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今日からアイドルを始めたい!  作者: 心夜@カクヨムに移行
第八章 十一月編 杉谷寿奈VS刹那芽衣!
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本物の天才


 『さあ夢を歌おうよ』作詞 松野心夜 歌 Rhododendron(ロードデンドロン)

(杉谷寿奈 服部正子 風魔琴実 百地優 伊賀崎道女)


 僕達は 何度でも叫ぶさ

 やってやるさ と

 

 何の為に生まれてきたのかは 誰にも分からないけど

 だから意味を作り そこに向かって駆けてゆくのさ

 無限大の可能性の世界へ 行こう皆でさ

 

 さあ 夢を歌おうよ

 生きてる限り終わらない世界を 歌おう

 そしたら そこへ 行ける筈だからさ

 さあ 大きな声で歌おうよ


 時々 分からなくなるのさ

 自分の 本心

 

 誰の為に生まれてきたのかは 誰にも分からないけど

 だから自らの意思で そこに向かって駆けてゆくのさ

 自分達の存在を示しに 行こう皆でさ

 

 さあ 希望を歌おうよ

 可能性に溢れたこの世界を 歌おう

 そしたら そこへ 行ける筈だからさ

 さあ 確かな声で歌おうよ

 

 沢山の夢に溢れた世界で 皆は一つの希望を掴み取って行く

 諦めちゃダメさ いつかその希望が掴めるまで

 皆で 歌おうよ

 

 さあ 夢を歌おうよ

 生きてる限り終わらない世界を 歌おう

 そしたら そこへ 行ける筈だからさ

 さあ 大きな声で歌おうよ

 

◇◇◇

 

 結果は、芽衣のチーム『フュルスティンズ』に十票差をつけられて負け、二位。

 三位は『Rabbitear(ラビッター) Iris(イリス)』。

 彼女らは、芽衣にも私達にも勝てなかった悔しさを胸に、それでも次は勝つという意思を込めた顔を見せて帰っていった。

 私達には悔いは無かった。踊ること、歌うことを全力で楽しめたから。

 二度とない、一年生の秋季大会という瞬間を楽しめたから。

 大会の後、芽衣達と会った。

 私だけではない。メンバー全員で。

「また負けたわね寿奈。これで貴女は、全てにおいて私以下ということよ。

存在価値など無い。絶望しなさいよ」

 それを言われた瞬間。

 私はただ、俯くことしか出来ず。

 芽衣はそのまま去ろうとした。

 だがその足を。

「ねえ芽衣さん。私達に勝てて“楽しかった”か?」

 服部先輩はその一言で止めた。

「勝負の世界に楽しさなどいらないわ。

勝者にこそ価値があり、敗者はその世界で価値無き存在として扱われる。

貴女はこの世界において価値無き存在ということよ」

「かもね。アンタのような天才と比べたら。

でも価値なんていらないの。そんなモノより、皆にチヤホヤされるより重要なモノがあるから。

でもアンタには“ソレ”がない」

「“私にないモノ”だって?

あるわけがないわ。あらゆる分野で一流の才能を持つ私に」

「じゃあ教えてやる。バカから天才へ」

 先輩は獰猛に笑い、口を開く。

「私にとっての天才は、その分野を楽しむ方法を知っている人、だ。覚えておいた方が良いわ」

 芽衣は一瞬動揺したが、すぐに冷静さを取り戻して言う。

「流石は価値無き欠陥品。自分の自尊心を保つ為の下らない言い訳は得意のようね」

「好きに受け取ると良いわ。行こう寿奈」

 私はそのまま先輩を追って歩き出す。

 

 ◇◇◇

 

「凄いですね・・・・・先輩」

「ん? 何が?」

 歩きながら服部先輩に話しかける。

「私、いつも芽衣には口喧嘩じゃ負けちゃうのに、さっき先輩は芽衣を動揺させましたし」

「あの子は私の言葉に驚いてるんじゃない。私が平然と反論してくることに対して驚いているのよ。だから芽衣は焦ってたんだ。自分の言葉では、私のメンタルを叩き潰すことは出来ないことに。

多分今頃、芽衣はこう考えている筈さ」

 

◇◇◇

 

 初めての大会で一位。完璧主義の自分にとっては至極当然の結果だ。

 寿奈は、芽衣の言葉によって黙り込んだが。

 寿奈の先輩の、服部正子という女は違った。

 私の言葉に対し、黙り込まなかったのだ。

 多分アレは、プライドが無い故なのだろう。だけどアレは・・・・・・。

 そんなものではない。

 ほんの少しの嫉妬も無かったのだ。天才に対して。

「服部正子・・・・・・。次の大会、何としてでもあの人の精神を潰さなくては」

 

◇◇◇

 

「というわけだよ」

 いや待て。もし先輩の推理が正しければ・・・・・・。

「それじゃあ、次の大会前に先輩何されるか分からないじゃないですかッ!?」

「問題はそれ。敗北を狂気的なまでに恐れている彼女。私というメンタルが全く無い者を潰そうと、殺しに来る場合だってある。

だけど安心して。私は絶対、死なないからさ」

 先輩、それ死亡フラグ・・・・・・。

 こうして、色んな不安の要素を残したまま、秋季大会は終わった。

 私と寿奈の戦いは終わらないままだけど、私の迷いは消えた気がした。

 勝利も敗北も無い。私は、楽しんで前に進むのみ。


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