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第1章 逢

201X年4月、春。



出会いの時期でもあり別れの時期でもあるこの季節。学生は新しい学年に進み新しいクラス新しい仲間と出会う。小学生はクラス替えがありドキドキしたり戸惑ったりしながらも新しい先生、新しいクラスメイトと出会い新しい日常を始めるところだ。



大人たちは、新しい職場に異動になる者、新年度スタートで忙しい者、定年退職し第二の人生を始める者、など慌ただしい日々を送るのは、学生とそう変わりはない。そして4月から新社会人としてスタートする者がいる。



「金下大学を卒業し、今回、新規採用となりました花苗櫻子です。まだまだ分からないことばかりですが、一生懸命頑張りたいと思います。よろしくお願いします。」



慣れた手つきの笑顔で、元気いっぱい挨拶をした花苗さんを僕は、元気で可愛い人が入ったなと何気なく何の気なしに見ていた。



「時間あるならこのまま、校内を案内していきましょうか。」



この学校が3年目の僕は花苗さんとその他転入組合計5人の案内を買って出た。下心とか何だとか本当に何の気なく、そういうお世話が好きで、買って出た。



音楽室、図書室、給食室、パソコンルーム、など、学校というものは学校ごとに本当に配置が異なる。迷路のように迷ってしまい、この一回の案内で全て覚えきれるはずもない。各教室からは独特の匂いがし、目隠しされてもそこが何の部屋なのか分かる気がする。本の匂い、子供の匂い、埃の匂い。学校というものは、何だかとても落ち着くが、何だかとても怖いときがある。夜の学校なんて格別怖いよね。



校内を案内した後、それぞれの仕事に移った。移動したばかりだと特に決まった仕事はなく、自分の荷物の片付けや、移動後の書類整理、そんな感じだ。新規採用の花苗さんはもちろん自分がするべきことも分かるはずなく、手持ち無沙汰で自分の机に座っていた。



暇ができた先生たちは、年度始めの教材たちが入った段ボールを協力して切ったりくくったりしていた。



「なかなか量が多いですね」

「佐渡先生切り方うまい!!」

「コツがあるんです!こうです!」



そこに別の作業を終えて職員室に戻る途中だった花苗さんが通りかかり、あの笑顔で手伝いますと名乗り出た。



「花苗先生これお願いします」

「まっすぐ切ればいいんですか?」

「結構コツがいるよ!よろしく!」

「なかなか難しいですね、、」



移動したばかりで体力的にも精神的にも疲れているはずなのだが、一生懸命手伝ってくれているように見えた。



一生懸命で頑張り屋、笑顔がとても素敵だけど、無理しすぎそうだな大丈夫かな、こんな第一印象の初日。付き合うなんて、好きなんて、雷が走ったなんて、そうなのかもしれないけど、そうとも言えない。実際走ったと言ったところでそんなの常套句すぎて、だれも信じやしないんだよね。


これが、尽くしたがりの旬くんといつも気まぐれ櫻子ちゃんの出逢いの日だ。

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