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今日からアイドルを始めたい!  作者: 心夜@カクヨムに移行
IFルート 寿奈敵対ルート
163/168

誤答

傲慢だった。

 私の作戦は、成功してなどいなかった。

 芽衣の父は、総理大臣。当然警察を動かす者とのコネもある。

 私の罪は、日本中に知れ渡る事になってしまった。

「嘘、でしょ?」

 幸いにも私の顔写真は載らなかったが、もう警察は私の罪状を知っている。

 あとは探し出して、捕まえるだけだった。

 学校も退学になり、ある意味卑怯な手段で逆転した芽衣にも捨てられ。

 私は逃げていた。凶器である刀を手に、たまに追いついた警察を斬殺しながら。

 まだ捕まれない。せめて捕まる前に、私は会いたいグループがいた。

「〇×女子高……」

 あの赤髪の少女達が所属する、〇×女子高スクールアイドル部。

 何故か彼女らは、殺さなきゃいけない気がした。

 あのチームは弱小だが、それでも私の身を震わせる何かを放っていた。

 元一位の『Rabitter Iris』やそれ以外のチームにも無い何かを。

 それを潰さなければ、恐らく芽衣は負ける。

 芽衣に勝つ事は出来なかったが、芽衣が一位を独占できる状況にしたい。

 そうでなければ、私がこれまで苦労した意味がない。

 私が挑んで負けた相手は、それだけ強い相手だと、周りに思いこませたい。

 それも全ては、自分の価値を上げる為の悪あがきだった。

 

「……」

 〇×女子高自体は休みだが、〇×女子高のアイドル部は相変わらず練習を続けていた。

 彼女らの結果は、相変わらず芳しくない。

 しかしゆっくりと順位を上げている。

 棄権グループがいる事による繰り上げではなく、ちゃんと実力を上げて。

 部室は一階。私は部室の窓を、刀で突きさした。

「!?」

 先に気付いたのは、緑髪緑目のボーイッシュな少女の百道優と、黒髪ポニーテールの紫眼の少女、風魔琴実だった。

 優は拳を構え、琴実も同じように拳を構える。

「格闘技の心得がある構え方だね。素人じゃないって見ただけで分かるけど……」

 一瞬で、世界が変わった。

 拳を構えていた二人は、私の刀によって上半身と下半身に分けられた。

 芽衣の命令で修行を積んだ私は、もう一瞬にして、目の前の敵を斬殺する事さえ可能なのだ。

「君は最早……戦う意思すらないらしい」

 青髪青目の眼鏡の少女――伊賀崎道女。

 彼女もすぐに、私の手によって命を落とした。

 彼女は拳を構えることすらせず、ただただ二人の死に混乱していただけ。

 私に言わせれば……話にならない。

「最後は、君か」

 私は最後の一人、赤髪赤眼の少女に目を向ける。

 彼女は拳こそ握っていないが、それでも後退らない。

「面白そうだッ!」

 狂った笑みを浮かべて、私は赤髪の少女の腹を捌く。

 血を吐くが、少女はまだ死んでいない。

 腹を押さえ、上目遣いで私を見る。

「首を差し出す気になったか……死ね」

 私の刀が、彼女の首を捌く前に。

「違うわ……アンタと話がしたくて……」

 彼女の唇が震える。

 死に怯えるでもなく、でも抵抗するわけでもなく。

 真っすぐと私の目を見て、話していた。

「アンタ、杉谷寿奈でしょ?」

「……」

「凄いわね。学生アイドルで、アクロバットが出来る人なんて少ないから驚いちゃった」

「へ?」

 呆けた顔で、私は手を震わせる。

 自分を殺そうとしている人でさえも、彼女は素直に褒められるのか。

「でも、こんな出会い方じゃなく出会いたかったわね。アンタがこの学校にいれば、私達は勝てたかも知れなかったし……もしアンタが私達の仲間なら、そんな風に泣かなくても良かったのかな」

 そう言われて、私は目を擦る。

 涙など、出ていない。

 手についたのは、彼女達の返り血だ。

「ッ!」

 次の瞬間、服部正子は私の刃で命を落とした。

 それでも瞳は真っすぐ前を見ようとしていた。

「終わった……」

 警察車両の音が聞こえる。

 〇×女子高を覆うように、警察車両が止まっていた。

 私を捕まえるべく、沢山の警察官が走ってきていた。

 捕まるまでの間、正子が語った妄想が本当だったらどうだったかを考えた。

 確かに幸せだったかも知れない。平凡な舞台でも、私は純粋な気持ちでアイドルに向き合えたかも知れない。

 どこで選択を間違えたか、今となっては分からない。

 ただ私は、選択を間違えた事に後悔をした。

 そして、その耐え難い現実に。

「ぐっ……」

 私は死を選んだ。自分の胸に、刀を突き刺し。

 私は横に倒れ込んだ。意識が閉じていく。

 魂が抜け落ちるのを感じる。

 そのまま私は、静かにこの世界をあとにした。

 

 ――どこで間違えたのか、私には分からないよ。

  

 激しい後悔の念に、駆られながら。


はい、久しぶりの更新です。

今日からアイドルを始めたい!寿奈敵ルート、如何だったでしょうか。

深夜テンションでいきなり書いた作品なので、色々とダメな部分があるかも知れません。

また気が向いたらこの作品のIFルートを書きたいと思います。


今日アイ敵対ルート 設定資料


杉谷寿奈

本編主人公。このルートでは『フュルスティン女学院』一年生にして、

『フュルスティンズ』副リーダー。

〇×女子高に入らず、芽衣に勝つ事だけを理由にフュルスティンに入る。

芽衣に勝つ為に、芽衣が命令した以外の不要な殺人も秘密裏に行い、

芽衣に勝とうとする。

しかし警察に知られてしまい、芽衣にも捨てられてしまう。

最終的には自分達とは対局の『Rhododendron』メンバー達も全員殺し、

正子に「アンタがこの学校にいたら、私達は違ったのかもね」の言葉を聞く。

最終的に正子との未来を想像しながら後悔し、自殺する。

今回は人を殺す為の術を磨いており、芽衣の家にある刀で戦う。


刹那芽衣

このルートではもう一人の主人公。本編の勝つ為なら何でもやる性格は健在。

最初は寿奈を優秀と判断し使い続けたが、寿奈の余計な行動に対して注意するも、

寿奈が自分以上に完璧な勝ちに拘っている事を知り、距離を置く。

父に頼み、寿奈を逮捕させるよう警察に依頼させる。

その後寿奈が警察に追われ、退学処分となってからは完全に寿奈を拒絶。

今回は、芽衣が生存するルート。


服部正子

本編ヒロイン。しかし今回は敵対人物。

一年の頃に成長し、

二年には周りが驚くくらい明るい性格になった事は変わらない。

しかし寿奈の最後の襲撃によって死に、

死ぬ前に寿奈と最悪の形で会う事になったのを残念に思う。


雪空千尋

本編ライバルの一人。最初の大会の時に、成長する可能性を見抜いた芽衣が、

寿奈を使って殺す。人目につかない所で暗殺される。


百地優

今回は敵対人物。本編と同じくスポーツ万能でクール。


風魔琴実

今回は敵対人物。寺育ちというのもあり、少しだけ格闘技が出来る設定に変更。

しかし死亡する。

このルートとは関係ないが、西遊記風異世界転移にもヒロインとして登場する。

公開したら読んでみてね。


伊賀崎道女

今回は敵対人物。



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