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殺し合いの独裁者[ディクタチュール]  作者: 加藤裕也
第1章 : 終わりの第一歩(コマンスマン)
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01.青春

 この小説を執筆し始めて、約2年が経った今。

とてつもなく今更ではございますが、字下げを忘れていた事に気づいたので、これから少しずつ変更していきたいと思います。

 基本空白のみの変更とはなりますが、もし自身で誤字脱字等を発見した場合には多少の変更を行うかもしれません。


 ですが、ストーリーに大きく関係する変更をする予定はございませんので、何卒よろしくお願いします。

 何故だろうか、何故人はこうも協力というものが出来ないのだろうか。目の前でさっきまで笑っていた人が、さっきまで話していた人によって亡き者に姿を変えられた。能力を得た者は、他の能力者と戦った。何故人は味方同士で殺し合うのか、何も結論は出ないままただただ目の前の絶望に嗚咽を漏らす事しか出来なかった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


いつもの昼休み、たまには外にと思い中庭で1人、空を眺める高校1年である伊賀橋碧斗(いがはしあいと)


 正直、1人になりたいという理由の元、そうしたのだがこれが大正解。今日はいい天気であり、気温も良いので居心地がいい。


 伊賀橋碧斗。成績は良く、頭もいい。自分で言うのはどうかと言われるが、いつも1桁の順位を見せられては自分で思わない訳もなく、いい方だと自覚している。と言うが外で独り飯、後は察してくれと言わんばかりのシチュエーションである。

 チャイムが鳴り、皆が足早に自分の席に戻る中、ゆっくりと教室に帰る碧斗。今日も、変わらずに授業が始まる。


           ☆


 授業の終わりと同時に一斉に席を立ち始める周りをよそに、次の授業準備を机の上に揃える碧斗。気がつくと、周りには2人ほど、人が集まっていた。


「碧斗、 今日の授業内容教えてくれ!」


 そう身を乗り出し聞いてくるのは、中学からの縁であり、1番の仲である(と碧斗は思っている)友達である。


「お前、また授業聞いてなかったのか?最初の方は分かる内容だっただろ」


 冗談交じりの碧斗の問いに図星を突かれた様に怯む。


「くっ、だ、だから、頼むっ! 天才のお前が頼りだ」


「開き直ってどうする、というか天才なら相原(あいはら)さんの方が正しいだろ」


 教室の右奥に1人でいる彼女こそ、相原美里(あいはらみさと)である。

 成績優秀であり、今のところ順位を抜かれた事のない、いわば学校一の天才というところである。


 天才、と言うのに最も適しているであろう彼女は、無口で無愛想な性格柄である事から友達は少ない様だが、碧斗はそこに親近感を感じている。


 茶髪ショートの髪に、整ったその顔立ちは、美少女と呼んで過言ではないのだが、トゲのある物言いとその性格から、可愛い顔に気がつかない人が多い。


 言わば、隠れ美人である。


 そんな彼女を遠目に見据えながら小声で話す碧斗。


「いや、ちょっと怖くね? 話すの。てか、まず俺女子とまともに話せませんでした!」


 笑って誤魔化してはいるが、碧斗もクールな性格である美里に話しかけるのは確かに難しく、微妙な空気が漂うあの状態に、どう入っていいのか分からずぎこちなくなってしまう気持ちは同じなので、無言で頷く。


 刹那、美里が机を鳴らし席を立ってどこかに行ってしまった。そんな突然の状況を目にし、その場の人達には嫌な予感が漂う。


「聞かれてたか、今の」


 碧斗はそう静かに漏らし、自分は何も言わなかった事に安堵しながら、とりあえず勉強を教えるのであった。


 そんな中、浮かない顔色で独りでトイレにこもっていた美里の事を知ることは無かった。


           ☆


「じゃあなー碧斗ー」


「じゃあなー」


 いつもの気の抜けた挨拶を交わしたのち、授業の終わりのチャイムと共に、相変わらず1人で掃除を済まし帰る碧斗。


 話してないわけでもないが、挨拶も気分で変わり、勉強の事でしか話しかけられない様なこの関係を、決して碧斗は嫌とは思っていなかった。


 いい距離を保っているとは思うし、ちゃんと存在を認識されている様な対応に、安心している部分もある。だが、と碧斗は独り言でしかない言葉を呟く。


「もう少し青春的な何かがあればなぁ」


 あっても大変なだけであり、"中の下"が基本の碧斗には無縁なワードではあったが、どんな出来事でも、青春という言葉で。笑い話で語れる毎日を過ごしてみたいという思いがあった。


ーまあ、これはこれで俺なりの青春かもなー


 別段自分で何かをしようという気もしないし、踏み出そうと思う事もない。それなら仕方ないと割り振り、毎日変わりない日々が明日も続く、そう思っていた矢先


「少し、お時間いいでしょうか?」


 帰り道の人通りの少ない道を歩く中、ふと陰気な雰囲気を醸し出し、フードを被った黒ずくめの男に話しかけられた碧斗。


「はっ、はい!? い、一体どうされたのですか、?」


 突然声をかけられた驚きと、その不気味な様子に声が反射的に裏返ってしまう。


「もし、もう一つの世界があるとしたらどうします?」


 あ、なるほど。と碧斗は納得する。こんな不気味な格好といい、この台詞。宗教か何かだと感じた碧斗は断り、その場から立ち去ろうとするがその時、


「あなた、青春を求めている。」


 今の自分の心を見透かされたようなその問いに足を止める碧斗。そんな碧斗を差し置いて更にその男は話を続ける。


「青春を求めているのにも関わらず、何もする事が出来ない。と、言うよりするつもりがないのでは?」


「なっ!一体なんで知ってる!?」


 いい終わるか終わらないかのところで、必死な顔でその話にしがみつく碧斗。


「その様子、やはりそのようですね」


 男が静かに笑い、更に不気味なオーラを醸し出す。本当に関わってはいけない予感がして、咄嗟に逃げようとするが、そんな碧斗に一言。


「思い通りにならないのであれば、これを読んでみてはいかがでしょう?」


 確かに走った筈なのに、後ろから。同じ距離感からの声が聞こえる。


「なっ!?」


 もう脳内が真っ白になりかけた時、目の前には1冊の本が写し出された。


「こちらは無料でいいですよ。気になったのならば、また」


 そう言い残し、路地裏に姿を消す。


「ちょっ、ちょっと待てよ!」


 追いかけるがそこには人1人さえいない、というより路地裏に先などなく、ただただ壁だけが現れていた。


「い、一体なんだったんだよ、」


 突然の出来事と、夢みたいなこの状況に呆然し、それが去った事への脱力感が碧斗を襲う。だが、手元に渡されたその1冊の本が夢ではない事を物語っていた。


「こ、これ、もらって大丈夫、なのか、?」


 確実に危ないと分かっている本を持って帰るのは気が引けたが、捨てても呪われそうな雰囲気を感じたので仕方なく持って帰る事にした。


ーこれ、どっちみち呪われそうだな、ー


 そんな恐怖心と少しの好奇心を抱きながら家へと足を運んだ碧斗だった。


         ☆


 その夜、妙に本に惹きつけられ、読んでみようかという感情に襲われた。これもこの本の力なのかと不安になりながらも碧斗は振り切ってベッドに潜ったのであった。

 次の朝、本の事を忘れようとしながらいつも通り学校に向かった。すれ違いざまの先生の挨拶を無言の会釈で返し、教室へと向かう。またあの男に出会うと困るので今日は違う道を選んだ碧斗だったが、1日経った今でも本の事を忘れる事は出来なかった。


「おい、知ってるか? なんか変なやつが彷徨いてるらしいぞ」


「なんだそれ、どこ情報?」


 何気ない日常会話だったのだろう。いつものようにクラスメイトが会話をしていたのを、碧斗は聞き入るようにその話に取り込まれてしまった。もちろん、顔を突っ伏して聞いていない様子を演じながら。


「噂程度だけどよ、不気味な奴に突然話しかけられて、答えたら最後、呪いの魔道書を渡されるらしいぞぉ! キャアァァーー!」


「自分で叫ぶのか、それ本当なのか?」


 本当だって。 と、なんの根拠もない噂話をさも本当のように話しているが、碧斗にはその作り話としか取れないような話を信じるしかなかった。

 噂通りの展開が碧斗に訪れた事により、その話の発信元を調べるより他なかった。掃除を済まして、すぐさま家に向かう。男に会わないように帰るという事も忘れ、走って家に戻った碧斗だった。


 帰ってからというもの、ネットでめぼしい情報を探していた碧斗だったがクラスメイトが言っていた最低限の情報しか載っておらず、その本がなんなのか、読むとどうなるのか そんな都合の良い情報は載っているわけもなかった。


 諦めを感じ始めていたが、それと同時に好奇心が芽生え始めた。"本を読んでみたらどうなるのか" 元々心霊や、サスペンスものが好きな碧斗は自分が1番に結果を見つけ出してやりたい衝動に襲われた。


「よ、読んでみるか、」


 そしてとうとう、碧斗はそのずっと見て見ぬ振りを繰り返していた本の1ページをめくってしまったのだった。

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