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今日からアイドルを始めたい!  作者: 心夜@カクヨムに移行
第十一章 四月編 帰還、そして新たなスタート!
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秀未との交流 その一

「今日の練習は、ここまで!!」

 私の合図と同時、まず真宙と空良が脱力した。

「はぁ・・・・・・。疲れたねえ・・・・・・」

「だな・・・・・・」

 一方で、黒髪青目の二年生、明智秀未は全く疲れていないようだった。

「先輩、私は剣道部の練習に行かせてもらう」

 秀未は私の方を振り向いて、冷静に言い放つ。

 教室の隅っこにあった竹刀と荷物をとってから、秀未は教室をあとにする。

「秀未ちゃん大変そうだよね、真宙ちゃんは秀未ちゃんの事どう思う?」

「そりゃ、大変だと思いますよ。秀未ちゃんとは高校入ってすぐ仲良くなりましたけど、最初はスクールアイドルに入るかどうかの話をしても断られてばかりで。

それでも、私の為に剣道とアイドルを両立する道を選んでくれたんです」

「ほほう」

 

◇◇◇

 

 私は家に帰らず、剣道部が練習している道場へと向かった。

 胴着を身に着けている女子達が、部員同士で手合わせをしている。

 私は眉を潜ませ、秀未を探す。

 面で隠れている為、顔での判別は不可能。

 身長、雰囲気、または胴着に書かれた名前を見て探すしかないのだが・・・・・・。

「どこ・・・・・・?」

 うん、分からん。

 人が多すぎて分からん。

 

 いやダメだダメだ。私はこれでもアイドル部の部長。

 部員のある程度の事は、把握しておく義務がある。

 こんな所で諦めるわけには・・・・・・。

 と、再び探し始めようとした所で。

「全員集合! 二年と三年での試合を行う!

一年はそれを見るんだ」

 若干ボーイッシュな剣道部の顧問が集合を呼びかける。

 それを聞いた剣道部員は、まるで軍隊のように統一された動きで顧問の前に整列した。

 顧問の話のあと、部員――二、三年はこれから試合をする二人を除いて場外で正座し、一年もそれに倣って二三年の隣に座る。

 まだ、秀未の出番ではないようだ。

 そのまま私は、秀未の出番まで待ち続けた。

 

 そして、最後の試合。

「では、最終試合。まず赤組――三年は織田(おだ)!」

「はい!!」

 織田という名の三年が立ち上がり、場内の指定された場所に自然体と呼ばれる体勢に待機する。

「そして白組――二年は明智!!」

「はい!」

 アイドル部の練習の時の、冷静な声とは違う、凛々しい声が私の耳に入る。

 秀未は織田と反対の場所に立つ。

 すると、二人はほぼ同じ動きで彼我の距離を縮め始めた。

 その時の体勢は帯刀。

 得物を抜く為の準備は既に出来ている、というのを相手に示す為のものだ。

 彼我の距離を縮めた後、二人は同じように座り、腰に帯刀していた竹刀を抜く。

 蹲踞と抜刀だ。

 そのまま互いの竹刀が交差するように立ち上がると、両者は少しだけ距離をとる。

 そして、いよいよ試合が始まった。

 まず織田が、秀美の頭に向かって唐竹割りを放った。

「面ッ!!」

 秀未はそれを竹刀の、真剣なら刃の部分で防ぐ。

 私には、秀未が防御するところは見えなかった。

 そのまま、秀未は隙をついて、突きを放つ。

「胴!!」

 織田はそのまま、場外へと一直線に吹き飛んだ。

 秀未は収め刀した後、一礼する。

「勝者! 明智秀未!!」

 私は秀未が場外に出るまで、動くことが出来なかった。

 

◇◇◇

 

 結局、私は練習を最後まで覗き見てしまった。

 剣道部員達が雑談をしながら道場から出てくるのを見届けた後、道場内に入ろうとするが――――。

 

「――あれ、寿奈さん? 『Rhododendron(ロードデンドロン)』の?」

 しまった。これってまさか・・・・・・。

 嫌な予感は的中した。

 剣道部員は色紙を持ちながら。

「いつ戻って来たんです?」

「久しぶりです!」

「サイン下さい!」

「いや、私が先に見つけたんだぞ」

 などと言いながらその場で、大乱闘を開始した。

「おい!! 私の為に争うな!」

 と、私は喧嘩を止めようとするが・・・・・・。

「私からだ!!」

「いや私だッ!!」

 付き合ってらんないわ・・・・・・。

 私はそれを無視して、道場内へ。

 誰もいない筈の道場には、目を閉じて心を落ち着けながら正座している秀未がいた。

 そして秀未に話しかける前に――――。

 

「――――何用だ、寿奈先輩」

 まるで背中に目が付いているかのように、私に背を向けたまま寿奈が言う。

「す、凄いね秀未ちゃん、まさか足音だけで私って分かるなんて」

「兄様が言ってたんだ。敵や近付いてくるものに気付くには目で捉えるのでは遅いって。五感全てで感じ取ることだってね」

 秀未の兄さんか、会ってみたいな。

「兄様は凄い人。街で悪い人を見かけると、成敗して良い人にしてしまうんだ。

一番苦戦したのは、茶髪ロングの女性らしいけど」

 その茶髪ロングの人、秀未さんの兄みたいなド〇ゴンボールキャラの芸当が出来る奴とまともに相手してたのか・・・・・・。

「私も、憧れている人がいた。

でも、その人はこの世にはいない」

「なるほど・・・・・・。寿奈先輩も精進すると良い」

「うんッ!」


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