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今日からアイドルを始めたい!  作者: 心夜@カクヨムに移行
ファイナルライブ編 杉谷寿奈よ、永遠なれ!
152/168

答え

感謝祭は予定通り三十一日に決行されることになり、私達は重症から回復した秀未を加えて練習を続けていた。

 計五曲の練習。

 それは大変だけど、でも私達は自分達に出来ることを精一杯やったんだ。

 そして、大会前日の夜。

 練習を終え、私達は前日の夜を学校で過ごすことになった。

 私は少しだけ抜けると言って、ある場所に来ていた。

 服部先輩の、眠る墓に・・・・・・。

「お久しぶりです、先輩」

 私はあの葬式の日、出棺の儀が終わると同時に芽衣を止めようと走り出し、埋葬まではいなかった。

 あれ以来、私は一度もここに来たことはない。

 だから、服部先輩の墓を見たのは今日が初めてだ。

 そして、一人で墓参りに行ったのも今日が初めて。

「・・・・・・先輩。

あの時の約束、やっと果たせましたよ。

答え、見つけてきました」

 一年生の頃、先輩は私にどんなアイドルになりたいのかを問い、私はそれに答えられないまま先輩はこの世を去った。

 そして今、私にとっての引退試合とも言える感謝祭が再び開かれる。

 私はその前に、どうしても答えを出したかった。

 漠然として、子供じみたものだが、これが一番自分らしい。

「先輩、私は誰かを守れるアイドルになりたいです。

悲しみも辛さも、全て受け止めて。

皆が笑顔になれる、そんなアイドルに・・・・・・。

でも、明日一日だけなんです。私がアイドルでいられるのは。

遅かったと思いますか?

私が答えを出すのは、遅かったですか?」

 服部先輩の墓に添えられた花に、滴が落ちる。

 それが紛れもなく自分の涙であることは、もう勘で分かっていた。

 やはり、死人は答えてくれないでは無いか。

 私は何をしにここに来たんだ。

 

『それが、アンタの答えね・・・・・・』

 

 声。

 私の頭に響くように、それは聞こえた。

 そして。

『それが、アンタの答えね。

・・・・・・はははは。ははははははッ!

面白いよ寿奈。その答えを、私は待ってた。

やっぱりあの時アンタを勧誘して正解だったよ!

私は、期待している。

例えアイドルじゃなくなっても。さあ、歌うのよ。

寿奈、行きなさい・・・・・・』

 私は小さく笑った。


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