表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今日からアイドルを始めたい!  作者: 心夜@カクヨムに移行
第九章 十二月編 クリスマスと大晦日!
36/168

クリスマスライブ その二

四日という短い期間で、私達は出来る限りの練習をした。

 その日の天気は雪。近畿地方に位置する滋賀では珍しい天気だ。

「寒い・・・・・・」

 時刻は午後六時。ライブは一時間後で、楽屋には三十分後集合と言われた故、近くの店の外にいた。

「くしゅん・・・・・・」

 くしゃみを手で押さえ、茶色のマフラーを口元に寄せる。

 この気温でライブ用の衣装着たら寒いだろうな、と心で呟きながら、私は急いで楽屋に向かう。

 

◇◇◇

 

「はぁ・・・・・・暖かい・・・・・・」

 楽屋に向かってすぐ、ヒーターの風に癒してもらいながら、私は着替えていた。

 今日の衣装は、サンタの服のような、赤いドレス。

 下着の上からそれを纏うと、電光石火の勢いで、ヒーターからなるべく近い椅子に座り、頭を机に乗せる。

 そのまま、意識が暗転した――――。

 

「――――寿奈さん? 寿奈さん?」

 ・・・・・・。

「!? し、しまった思い切り寝ちゃった・・・・・・」

 私は顔を動かさずに、眼だけ動かして、時計を見る。

「あと十分でライブ開始じゃないですかッ!!」

 ざっと四十分くらい寝てしまったわけだ。

 私は手で口元の涎を拭き、よろよろと立ち上がる。

「じゃあ行きますよ。服部さん!」

「行くわよ皆!!」

 私達はそのまま、ライブ会場へ向かった。

 

 ライブ会場は私の予想通り、パレード風のものだ。

 寒さに耐えながら、演目開始の合図を待ち。

 そしてライブは、始まった。

 

◇◇◇

 

 『聖なる日が待ちきれなくて』作詞 松野心夜 歌 Rhododendron(ロードデンドロン)

(杉谷寿奈 服部正子 風魔琴実 百地優 伊賀崎道女)


 あと何日かなと 待ち遠しくなるその日

 皆が幸せになれる その日

 楽しみ過ぎて 待てなくて 眠れなかったくらいだよ

 

 聖なる日が待ちきれなくて 当日も早く君を待ってしまったよ

 君と僕で 素敵な日にしようよ

 

 待ちきれない その日が待ちきれないよ

 君と過ごす その日は特別だからね

 雪が降る空の下で 君に伝えたい

 好きだよと

 

 いくつ寝れば良いかと 待ち遠しいよ

 皆を幸せにする その日

 楽しみ過ぎる 待てないよ 眠れないよその日まで

 

 聖なる日を待ちきれないよ 当日は早く君を待っていたよ

 君と僕で 素敵な日にしたいな

 

 待ちたくない その日を待ちたくないよ

 君と過ごす そんな特別な日

 雪が降る 空の下で君を抱きしめたい

 好きだから

 

 君が好き だから特別な日が待てなくて

 鼓動は 高鳴り続けた

 

 待ちきれない その日が待ちきれないよ

 君と過ごす その日は特別だからね

 雪が降る空の下で 君に伝えたい

 好きだよと

 

◇◇◇

 

 ライブが終わった頃、皆と別れ、家への道を歩いていた私は思った。

 中学生時代、自分は誰かとクリスマスを過ごしたことは無かった。

 芽衣や他の誰かに勝つ為、一人で特訓や勉強をしていた。

 今はそんな執着から解き放たれたが、過去のせいで同級生の友達を作ることを拒んだ私は、今年も一人で過ごすことになってしまった。

「でも私に、友人を求める資格なんて無いよね・・・・・・」

「そんな事無いわよ、寿奈」

 服部先輩の声。それと同時に抱きしめられる感覚。

「先輩・・・・・・。抱き付くフリして胸揉むの、やめてもらえません?」

「えへへ・・・・・・。てかどうやったら高一でバスト八十になるのよ・・・・・・」

「私も中学時代から大きかったんで知らないですよ」

 

 そのまま先輩と一緒に、夜の街を歩く。

「先輩・・・・・・、優先輩や道女先輩の所に、行ってあげないんですか?」

「私はもう部長よ。孤独な部員を放っておくなんて、出来ないわよ」

 部長か・・・・・・。

「先輩、無理はしてないですよね?」

「してないわよ。私はこの部の中で、スクールアイドルを一番愛してるって、そう言えるくらいになりたいし」

 私は微笑みながら、空を見る。

 雪は既に止み、綺麗な星々が見えた。

「ねえ、寿奈?」

 先輩の声で我に返り、先輩を見る。

「寿奈こそ、遠慮しないで私を頼って良いんだからね。

先輩だからこそ、後輩の力になってあげたいし」

 先輩の声を聞き、ときゅんと心臓が高鳴る音を聞いてから。

「はいッ!!」と満面の笑みで返した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
https://ncode.syosetu.com/n1678eb/ 小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ