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殺し合いの独裁者[ディクタチュール]  作者: 加藤裕也
第5章 : 啀み合いと狂気(フォリィ)
146/300

146. 非法

 突如放たれた耳を疑う発言により、その場にはまたもや沈黙が流れた。


「は、?狙いはそれって、どういう事だ?」


 智也(ともや)が、冷や汗混じりに真実を確かめるべく声を上げる。すると。


「つまり桐ヶ谷(きりがや)修也(しゅうや)は元々、国王が言ってた魔王討伐の為に、みんなが力を合わせ一丸となる事を願って。まとまりの無い、成果の見られないみんなに痺れを切らしてあの事件を起こしたんだ」


「...それが、、事実である証拠はあるのか?」


 碧斗(あいと)達と同じく、この争いの終息を願う智也は、すかさずその言葉の信憑性を問う。


「証拠、、かぁ。それは流石に無いね。でも、あいつはそういう奴なんだよ。正直、そこまでしてみんなをまとめたがる理由は知らないけど、あいつは前に、まずはみんなをまとめて団結させなきゃ。とか、ぶつぶつ言ってたんだよ」


「「「っ!?」」」


 それを耳にした、沙耶(さや)を含めた三人が目を剥く。

 彼が事実を言っている保証は無い。だが、智樹(ともき)は修也と同じ学校の人間であり、沙耶の言う、本当は優しい一面があるという点においても一致はする。のだが。


ー言ってた通り、、そこまでする理由が分からない、ー


 美里(みさと)は理解出来ると期待した修也の思惑が、振り出しに戻された事に歯嚙みし、思考を巡らせた。

 すると。


「あいつはそうやって、相手のためとかほざいて行動するんだよ。みんなから嫌われようとも俺はいい。みんなのためになる事なら自分がどれ程残忍な人間だと思われても構わないって姿勢が」


 と、そこまで言うと智樹は一呼吸空けて、目つきを変える。


「おもしろくない」


「ていうか。それだけの為に人を殺している時点で、ゴミ確定だ。人のためとか、本当にそんな願望あるならあんな人の命を粗末にするような事はしない」


 智樹に続いて、今まで黙って聞いていた涼太(しょうた)が歯を食い縛り割って入る。

 すると、彼はそこまで言ったのち、怒りに拳を握りしめながら、頬に刺青の様な黒い模様が、内側に向かって外側から現れる。


「俺はあいつも、あいつを庇う者も許さない」


「...それなのに、、それなのにあんたは、、いいわけ?」


「あ?」


 涼太の発言に、美里は震えながらも口を開く。


「あんたは、、どんな理由があれ人を殺めた彼を許さない。それなのに、あんたは今、私達を狙って殺そうとしてる。同じ人種になってもいいわけ?」


 美里は、時間稼ぎや挑発の意味も込めて、そう強気に反論を口にする。

 が、対する涼太は口角を上げて続ける。


「ハッ。お前本気で言ってるのか?」


「は、?」


「いいか?俺は重罪を犯したあのゴミや、それを庇うお前らに処罰を与えようとしてるだけだ。現実でもそうだろ?やれ人間は、命の重みは皆同様だとか、亡くしていい命はないとか綺麗事を言うが。なら死刑はなんだ?」


「そ、それは、」


「他にも、犯罪を犯した人間を殺害した人間が、何故か刑を僅かに軽く判決された者もいる。なぁ?そういう事なんだよ。お前らは処罰を受けるべき人間であり、俺らはそんなお前らに処罰を与えようとしているだけの存在。な?あのゴミとは似ても似つかない」


 ニヤリと。自身を正当化する様な言い分を放つ。

 それに、思わず美里は歯嚙みする。


「何言ってんの?本気で言ってるのかはこっちの台詞。あの殺人者の事ならまだしも、庇ったという憶測だけで。証拠も無く処刑をしようとするなんて、あってはならない事だと思わない?自分を棚に上げて、その行為に善意の意味を持たせようとする。...フッ、あんたも、そのあんたの言うゴミと一緒なんじゃないの?」


「何?」


 体は未だ動かなかった。

 だが、美里は表情のみで、彼にそう詰め寄った。


「それに、さっきからなんなの?そうやって正義ぶってるけど、円城寺(えんじょうじ)君の友達にした事、あんたの言うゴミと一緒だけど?忘れたつもり?あんたがどんな頭してるのか知らないけど、私からしたら、あんたの方がよっぽど処罰を受けるべき人間だと思うけど」


「...ふざけんなよ。黙ってれば大口叩いて。犯罪者の立場で、何様のつもりだ。部外者は黙ってろよ」


 美里の返しに、僅かに眉間にシワを寄せて怒りを口にする涼太。

 だがそんな皆の姿を、不思議なものでも見る様な顔で見つめていた智樹が、ふと割って入る。


「...というかまず、何にそんなムキになってるの?」


「「は?」」「何?」


 美里と涼太、智也も含め、皆が憤りを含んだ呟きを放つ。


「殺したとか殺されたとか、そんな事でいちいち揉めないでよ」


「は?お前、何言ってんだよ?」


 智也が、胸に秘めた怒りを抑えきれずに海山(みやま)智樹に近づく。

 が、対する彼は尚もキョトンとした表情を崩さずに続ける。


「いやだって、ここは別の世界だよ?その場所にはその場所のルールがある。そこに、君達の私情を持ち込んで、勝手に暴れている様にしか俺には見えないよ。みんなには、俺を含めてルールを言い渡されたでしょ?王城のルールや能力の事、食事のルールとか。それを真面目に行わない君達が、正直この世界の一番の害だと思うけどね」


「お前っ!いい加減にっーー」


「やめろ智也」


「っ!...大将、」


 彼の言い分に、智也が殴り込もうとした直後、涼太が止める。

 が


「あんた、そいつは許すんだ?」


「あ?どういう意味だ?」


 彼の意見も最もだと言わんばかりに深く目を瞑る涼太に、美里が試す様に口角を上げて告げる。


「そいつは私達を狙ってただけじゃ無いの。その戦闘中、こいつは何の罪も無い一般市民を何人も殺したんだよ?」


「何?」


 まるで、それは本当かと言うように涼太は目の色を変えて振り返る。

 そんな視線を受けた智樹は、変わらず笑って。

 日常会話の様に答える。


「そうそう。だってなんか邪魔だったし。こっちがおもしろい時なのに、入ってくるのは野暮だよね」


「...ハッ、お前、どうかしてんな」


 智樹の笑顔に、怒りを通り越した笑みで涼太は放つ。

 と、そののち。


「どうやら、処罰を与える相手が増えたみたいだ」


「おお、いいね。俺も君の能力に興味がある。まずは手からとか、攻撃するならジワジワと部位に放ってよ?じゃないと観察出来ない」


 お互いに読み取れない殺気を露わにして、近づく。

 そんな姿に、美里は僅かに希望を見出す。


ーもしかすると、思ったよりいい方向に行くかもしれない、、長い目で見たら面倒な事かもしれないけど、ここで敵対してくれるなら、今は時間稼ぎが出来るー


 そう思い、作戦の順調さに微笑みを浮かべようとした。

 その時。


「ぇ?」


 美里の体にはまたもや電流が流れ、今度は身体が痙攣する。


「な、なん、で、っ?」


「言ったっしょ。俺らの目的はあくまで碧斗達の方だ」


 見下ろしながら呟く智也に続いて、彼の更に上。屋根の上から見下す、涼太が発する。


「お前、場を弁えろ。先に執行されるのはお前だ」


「う、、嘘、」


 見え始めた希望が、閉ざされたのを感じた。

 どうやら、考えが甘かった様だ。彼らの意思はそう簡単には揺らぐ事はない。

 更に凶悪な人物が現れようとも、順番というものを重視している様だ。

 それを思うと同時に、美里は力無く倒れた。


「このイカれ野郎。よーく見ておけ。悪事を働くとどうなるか、パニッシュメントに目をつけられるとどんな処罰を受けるのかを、な」


 涼太は、抵抗すら出来ない美里に足を進め、屋根から降りると、海山智樹の方向へと振り返り忠告の如くそう放つ。

 そう、狙いはそれでもあったのだ。

 恐らく、智樹の性格を考えると、今ここで逃げる選択はしないだろう。

 それ故に、逃げようと考える可能性があり、時間稼ぎをしたいと考えるであろう美里を先に処刑し、それを見せしめにしながら智樹を仕留める。

 僅かな時間内ではあったが、それぞれの性格を分析した上での決断だった。

 それを考えたことに自画自賛しながら、涼太は美里に向き直る。

 と。


「楽しみにしてるよ。その子を殺されちゃうのは惜しいけど、正直俺がおもしろいと思ってるのはあの子...」


 ニヤリと微笑み、碧斗達の中に関心を抱く人物が居ることを仄めかせながら、智樹は呟く。

 そんな彼の呟きを耳から耳へと流すと、涼太は美里に手を伸ばした。


「パニッシュメントにより、処罰を与える。これで、、一人目だ」


「っ!...う、、っ!」


 それを受け美里は、最初こそ身悶え抵抗を見せたものの、智也に受けた電流の力は大きく、未だ自由に動くことが困難であるがために直ぐに覚悟を決めた様に目を強く瞑った。

 すると。


「やっ、やめてぇっ!」


「「っ!?」」「お」


 瞬間。

 涼太と美里を分断する様に、間に岩が連なった壁のようなものが現れる。


「きたきた」


「お出ましか、元凶」


「...」


「み、水篠(みずしの)ちゃん、」


 沙耶が裏から現れるや否や、海山智樹と涼太、阿久津(あくつ)智也と美里は、それぞれそう口にした。


「美里ちゃんに、、これ以上辛い思いさせないで」


 先程の話を聞いていた沙耶は、その事実と現在の反応、両方に耐えながら、強気を装って声を張り上げトーンを落とした。


           ☆


「クッ!?」


「危ないっ!」


 碧斗の目の前に迫った矢を、樹音(みきと)がナイフを放つことにより弾く。


「碧斗君!?大丈夫?」


「ああ、、なんとか、、心臓はやばいが、」


「え!?心臓が!?それはなんとかじゃ無いよ!」


「いや、、そういう意味では無く、」


 碧斗は突然の出来事に胸に手を当てながら、息を吐いた。


「どうやら、、神崎(かんざき)さんの能力は"矢"か"弓"だと思われるな。恐らく、樹音君の様に放つ物の方向や軌道を自身の思う様に操れるんだろう」


 先程の窓際に座っていた我々に、窓を割ったのち、突然向かう様に軌道を変えた矢。

 それを踏まえれば一目瞭然だろう、と。

 碧斗は付け足す様にそう呟きながら、愛梨(あいり)の能力の分析を始める。


「なら、向こうの姿も見えてんだし、さっきみたいに俺がぶっ壊しながら攻撃すりゃ、ワンチャン勝てるんじゃねーか?」


 すると、大翔(ひろと)奈帆(なほ)や愛梨の居る二棟の方向を一瞥してそう放つ。と、それに碧斗は「いや」と。

 手を横に出して皆を止める様にし疑問を口にする。


「まだ確信だと言ったわけじゃ無い。正直、向こうは遠距離に特化してる。大翔君は近距離重視だし、樹音君のナイフを放つ事でしか攻撃出来ない今、矢を放つ神崎さんと羽根を飛ばす清宮(せいみや)さん相手に不用意に動く事は危険だ」


 そう、攻撃方法を考えると、この配置はパニッシュメントである二人に対し有利に働いているのだ。

 中庭を挟んで向こう側、二棟の屋上からこちらを狙う構図。それは、愛梨の能力を考えれば妥当な場所の確保なのかもしれない。

 矢を放つ能力ならば、遠くから我々を狙った方が得策である。だが、それと同時に疑問点も存在する。

 奈帆が向こう側に居るというのに、何故彼女も同時に攻撃してこないのか、何故こちらに向かって来ないのか。

 こちらに近距離特化の人間が居ようとも、責めて羽根の攻撃程度は行なってくるだろう。

 故に、相手の意図を完全に汲み取れていない点が、碧斗の気がかりとなっているのだ。


ーそれに、、さっきの魔石への変化は一体、?ー


 碧斗は未だ謎だらけな彼女達の能力と行動に、顎に手を添えたのだった。


           ☆


「いいよ〜、、そーっと。ちょっと、、左にずらして」


 奈帆は弓を構える愛梨の肩を掴み、背後から抱きつく様に身を寄せながら、小さく耳打ちした。


「ん、、ここ?」


「うん。いいよ、、さっき頭を下げたとこがあそこだから、多分そこら辺だと思う」


「分かった」


 奈帆の言葉と同時に、愛梨は引っ張った(つる)を離し、矢を放つ。


「そこだっ」


「あ、、弾かれた」


「あっちゃぁ〜っ!駄目かぁ」


 矢が窓を突き破った直後、奈帆はそう口にするが、すかさず愛梨が呟き、がっくりと項垂れる。


「もう一回」


 愛梨は小さく発すると、またもや弓に矢をセットし、弦を引く。


「見える?」


「うぅーん、上手いこと隠れてるねぇ。しゃがんだ場所、そして伊賀橋(いがはし)碧斗の事だからさっきの一撃に対して考察する筈、、と、考えると、もう少し右かなぁ」


「ここ?」


「うん、そこかなぁ〜、、多分」


 目を細めて告げる奈帆に、愛梨は一瞥して首を傾げたのち、矢を放とうとする。

 が、瞬間。


「ああっ、危ないっ!愛梨ちゃん!」


「えっ」


 突如声を上げた奈帆の、その声に対し驚き、愛梨は体を震わせ振り返った。


「う、うるさい、」


「あっ、ご、ごめん!でも、弦が絡まってたよ?」


「ああ、、別に平気、これでも撃てる。...それよりも、耳元で大きい声出さないでって、」


 少し視線を逸らし口を尖らせる愛梨に、奈帆はハッとして詰め寄る。


「ああっ、ごめんねっ!嫌いになっちゃった、?」


「別に、嫌いじゃないけど、」


「〜〜っ!愛梨ちゃん!じゃあ好き?」


「そういうのじゃ無い」


「えぇ〜、、私はそういうのなのにぃ」


 奈帆は、愛梨の反応に頰を赤らめ抱きしめる。すると。


「あれ?そういえば、さっきの矢は?」


「あ、、」


 手に持った弓には既に、矢が存在していなかった。

 故に、二人は無言でそれを見つめる。

 どうやら、振り向き(ざま)に反動で放ってしまっていた様だ。

 もしそれが本当であれば、我々の位置が屋上であるがために、矢が向かう先は街の方だろう。

 思わず二人の額には汗が噴き出す。


「これ、、殺されるんじゃない、?」


「私、、知らない」


「えっ!?あ、ズルイっ!じゃあ私もし〜らないっ」


 慌てて二人は碧斗達のいる渡り廊下に体を戻すと、何事も無かったかの如く矢を放った。


           ☆


 僅かに襲撃が止む。

 窓からゆっくりと"あちら"を覗くと、何やら二人で話している様だ。


ー作戦があるのか、?どうして清宮さんはそこまでしてこっちに攻撃しない、?ー


 碧斗はその光景故に、思考を巡らすがしかし。


「碧斗君!今のうちに急ごう!」


「っ!そ、そうだな!」


 瞬間、樹音の言葉で現実に引き戻される。

 自身とした事が、考察にばかり夢中になり、目の前の目的を見失うとは。

 そう碧斗は自分自身に歯嚙みしながらも、しゃがみながら足を速める。

 と、その時だった。


「「「っ!」」」


 窓の割れる音と共に、背後に矢が現れる。

 その矢は、窓を突き破り廊下内に入ったや否や、すぐさま向きを変えてこちらに向かった。


 普通の動きでは無かった。


「任せろっ!」


 それに大翔は反応して立ち上がり、拳で矢を折るがしかし。


「駄目だっ!大翔君!」


 立ち上がったがために、大翔の胸にーー


 矢が突き刺さる。


「ごふぁっ!?」


 その勢いにより壁にもたれ、力無く崩れ落ちる大翔に慌てて樹音は駆け寄る。


「あ、碧斗君!ここは煙をーー」


「だ、駄目だ、、正直、ここ一帯を煙で覆おうが向こうには関係ない。寧ろ矢が見えなくなる俺達の方が不利だ」


 焦る樹音と同じく、碧斗も冷や汗混じりに放つ。

 すると、彼に駆け寄ったがために、今度は樹音の背に矢が五本程向かう。


「っ!どうやら、僕と同じで量に限界は無いみたいだねっ!」


 だが、対する樹音も、振り返りながら同じく多量のナイフを生成しては放ち、それをぶつける事で矢を落とす。

 その時間だけが削られる現状に、碧斗が頭を悩ませた、その時。


「っ!」


「なっ!」


 今度は碧斗の背後の窓を突き破り、矢が現れる。

 と、またもや向きを碧斗の方へと突如変更し、軌道を変える。


「クソッ!させっかよっ」


「大翔君!?」


 その矢を既のところで大翔が立ち上がり、拳で破壊する。

 と、それによりまたもや彼に矢が向かう。


「今度はさせないっ」


 だが、二度も同じ手には引っかからないと言うように、樹音はナイフを投げてその矢を撃ち落とす。

 がしかし。


「大丈夫?大翔君」


「あ、ああ、なんとか、、急所は外れてんな」


 先程矢が突き刺さった胸を押さえながら、大翔は強がりでしかない笑みを浮かべる。

 と、対する碧斗は現在の動きにより、目を剥く。


「そうか、」


 普通では無い動き。

 まるで、窓を割ってからこちらに向かっている様な動き。

 こちらの位置が分かっている動きをしているのにも関わらず、窓を突き破る前はその様な動きは見せていない。寧ろ、矢が向かうのは大体の場所しか把握していないかの様な位置である。

 そして、何よりも二人が向こう側に居て、奈帆が何もしていないという事。


 全てを通して、碧斗は結論を出す。


「みんなっ!声を出すな!」


「えっ」「はっ?」


 そう、最初から、愛梨の攻撃では無かったのだ。



 愛梨と奈帆の、二人の攻撃だったのだ。



「俺達は、、肝心な事に気付いて無かったんだ。矢の後ろについてるのは"羽根"だ。だろ?」


「それがどうしたんだよ?」


「っ!それって」


 碧斗の発言に、首を傾げる大翔と何かに気付いた樹音。

 そんな彼らの反応に一度頷くと、碧斗は「それ」を伝える。


「翼は少量の風でも反応する事が出来る。前に、清宮さんが言ってた事だ。神崎さんは撃つだけで操っては無かった。矢を操ってるのも、俺達の呼吸や動きによって起こる風の変化に反応して、俺達の位置を察知してたのも。全部、清宮さんの翼の能力だったんだ」


「「っ」」


 愛梨が撃って、奈帆が操る。

 それが、二人で居たのにも関わらず、奈帆が行動を起こさなかった理由であり、この攻撃の原理である。


「だから、俺に考えがある」


 それを理解した碧斗は、そう目つきを変えて皆に促した。

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