風呂
「はぁ~、良い湯だなぁ」
などとおっさん臭いことを後輩が体を洗っているときに言っているのは、私である。
今いるのは、学校近くの銭湯だ。
三年生になってから出来たらしく、合宿の時に行こうかなと考えていた。
右手で湯船のお湯を掬い、自分の首に当てる。
何というか幸せだ。
部員には言ったことは無いが、私はかなりの風呂好きである。
練習した後にかいた汗を綺麗さっぱり洗い流す、この作業が。
そんな幸せを感じながら、私は自分の身体を見る。
また少し大きくなっただろうか。
高一の時はバスト八十五センチで、周りと比べて大きい方だった。
高三の最初は、コンマ三センチ大きくなっただけだ。
私も将来は、好きな人と結婚したいという気持ちある。
だが私は思春期に入っても、芽衣以外の女性の容姿や体型に嫉妬したことはない。
顔はそこまで悪くないとは思うし、体型も男を惹き付けるには十分だと思う。
「あ~、寿奈先輩羨ましいなぁ!」
そう言いながら湯船に入ったのは真宙ちゃんだ。
「私より巨乳だなんて~!!」
「大丈夫よ真宙ちゃん。多分その内大きくなるよ」
確か胸の発育は十五歳で止まると聞いたことがある。
まあこれ以上あっても大変だし良いだろう。
「でも真宙ちゃんも大きいた方だと思うよ?」
「え、そうですか?」
恥じらいながら言う真宙。
そんな会話の後、秀未も体を洗い終えてやってきた。
「あ、秀未ちゃ・・・・・・
「お、おぅふ・・・・・・」
私達二人が途中で黙った理由。
それは秀未があまりに断崖絶壁だったからである。
「どうした?」
「ヒデミチャンダイジョウブ。チイサイホウガスキナオトコノコモキットイルヨ」
「なッ、なんの話だッ!」
秀未が体に巻いているバスタオルから取り出したのは、剣道用の竹刀だ。
「や、やめてぇ・・・・・・」
「面白そうな話してますねぇ」
今にも殺し合いが始まりそうな現場にやってきたのは、空良だ。
彼女は普段醸し出している雰囲気もそうだが、体つきも――――。
「色っぽいなぁ・・・・・・」
「な、何を言ってるんです? 先輩」
「あ、いやごめんね」
やばい、私としたことが・・・・・・。
そんなこんなあった後、私達は再び部室に戻った。
出発前に布団は敷いてある故、あとは誰がどこで寝るかである。
「私は秀未ちゃんと寝ますね、先輩」
この二人はまあ、一緒だとは思っていた。
「空良ちゃん、一緒に寝よ」
「良いですよ先輩」
こうして寝る場所を決め、電気を消し。
私達は眼を閉じた。




