新しい時代へ その二
部室の扉を開け、中に入る。
部員募集中の張り紙をドアに張り付け、入学式終了を待ち続ける。
空良は居ても立っても居られなかった。
一年前とは変わったな、と自分に対して思う。
これは思い上がりではない。確信だ。
体力もつき、部長に就任し、これからは自分が先頭立ってこの石楠花を育て、来年には次の部長を選ぶ。
その繰り返しだ。
だがその繰り返しこそが重要だ。
「空良、早いな」
ドアを開けて入ってきたのは、秀未先輩だ。
凛とした顔は相変わらずだが、心なしか笑顔でいる時が増えた気もする。
「それは勿論。私は部長です。
部長として、皆さんの手本にならなければなりません」
「その傲慢な態度、それではいつ真友や北子のような事件に遭遇するか分からんぞ?」
「・・・・・・大丈夫ですよ、先輩。
その時は皆で、また解決していけば良い。
寿奈姉さんも、そう言っていたじゃないですか」
――空良の思考が、あの瞬間へ向かった。
あのアンコールの嵐の時。
寿奈姉さんは笑って後ろを見たのだ。
準備は出来ているか、と言いたげな顔で。
「――うん。歌おうよ、姉さん」
そして最後の歌が、始まったのだ。
Rhododendron 作詞 松野心夜 作曲 なし
歌 Rhododendron全メンバー
(杉谷寿奈 服部正子 風魔琴実 百地優 伊賀崎道女 黒野空良 雪空真宙 明智秀未)
そうさ 僕らは生きている
青い青い地球の 一員さ
いつでも 皆の為に 回ってる
僕らの夢を乗せて
叶わない夢なんて 一つもないからさ
心に夢の石楠花を 咲かせようよ
小さな蕾でも いつかは花びらになるさ
Rhododendron 僕らは一本じゃない
十人百人 なんてちっぽけじゃない
世界中の人間と 共にあるんだよ
いつでも 僕らは 迷い続けるよ
諦めちゃうこともあるけれど
叶わない夢なんて 一つもないからさ
心に夢の石楠花を 咲かせようよ
小さな蕾でも いつかは花びらになるさ
Rhododendron 僕らは一本じゃない
十人百人 なんてちっぽけじゃない
世界中の人間と 共にあるんだよ
どうすれば 夢に近付けるのかな?
分からない けれど
一杯の水に 無駄はない
Rhododendron 僕らは一本じゃない
十人百人 なんてちっぽけじゃない
世界中の人間と 共にあるんだよ
Rhododendron 僕らは一本じゃない
十人百人 なんてちっぽけじゃない
世界中の人間と 共にあるんだよ




