もう世界終わるんしょ?なら、楽しんだもん勝ちじゃね?せっかくこの世界来て、色々出来るのにさ。世界終わるのマジ勿体無いじゃん!」


「そんな、」


「世界を終わらせないために僕達はここに居るんだけど」


「え、そうなの〜?まあ、良いけどさ。でも、どんどん死んでるよ。街の人」


「っ!」


 その女子の放った言葉に、拓矢は目を剥き冷や汗を流す。


「それなのにどうにかするって、、あははっ!マジウケる!どうにかして、その後どうすんの?このぶっ壊れた世界で、神にでもなんの?」


「違う。僕はーー」


「ああ。その通りだ」


「「っ」」


 裕翔が放つ隣から、涼太が割って入った。


「世界を作り変える。元々、俺はお前らに裁きを下そうとしてたんだ。それがこれからは正式に出来て、俺は満足だよ」


「へぇ〜、そのための破壊ってわけ?」


「フッ、違う。あんな奴と一緒にすんな。俺が裁くのは、ああいうゴミ共の方だ」


 涼太が低く放つと、その女子はニヤリと微笑む。と。


「ちょっと!涼太君っ!何言ってっ」


「あ?何言ってんだ。甘いぞ。こいつだって、今の爆発、見ただろ。自分が楽しみたいって理由で、絶対に被害者を出す。そんな悪党に、交渉する必要なんてない」


「で、でもっ、被害者は出てないわけだしさっ!さっきのも、丁度誰も当たらない様にしてーー」


「いや、、何も被害が出てないは、嘘になる」


「え、」


 拓矢が説得する中、裕翔が目を細めて放つ。と、そんな彼の視線の先。先程の爆発によって地面となる鉄は破壊され、マグマが噴き出し、そこにーー


 ーー(たつみ)拓篤が居た。


「っ!」


「もう少しだったんだけどね」


「クソがっ!あいつのせいじゃねぇかよ、」


「あいつ〜?誰のこと〜?」


「お前の事だよ!」


「あいつじゃ無いし〜」


「君は、確か、鈴木(すずき)さん、だったかな?」


「鈴木呼ぶなしっ!なんか変な感じすんじゃん!あーし、鈴木香奈(かな)。香奈っちって呼んでよ」


「誰が呼ぶか鈴木」


「えぇ〜、それだからモテないんだよ裁き裁きうっさいなぁ」


「は?」


 香奈と涼太が話す中、ふと裕翔はその様子を見つめたのち、目の色を変える。


「...拓矢君。直ぐに後ろに、風を使って逃げてくれ」


「えっ」


「この長い間、秋山(あきやま)美弥子の姿が見えない」


「っ、まさかっ」


 それを放つと同時、拓矢は上を見上げ風を使って言われた通り退く。と、刹那。上空から美弥子が大量の水と共に落下し、それを生成した鉄で裕翔は防いだ。


「あら、バレていたのね」


「君の様な存在感のある人には、向かない芸当だよ」


 裕翔はそう口にすると同時、防いだ鉄からバルカンを作り出し、鉄の弾を撃ち込む。だが、それが水の中に到達すると、それ故に速度を減速させられ、その隙に美弥子は避ける。と、水を()ねさせ、その水滴を裕翔の足元に付着させる。

 と。


「っ!」


 それは直ぐに広がり、裕翔の足を飲み込む。と、そののち。


「さぁ、悶え苦しみなさい?」


 美弥子は微笑み告げると、その水は更に広がり、裕翔を飲み込む。と、思われたが。


「っ」


 突如、横から放たれた風によって、裕翔は水から脱出する。


「あら、邪魔しないで欲しいのだけれど」


「好きな様にはさせない」


 少し声を低くし放つ美弥子に、拓矢は鋭い目つきで放つ。と。


「裕翔君!」


「っ」


 突如の名を叫び、裕翔は目を見開く。


「Sを止められるのは君だけだから!ここは任せてっ!だから、お願い!」


「...」


 拓矢の言葉に無言で頷くと、そのまま拓篤の方へと向かう。その姿を見据えながら、美弥子はニヤリと口角を上げ、改めた。


「お願いだなんて、、随分と身勝手なのね」


「Sの力には、、敵わない、彼と対等に戦えるのは、裕翔君しか居ないよ」


「ふふふ、とても信頼しているのね。でも、彼はどうかしら」


「分かってる、、俺の事を、信用しているわけじゃないのは、、それはそうだよ。正直、今まで大した話もしてこなかったからね」


「そう。でも、確認しないと分からないものよ」


「そうかな、?」


「ま、でも、結局貴方の信頼は打ち砕かれる事になるわ」


「え」


 美弥子は頰に手をやり、そう告げると。


「それを確認する前に、全て終わるから」


 強く放ち、大量の水を降らせた。

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