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今日からアイドルを始めたい!  作者: 心夜@カクヨムに移行
第五章 八月編 合宿編!
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合宿 その三

夕食時。

 今回は琴美先輩が夕食を作るらしく、私は先輩と一緒に外に出て調理の手伝いをしていた。

 メニューはカレー。

 ご飯を炊く係を頼まれた私は、タイマーを見ながら炊けるのを待っていた。

 キャンプなどに行った経験が皆無故、こういう風にご飯を炊くのは初めての経験。

 火が強すぎても、時間が長すぎても焦げてしまう。

「今日は、楽しかったですね」

 琴美先輩がカレーを煮込みながら言う。

「ま、まあ色々災難はありましたけど・・・・・・」

 苦笑しながら返答し、私からも質問した。

「服部先輩を見て、琴美先輩はどう思うんですか?」

「そうですね・・・・・・、私は二年生の時に、服部さんに誘われてスクールアイドル部に入り、部長になりましたけど・・・・・・。ふざけているように見えて、服部さんが一番部の中で輝いているように見えました。

後輩を導き、慕われるように努力するのが先輩の務めですが、あの子には、先輩後輩なんて関係ないんです。仲間が困っていたら、いつでも相談に乗ってくれた、いつでも励ましてくれた。それが、服部正子さんなんです」

「私も、先輩には何だかんだ言って助けてもらってますよ。出来るなら、あんなカリスマ性がある人になってみたい」

 琴美先輩が、少し寂しそうに返答する。

「服部さんみたいに、ですか・・・・・・。そうなった杉谷さん、見てみたいですね・・・・・・。

ですが、叶いそうもありません。私は今年で卒業して、もう皆さんとは今年でお別れなんです・・・・・・」

 卒業・・・・・・。ついこの間まで中学三年生だった私には最近の出来事であり、この後迎えるであろう卒業はまだ私には遠い話。

 二年後、同じことがあったら私は何を思うんだろう、と少し考えた。

 まだ遠い話だからか、私には何も思いつかない。

「これはやっぱり、三年生にならないとわかりませんよ。私もスクールアイドルを始める前から、同じことを思いましたが、答えは出ませんでした。

ですが今ならはっきりと言えます。卒業なんてしたくない、ここの皆で、いつまでも踊っていたい、いつまでも歌っていたい、いつまでも思い出を作って、いつまでも笑っていたい。

それが、私の本心です」

 私は空を見上げ、どこか悲しそうな顔をしている琴美先輩を見ていた。

 パチ、パチという音に気付かず。

「あれ、焦げ臭くありませんか?」

 え?

 私はあわてて火を止め、鍋の蓋を取る。

「うわァァァァァッ!」

 ご飯は、少々焦げてしまっていた。

「寿奈、琴ちゃん! ご飯まだ~?」

「もうすぐですよ!」

「あ、はい・・・・・・。もうすぐです」

失敗したぁ・・・・・・。


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