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今日からアイドルを始めたい!  作者: 心夜@カクヨムに移行
第七章 十月編 秋季大会に向けて!
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過去

子供の頃から、自分は世界で一番だと思って育ってきた。

 自分に勝てる者など無く、一位は自分の特等席で、自分以外の者が座って良い場所ではないと。

 親に洗脳されたわけではない。

 親はいつも、自分が今やっていることを楽しんでさえいれば、順位なんて気にしないと言っていた。

 小学校の時、学年一位を連続で叩きだし。あらゆるスポーツで一位を取り続けた私。

 そのまま親に、学園中学のみの入学を条件に、借金をして閃光学園に入学。

 テストこそ中の中だったが、サッカー部では一年生にしてエースストライカーとなり、部やクラスでも人気者となった。

 勉強は勝てない時があるかも知れないが、スポーツだけなら一位の座は自ずと自分の物になる。

 そんな事を信じながら学園中学での生活を楽しんでいた私。

 だが、現実はそう甘くなかった。

 自分は体育祭の時、自分の親友に負けたのだ。

 刹那芽衣という名の、本物の天才に。

 スポーツ万能、学業優秀、容姿端麗。

 彼女には何一つ勝てないまま終わり、こうして“普通”の舞台に戻ってきてしまった。

 だが、そんな“普通”の舞台の者達を見て見下したことなど一度も無かった。

 私は“普通”の舞台で、一位以外の順位を取ったし、自分よりも平凡な筈の先輩達が輝いて見えた。

 そこで一度私は、自分に言い聞かせた筈なんだ。

 もう結果に拘らない。一位は自分の特等席なんかじゃなく、努力して掴む方が楽しいんだと。

 しかし、今日芽衣に会って。

 再び自分の心は、揺れていた。

 

◇◇◇

 

 帰宅後。

 自分の家の庭にあるサッカーゴールから少し離れた所で、久しぶりに中学時代のユニフォームを着て、私はサッカーボールの上に足を乗せて立っていた。

 夕食を食べた後なので、激しい動きは体に負担がかかりそうだが、少し走るだけなら今の自分でも余裕だ。

 中学時代を思い出して。

 私は左足で地を、右足でボールを軽く蹴り、ドリブルを開始した。

 少し進んで、丁度敵のフォワードがいる辺りで、左足を使いボールを空に向かって蹴る。

 同時に、両足で地を蹴り跳躍する。

 ミッドフィールダーがいるラインも飛び越え、ディフェンスの前で素早くボールを今度は強く蹴り上げ、自分も跳躍。

 くるりと天地を逆さにし、全力でオーバーヘッドキックを放とうとしたが。

 ――中学の時と比べて、随分動きのキレが落ちたわね。もし昔の私が見たら、失望するんじゃない?

「・・・・・・ッ」

 最後の最後で集中を切らし、ボールはゴールポストに激突し、自分は地面に落下して腰を強打。

 骨が砕ける音が、耳に響き。

 意識が暗転した。


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