250.噴火
「んだよあれ、」
この星自体が揺れる。立っていられない程に。まるでこの世界が終わると、そう告げているかの様に。目の前で赤黒い、ドス黒い世界が広がる。それを見据える、一人の男子。修也は、目を細め、口角を上げた。
「はははっ、はははは!やべぇ、、これ、あいつがやってんのか?」
武者震い。まるで興奮する様子で震える修也は、その光景に足を踏み出した。と、その時。
「これ、やばいね。...でも、とても綺麗」
「...お前、、ハッ!また俺を邪魔しに来たかぁ!?でも無駄だ。俺が何もせずとも時期にこの世界は終わる」
「終わらせないために、来たんだよ」
「は?」
その意味深な言葉に修也は首を傾げる。振り返った視線の先に居たのは、鶴来愛華。フリルのついた、可愛らしい服装と似合わず、その服は大きく焼け焦げており、右腕が僅かに溶けていた。
「その体で何しに来たんだぁ?てっきり、俺と同じで見学にでも来たのかと思ったんだけどよぉ。どうやら、そうじゃねぇみたいだな」
「べっつに〜、もう私は死んでもいいんだ。十分、この世界は堪能させてもらったからねぇ〜」
「へぇ、私は、か。お前、碧斗達を守るために来たのか?」
「うん。そうだよ」
「なるほどなぁ。だからこそ俺を邪魔したか」
「今だってそうだよ。碧斗の邪魔するなら、容赦しない」
「はははっ、やってみせろよぉ!」
修也はそう笑って愛華に足を進めるが、しかし。それと共に火山が噴火し振り返る。その様子に、彼は僅かに目を見開くと、そののち。目つきを変えて踵を返した。
「...どうしたの?」
「ハッ!やっぱ辞めだ。どっちみち世界は終わる。お前とやり合っても、意味ねぇからなぁ。どうせなら、最後は大勢を殺りてぇ。ハッ、やっぱ王城かぁ?」
修也はそう笑うと、そのまま足早に王城方面へと向かっていく。その様子を見据えながら、愛華は首を傾げる。
「何あれ。変なの〜」
そう呟いたのち、彼女もまた火山に向き直り、目つきを変える。
「碧斗、、大丈夫、、絶対。私が止める」
愛華はそう呟くと、両手を前に出す。
「樹音、、言ってくれたかなぁ、、でも、、やることは変わらない。絶対に、この世界。終わらせたりなんかしない」
命を賭けても。まるでそう放つ様に意思表示する彼女は、それと共に。
能力を全力で放った。
☆
「う、、嘘だろ、」
「これっ、、って、」
「チッ、始まったか、」
突然の振動と轟音に、碧斗と美里、大翔はそれぞれ呟く。そう、噴火が、始まってしまったのだ。
「ははははっ!甘いのはお前だ碧斗。俺に圧力を与えるためにどれ程の力が必要なんだ?少なくとも、既に瀕死のやつには、荷が重いんじゃねぇのか?」
「お前、、まさか、」
「ああ。途中から熱エネルギーが集中していたのは把握してた。つまり相原は、"火山活動のエネルギー"よりもこっちを選んだんだ。そうすると必然的に火山活動のエネルギー調整が疎かになる。こっちとしては妨げられていた噴火の蓋が無くなったも同然。確かにその分俺への圧力は強かったが、体力の限界が近いやつの全力なんて、高が知れてる。噴火を抑える程の力はもうねぇよ」
「最初から、、狙ってた、わけ、?」
目を細める美里にSはわざとらしく笑う。
「それと碧斗。安心しろ」
「...?」
「お前は死なせない。たとえこの世界が滅びる程の終末が訪れてもな」
「それは、どうもっ!」
碧斗はそう掛け声の如く放つと、手を前に出しSの周りの煙を濃くさせながら圧力で彼に向かう。
「クッ、ゲホッ」
「俺を殺さないって事は、この煙が無くならないって事だぞっ!」
碧斗はそう声を上げながらSに到達し、圧力を含んだ殴りで吹き飛ばす。
「ゴハッ、、はぁぁぁ〜っ!そのくらい、どうって事ない」
「何、?」
「言っただろ?俺も死んでお前が一人になる。それが結末だ。もう既に噴火は始まった。俺を殺しても止まらないし、寧ろ止める策が無くなる」
「クソッ!なら早く止めろ!そうしないと殺すぞ!」
「ははははっ!だから言ってんだろ!俺は死んでもいいんだ。何をしたって止めない。お前がどれ程脅してこようともな」
「っ、、クソッ!」
碧斗はそう声を荒げSを殴ると、どうにかして止めようと振り返る。
が、その先。空中にナイフの足場を作って広く見渡していた樹音が、割って入る。
「碧斗君!大丈夫だっ!」
「っ」
「気にしなくていい!噴火は、大丈夫っ!街にまで広がらない!」
「え、?」
「何?」
樹音はその理由を零しそうになり、改める。彼に、その事を今伝えるべきではないと。そう考えたのだ。するとその言葉に、碧斗のみならず、Sもまた声を漏らす。
「とにかくっ!火山に関しては気にしなくていいっ!大丈夫、止めるからっ!だから、安心して。何も考えずにSをっ!止めて!」
「っ」
樹音の言葉を、碧斗は受け止めると共に目つきを変え、Sに改めて向き直る。
「はっ、、止めて、ねぇ。いくら噴火を抑えられるとしても、俺は止められねーぞ?」
「ああ。大丈夫だ」
碧斗は不敵な笑みを浮かべるSに低く告げると、そののち。足を踏み出し付け足した。
「お前はここで消す」
「おお。争いは嫌いなんじゃ無かったのか?」
Sがそう笑いながら僅かに跳躍し後退ると、地面が割れて動き碧斗と距離を作る。だが、それを瞬時に理解し煙で飛躍すると、そのまま彼に殴りを入れ碧斗は放つ。
「みんなを騙し、精神的に追い詰め、必要の無かった争いを生んだっ!」
碧斗の殴りをまたもや地形変動で避けながらSはニヤリと彼を見据える。それに、碧斗は圧力を利用して向き直ると、更に追撃を入れる。
「そんな、争いを生んだ張本人をっ!ここで野放しにするわけにはいかないだろ!」
「ははっ、なるほど。お前らも、結局はみんなと同じって訳だな」
「何、?」
跳躍しながら地形変動で足場を作り移動させながら、煙を空中に漂わせる事で圧力を生み足から放つ煙と合わせて更に細かな動きで追い詰める碧斗の攻撃を、Sは避けながら答える。
「だってそうだろ?お前らも、転生者達から争いを生んだからだとか、争いの元凶を庇ってるからどうのこうので、追われてるんだろ?」
「ふざけんなよ、、お前とっ、お前と一緒にするなっ!お前はっ、一体何人っ、何人人の心を壊したと思ってっ!」
「死んだら記憶がリセットされるんだ。大した事ないだろ。それに、俺は争いなんて起こしてない。全部"あいつら"がやった事だ。俺に大きな罪はない。違うか?」
「ふざけんなよお前っ!お前は自分の手を汚さずに、多くの犠牲を出したんだっ!お前のせいで狂った智樹君はっ!一体何人命を奪ったと思って、!」
「だから、それはそいつが勝手にやった事だ。俺は殺せなんて一言も言ってないぞ?濡れ衣だ。お前らが争いなんて望んでないのに反発しただけで狙われてるのと同じ。俺も、そんな理由で狙われてんだな」
「いい加減にしろよっ」
碧斗はSの発言に強く歯嚙みし口から僅かに血を流す。その、碧斗らしからぬ姿に、美里と大翔は目を細める。
「俺達が、お前と同じなわけないだろっ!」
声を荒げ、碧斗はSに殴りを入れるものの、またもや避けられる。と、そののち、変形した地面の上で。空を見上げ、噴火し放たれた小さな噴石が突如空中で、まるで見えない壁に当たり、砕ける様子を見据えながらSはぼやく。
「なるほど、、こういう事か。この感じ、さっきのと同じだな」
「「よそ見してんじゃねぇぞ!」」
Sが遠い目をする中、碧斗。のみならず、反対側から大翔が挟み撃ちで殴りにかかる。それを変形した地面を飛び移りながら避けると、Sは僅かに指をスライドさせ、それの動作に合わせて、追って来た大翔の足場が崩れ落ち、足を滑らす。
「クッ」
「っと」
それを、既のところで碧斗が回収すると、そのままSに向かって二人で殴りに飛びかかる。だが、それもまた同じく避けられる。と、それを受けながらSは先程同様小さくぼやく。
「それにしても大変だよな」
「何の話だ、」
「水篠沙耶の事だよ。元はと言えば、全て彼女のせいだろ?お前達が狙われる様になったのは」
「「「「っ」」」」
その一言に、空中の碧斗と大翔。未だ蹲る美里。上空で碧斗達に噴石がぶつからない様にナイフで粉砕する樹音。それぞれが、目を見開いた。
「全ての元凶は、言うなら修也じゃなくて沙耶の方だろ。その本人が居なくなったっつーのに、こうしてまだ追われて、戦い続ける。ほんと、虚しいね。馬鹿な連中だよ。みんなも、お前らも。居ないもののために、今も尚抗い続けるなんて」
「てめぇ、、ちょっと黙れよ」
「ん?どうした?事実だろ?」
「お前がっ!水篠さんの事をっ、言う権利はねぇんだよ!」
大翔に続いて、碧斗が声を荒げた。が。
「ちょっと待って!今のはブラフッ、分かりやすい挑発だからっ!本気にしちゃ駄目!」
それを止める様に、背後から美里が声を上げた。
「相原さん、」
そんな彼女は、誰よりも怒りを見せており、悔しさから僅かに瞳が涙ぐんでいた。
「こいつは伊賀橋君を狙ってる。今のは精神的攻撃。そして、一番の狙いはーー」
美里が続けてそれを放とうとしたその時。その言葉を遮る様に、またもや大きな噴火が起こる。それにより、降り注ぐ噴石と。そして。
「クッ、けほっ!?かはっ!?」
「かっ、かはっ、んだよっ、これっ、!」
「ま、マズい、」
美里、大翔が咳き込む中、樹音は上空を見て察する。
そう。Sの一番の狙い。それは、噴石による攻撃だけで無くーー
ーー火山灰による攻撃だった。
「今気づいてもおせぇよ。確かに誰かさんのお陰で街にまで被害が及ぶ事は無くなったかもな。でも、その代わりお前らが大変になるだけだぞ」
「何、?」
Sの言葉に碧斗は目を細め、彼の見ていた視線の先。上空へと顔を向ける。と。
「っ!」
そこには、僅かに見える薄い膜の様なものと、それによって弾かれる噴石や火山灰が映し出されていた。そう。あの時僅かに見えた膜と同じである。
「一体、、誰が、」
碧斗は思わず声を漏らす。我々を助けてくれたのだろうか。いや、ただ自分達の居る王城にまで被害が出るからこそ阻止したのだろうか。だとしたら、先程我々を助けてくれたのは一体。と、碧斗は思考を巡らす。だが、問題なのはそれではない。そう。外に出ない様に塞いでいる膜によって弾かれた噴石等はその中に戻される。即ち、その中に居る我々に直接攻撃が与えられるのだ。
「「クッ」」
碧斗と、その事情を知っていた樹音がそれぞれ歯嚙みする中、ふと。美里は微笑み立ち上がった。
「それが何?」
「ん?」
「それくらい。街の人達が助かるなら、大したことないけど」
「っ、、だな!ちっとばかし息苦しいのは、碧斗ので慣れてっからな!これくらい、大した事ねぇよ!」
「ハッ、馬鹿だな」
美里が地面に手をやり火山活動に調整を加え、大翔が言葉と共に碧斗の元から飛び出す。それに樹音は目つきを変えて、そうだと。改めてナイフを生成し噴石を破壊していく。その一同の姿を見て、碧斗は一度深呼吸をしたのち、目の色を変える。
そうだ、まだ"手遅れ"ではないと。
「馬鹿はっ、お前だっ!」
「っ」
大翔の方へ意識を向けていたSは、その後ろから更に速度をつけて向かう碧斗に目を見開く。と、その時には既に。
「スモーク、インパクトッ!」
「ぐふっ」
碧斗の拳から放たれた煙の大きな圧力によって、Sは吹き飛ばされる。と、それに続いて、大翔がニッと微笑み空中で回転すると、その後ろから碧斗が圧力で飛ばし、後退るSに追撃を入れる。
「がはっ!?」
「くふっ」
それもまた避けることは困難故に受け空気を吐き出すSだったがしかし、大翔もまた咳き込む。だが、それでもと大翔は殴りを続けた。が、しかし。
「調子に乗るなよ」
「っ」
碧斗の圧力に守られていただけに過ぎない大翔は、足場がないがために。
Sが指を上に立ててスライドさせると、割れた地面の間から、マグマが噴き出す。
「クッ!」
「大翔君っ!」
「っと!?」
それに大翔がギョッと身を縮こませると、それをカバーする様に彼の足元に。空中にナイフが現れ、彼の足場となり、それを蹴った大翔は既のところでマグマを避ける。と、その上から。
「終わりだっ」
「っ」
碧斗がSに殴りを入れて吹き飛ばす。
ー殴られる瞬間まで、見えなかった。ブラインド、、いや、それ以前に速すぎるのかー
それに吹き飛ばされるS。そんな彼に更に追い討ちをかける様に、碧斗はそこから煙で加速して彼の腹に拳を入れていく。
「くおらぁっ!」
「ぐふっ」
空中で、圧力調整をしながら何度も。拳を入れると共に放たれる圧力。そして、それにより吹き飛ぶ彼を後ろから引き戻すための衝撃。足から放たれる煙でその高度を保ち、それと同時に、頭上から降り注ぐ噴石を煙の圧力で弾き飛ばしながら、殴りを続ける。それに目を見開く大翔と樹音。だが、その中で美里は目を細めた。それ程までの能力多用。更に現在はガスが充満している状態である。煙をただ操るのだけでも大変だというのに。このままでは体がもたないと。そう不安になりながらも、怒りのままSに攻撃を続ける碧斗に、どこかでもう少し耐えてくれと。Sを止めてくれと。願っていた。が。
対するSは目を剥き吹き飛ばされるものの、煙の圧力を掻い潜り、その先で地形を変形させて足場及び壁を作り出し、彼自身を受け止める。と、それにまだだと。追い討ちをかける様に碧斗が向きを変え殴りに入る。だが。
「調子に乗ったな。阿保が」
「っ」
Sの目の前。向かう碧斗の目の前に、突如地面が砕けマグマが噴き出す。まるで、彼を守る様に。
「クッ」
それに慌てて煙を逆方向に放ち、留まると共に、マグマが途切れ、その後ろから現れたSが殴りを入れる。
「ごはっ!」
「碧斗っ!」「碧斗君っ」「伊賀橋っ、君っ!」
「あまり図に乗るんじゃねぇぞ」
吹き飛ばされた先で煙の圧力を調整して浮遊する碧斗は、Sに向き直る。が、しかし。
「クッ!?」
思わずふらつく。
「あんまり無理すんなよ。自分でも分かってんだろ?このままやり続けたら、死ぬってさ」
「クッ、」
「煙の扱いは難しい。このガスがある中では更に困難となる。だがそれだけじゃねぇ。それと共に着実にみんなの体力を奪っている。息苦しさに、こんな長時間耐え切れるはずがない」
「はぁ、、はぁ、はっ、はぁ、」
「ちなみに相原。お前のそれも意味はない。もう既に力はゼロに近い。ここまで活性化した火山活動を止められるはずがない」
「クッ、、やって、みないと、、わかんっ、けほっ、ないでしょ、!」
懸命な美里の言葉に、Sは笑う。それを目にし、碧斗は眉間に皺を寄せる。Sには耐性は無いはずだ。というのに、えらく慣れている様子だ。今まで、どこかで同じく噴火を経験した事があるのだろうか。はたまた、この息苦しさに、慣れているのだろうか。
「はぁ、、はっ、はぁ、」
「安心しろ、碧斗。お前は前も言ったが殺しはしない。この火山ガスも、致死量は超えてない。命に別状はない程度のものだ。俺はあくまでマントルの能力者であり、ガスの能力はないからな。その中の成分を変化させる事は出来ない」
「「「「クッ」」」」
その場の皆が歯嚙みする。美里は戦える状況ではない。大翔もまた、跳躍して彼に届く位置に居ない。樹音は噴石で精一杯の様子だ。このままだと、皆が殺されてしまうと。碧斗は身を乗り出す。
「おお、まだやるのか。やめておいた方がいいと思うぞ」
「駄目だ、、俺がここで諦めたら、、きっと、みんなを殺りにいくんだろ、?なら、絶対に後悔したくない」
「結局は同じ事になるというのに」
向かう碧斗にSは笑う。恐らく、戦闘不能になった碧斗に見せつけるつもりだろう。Sに向かう彼に、むしろ好都合だと言わんばかりの表情を浮かべる。
「クッ!」
「ハッ!」
碧斗は同じく圧力で殴りにかかるものの、Sは二度も同じ手には乗らないとそれを避けると、蹴りを入れる。
「ゴハッ!」
「っと。ほら、諦めろよ。もう、無理なんだよ」
「諦める、、わけにはいかないだろっ!飛べもしない、、ましてや噴火になんて太刀打ち出来ないみんなが、まだ諦めてないんだ。それなのに、飛べもするし対応も出来る。そんな俺がっ、諦めるわけねぇだろ!」
碧斗は蹴飛ばされ地面に這いつくばりながらも、そう目つきを変えて立ち上がる。恐らく、碧斗が落下しない様、彼もまた細心の注意を払っているのだろう。それもまた、絶望を与えるためというやつなのか。それに歯嚙みしながらも、碧斗は尚も向かう。
「無理はやめておいた方がいいと思うけどなっ!」
Sは地面からマグマの柱を突き出しながら、自身の地面もまた動かし碧斗の接近から距離を取る様に移動する。それを、突き出すマグマを空中で避けながら、追いかける碧斗は、突如宙で止まり手を前に出す。と。
「ん?っ!?」
それに首を傾げたS。だったものの、その時既に遅し。突如彼の背後に煙が現れ、その圧力で弾き飛ばされる。
「クッ!?」
「とらっ!」
それにより、足場を失ったSに、碧斗は追い討ちをかける様に蹴りを真下に入れると、そのまま落下する。だが、これではまたマントルを固めて足場を作るだろう。そう察した碧斗は地面の裂け目の中へと同じく入って行く。
「ここでっ!確実に終わらせるっ!」
「やる目になってきたじゃねーか碧斗っ!でも、この中に入って来たのは大失敗だ」
「っ!」
がしかし、Sがニヤリと微笑んだその瞬間。彼は落下しながら両手を広げると、真下のマントルが突如噴き上がり、それが溶けマグマとなり碧斗に襲いかかる。それを落下しながら煙を活用して避けると、そのまま彼に蹴りを入れようと急降下する。
だが。
「じゃあな」
「っ」
それを先に告げたのは、Sであった。
彼がそう口にすると共に、左右の地面が動き始めーー
ーーそれに碧斗は挟まれた。




