そして四人は――――寿奈編 その一
久しぶりだ――独りになったのは。
小学生時代は、あまりに勝利を重ね過ぎた故六年間独りでいた。
中学生の時は、最後の最後で芽衣によって孤独にされた。
高校に入ってからは、完全に孤独だと感じる状況は無くなっていた。
先輩もいた。後輩もいた。好敵手もいた。
スクールアイドルの世界は、私にとって初めて熱くなれる世界だと思っていた。
時にはやめることもあったが、それでも戻って来た。
今回は、完全に私の責任だ。
だから、自分の意思で戻ってはいけない。
部長としてしなければならなかったことが、不完全だったのだから。
帰る時、部室を少し覗いてから校門を出る。
これが退部してからの私の日課だ。
秀未は退院したらしく、真宙と共に練習をしているのが見えた。
空良は来ていないらしい。
流石に言い過ぎたと今になって反省はしているが、まさか本当に来なくなるとは思いもしなかった。
「帰る前に、どこか行こうかな」
折角暇なのだ。
時間も空いたし、何か遊びにでも行こう。
私は校門前の横断歩道を渡る――――。
「――――寿奈」
聞いていて胸が痛くなる、この冷たい声。
中学生の時、三年間一緒で。
でも最後に見放され。
今はこの世に無い声。
寒気を感じながら振り向くと、横断歩道の一番端だった場所で、白い制服――――フュルスティン女学院の制服に身を包む芽衣がいた。
「――久しぶりね。貴女を殺しに来たわ」
芽衣の手に握られたナイフ――――私が一年の頃、服部先輩を殺したナイフと同型のもの。
いや、同型ではない。
正確には、全く同じナイフだ。
刃に付着した血液・・・・・・もしかしなくても服部先輩の血だろう。
「さぁ――一緒に来なさい――」
と芽衣の声で、最初はそう聞こえた。
だが途中から、声と姿が変わる。
「さあ、貴女も芽衣の所へ逝きなさい」
芽衣じゃない――――真友だ。
ナイフを前に突き出す動作の途中、一秒ずつの間隔で姿が入れ替わり。
私の胸に刃が突き刺さり、膨大な痛みを感じると同時に真友の姿で定着する。
「不完全な者など、この世には不必要ですよ」
私はそのまま、真友の前で倒れながら意識を失った――――。
「ッ!!」
運が良かった。
私が目覚めたのは幸い、天国でも地獄でも無かった。
学校の自分の教室――つまりあれは夢だったのだ。
「・・・・・・」
◇◇◇
夢の、あの瞬間以外全く同じ状況だった学校を出て、私は映画館に向かった。
「確か・・・・・・今日だよね。公開日」
自分が好きなアニメ――『洗脳の暗号』の映画が今日公開と聞いた。
今はお金に余裕があるし、気分転換には丁度良いだろう。
私はそのまま、映画館に入った。
飲み物とポップコーンを買った後、席に座り、映画を見て一時間程が経過した。
この映画は、契約によって洗脳する力を得た主人公が自分の生まれた国に復讐をするというのが、主なストーリーだ。
そんな映画の、途中のシーンだ。
仲間が死んだ責任を負い、主人公と旅をするのをやめた親友が助けに来るというもの。
主人公が、急に目の前に現れた親友の名を叫ぶ。
『白虎!』
『間に合ったか』
『お前、リロイの為に自殺した筈じゃ・・・・・・』
『ああ、しようとした。
だが、それは違うって気付いた』
親友が振り向きつつ、口を開く。
『次は死なせない為に、それがリロイの為だって気付いたんだ!
俺はもう逃げない。お前達の為に、戦うさ』
その台詞に、私は心をうたれた。
私も同じだ。
責任を負って退部したが、それは本当に正しかったのか。
この台詞だけで、私は少し考え込んだ・・・・・・。
心夜です! 久しぶりに後書きを書きます。
今回は、冬季大会編――つまり寿奈の最後の大会ということで、最終章に相応しい歌を書かせていただきました。
歌は、あの服部先輩です。
『星光』作詞 松野心夜 作曲 無し 歌 服部正子
形あるものは 全て崩れ去ったけど
私と君の想い出は消えないよ
流れる星のように いつでも君を見て居たいけど
叶わない望みを 私はただ唱えるよ
近くで一緒に 君といたいんだよ
私は 私は 間違っていますか?
それでも 君は旅だっていくんだね
私の知らない 世界へと
光の速さで 君は消えていくんだね
眩しくて 眩しくて
目が開けられないよ それでも
それでも
近くで一緒に 君といたいんだよ
私は 私は 間違っていないのに
それでも 君は旅だちたいと言うんだね
私の知らない 世界へと
さようなら さようなら
忘れないよ
嗚呼 君の星でありたいよ・・・・・・




